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HONDA RA271

HONDA RA271

ホンダウエルカムプラザ青山にて、ホンダの F1 参戦 60 周年を記念して初参戦時の F1 マシン「RA271」が展示されているとのことで見に行ってきました。

普段はモビリティリゾートもてぎ内にあるホンダコレクションホールで展示されているものだと思います。それが青山に出張ってきて、ショールームのメインスクリーン前にどどんと展示されていました。

※写真は全て α7C+FE28-60mm にて撮影。

HONDA RA271

第一期ホンダ F1 のマシンというと 1965 年メキシコ GP で初優勝を記録した RA272 が引き合いに出されることが多く、初代機にあたる RA271 に脚光が当たることはあまりありません。今年 7 月のグッドウッド・フェスティバルで角田裕毅がデモランした車体も RA272 の方でしたしね。もしかすると RA272 は動態保存されているけど RA271 は走らせられる状態ではないのかもしれませんが。

HONDA RA271

現代のレーシングカーとは全く違う、シンプルな葉巻型の車体。ダウンフォースという概念がほぼ存在しない時代の産物ですが、この潔さが逆に良い。現代だと安全性やハイブリッドのための装備などの理由でここまでコンパクトな車体にはできませんが、一度「そぎ落としたクルマでどこまで速さを追求できるか」という F1 も見てみたいような気はします。

HONDA RA271

さすがに 60 年前の F1 マシンとなると昔からのホンダ F1 ファンくらいしかわざわざ見に来ないのか、ショールームはとても空いてました(笑。
でもおかげでゆっくり、じっくり車体を愛でることができました。

HONDA RA271

鉄パイプやリベットは剥き出しだし、エアインテークは金網だし。まるで『紅の豚』の戦闘機を見ているような感覚だけど、このレトロ感が逆に良い。
現代の F1 マシン、ボディカウルの継ぎ目をビニールテープのようなもので塞ぐのが一般的になっていますが(そこの隙間や段差で渦流や乱流が生まれるのを防ぐためでしょうが)、マット塗装に光沢感のあるテープを貼るのが格好悪いんですよね。それならば空力はさておきリベットが見える方がロマンを感じます。

HONDA RA271

ボディから後方に大きく突き出たエキゾーストパイプ。どうしてこういう形状になっているのか分かりませんが、排熱なのか空力なのか、車体から排気をできるだけ離すことに何らかの意味があったんでしょう。

ちなみに RA271 ではエンジンまで丸々カウルに覆われていますが、後継機たる RA272 ではエンジンが剥き出しなんですよね。見た目的にはメカメカしい RA272 の方が好きだけど、あえてエンジン丸出しにしたのはメンテナンス性とか放熱とかいった意図だったのでしょうか。

HONDA RA271

RA271 は 1964 年 8 月のドイツ GP でデビューしました。アメリカ人ドライバーのロニー・バックナムが乗車しニュルブルクリンク北コースを走りレース終盤にリタイヤ(記録上は 13 位完走扱い)。結局その年は 3 レースに出場して完走なしだったのが、翌 1965 年は最終戦で初優勝を飾るわけだからレースは分からないものです。思えばこの時代からホンダ F1 の参戦初期は厳しく、時間をかけて成功に導くスタイルだったんだなあ。

HONDA RA271

この時代はタイヤも現在のようなスリックタイヤではなく乗用車と同様の溝つきタイヤになっています。
まあ走ってたコースもニュルブルクリンク北コースのようなバンプの激しいコースがあったしダウンフォースでタイヤを地面に張り付けることもなかったからスリックタイヤは無理だったでしょうが。

HONDA RA271

現代でもホンダの TYPE R に受け継がれるアイボリーホワイトはこの RA271 が原点。
2006 年に B・A・R を買収して誕生したホンダワークス F1 の RA106 でこのアイボリーホワイトが復活したときは感激したものです。翌 2007~2008 年のアースカラーには逆にガッカリしましたが(クルマが遅すぎたし…)。

HONDA RA271

ウエルカムプラザのエントランスに掲げられていたのぼりでちょっと気になる表記がありました。
第一期~第四期までの歴史を描いたのぼりなのですが、第四期の期間が「2015 – ____」と終点をブランクにした書き方になっていた点。これまでのホンダの公式発表を正とするならホンダの第四期 F1 活動は 2021 年で終了していることになっており、2026 年からのアストンマーティンとのジョイントが「第五期」となるはずのところ、こののぼり上の表記ではまだ第四期が終わっていないことになっています。これは現時点での HRC としてのレッドブル/RB への供給から 2026 年以降の活動も第四期として継続しているもの、ということになるんですかね?だったら今の F1 活動ももっと大々的に宣伝すればいいのに…と思いますが、まあいろいろと大人の事情があるということでしょう。

ともかくホンダ F1 60 周年おめでとうございます。これからも参戦を続ける限り応援していく所存です。

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