実に五年ぶりの開催となった中国グランプリ。その間ほとんどレースで使われていなかった上に路面が再舗装(というかアスファルト塗布しただけに見える)され、さらにスプリントレースが行われることでフリー走行が金曜 1 回のみ、コース脇の火災で赤旗中断あり、さらにはスプリント予選で雨、という各チームにとって厳しい条件でした。
■レッドブル
フェルスタッペンが速すぎる。スプリント予選こそ雨の影響で 4 位に沈んだものの、スプリントレース~予選~決勝レースまでを完勝。スプリントでも決勝でも毎ラップ後続に 1 秒ずつ差を広げていくほどの圧勝でした。
ペレスはスプリント・決勝ともに 3 位。スプリントではハミルトンが、決勝ではノリスが 2 位につけました。あれだけ圧倒的なクルマがあるならどちらも 2 位に入ってほしいところですが、今回はハミルトンとノリスがいい走りをしたし、レース展開も彼らに味方したと言えます。まあ昨年中盤のペレスならこういうときに表彰台にも上れていなかったし、コンストラクターズの対フェラーリという意味でも今のペレスは最低限の仕事はしていると言えます。
マックスはここまで 5 レースで 4 勝+スプリント 1 勝という強さ。勝てなかったオーストラリアもクルマの戦闘力やミスによるものではなくレーシングアクシデント(ブレーキダクトにデブリが詰まった)。フェラーリが昨年より強くなっているとはいえ、フェルスタッペンの負ける気配のなさは去年以上ではないでしょうか。
■上位争い
レッドブルを除けば今回はマクラーレンとフェラーリが速く、そこにクルマの速さよりも戦い方の巧さでアロンソが絡んでくる面白いレース展開でした。アロンソはスプリント・決勝ともに好スタートを決め、純粋な速さではライバルに劣るもののバトルの巧さで「通せんぼおじさん」として後続をブロック。タイヤのタレとともにズルズルとポジションを落としはしたけどレースを面白くする存在でした。
マクラーレンは下馬評では上海とクルマの相性が良くないという話でしたが、蓋を開けてみればスプリント予選で PP、決勝も 4 位スタート→2 位表彰台という大健闘。ドライバーズランクでもレッドブル&フェラーリに次ぐ 5 位につけ、今後のマシン開発状況次第ではドライバーズ 3 位争いに絡んでいけそうな気がします。フェラーリはシーズン後半の開発で失速しがちなのに対してマクラーレンは尻上がりになることが多いですしね。
例によってストロールが入賞圏から落ちたことで 10 位 1 ポイントを拾ったのはまたしてもハースのヒュルケンベルグでした。今年のハースは直線が速いから上海では良いところまで行くだろうと予想していたとおりになりました。やっぱり今シーズンは 11 位前後にいれば棚ぼたが落ちてくるし、そこを定常的に争うのは RB とハースという構図になっています。
■RB
RB はクルマの性格からいって中国は厳しいだろうと思っていました。しかしスプリントシュートアウトでも予選でも角田が最後尾付近になるほど酷いとは思わなかった。
予選 12 番手につけたリカルドと 19 番手だった角田でレース戦略を分けたのは当然の戦い方だったし、どちらの戦略もそれなりにうまくいって「レース展開次第ではどちらかは入賞争いに絡めるのでは」と予想していました。そしたらセーフティーカー明けのリスタートでリカルドはストロールに、角田はマグヌッセンに当てられて両者リタイヤ。どちらもほぼ完全に他責による接触だからやり切れません。ストロール・マグヌッセン・オコンあたりは接近戦をやると危険なのは二人とも分かっているだろうけど、スタート直後やリスタート前後のタイミングではどうしようもないこともあります。さらに酷いことに、リタイヤ後の運搬時にマーシャルが角田車を什器から落下させてシャシーに余計なダメージがかかっていそうなんですよね…。
強いて良かった点を挙げるとすれば、苦しいながらも二台に対してチームが立てた戦略が悪くなさそうだったこととピット作業も含めミスもなく、昨年までには感じられなかった「入賞を賭けてチームとして戦っている」という雰囲気が着実に出てきているところでしょうか。今回はコース特性的に入賞は厳しかったから仕方ない、切り替えて次のレースに臨んでほしいところです。
次は一気に北米に飛んでマイアミ GP。今度もスプリントありの忙しい週末になります。
時差は辛いけど早起きすれば見れる時間帯なのは助かるし、日本は連休中だから睡眠時間はどうとでもなります(笑。頑張ってリアタイ観戦しようと思います。
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