溝の口においしいすき焼きの専門店がある、というお誘いを受けて先日食べに行ってきました。
溝の口の駅から歩いて数分のところにある個人経営のすき焼き専門店。関西系の味付けで席はカウンターのみ、という珍しいタイプのすき焼き店です。
休日は定期的に「日本酒祭り」というオールスタンディングのイベントをやっているということで、今回は昼の部の日本酒祭り(すき焼きの提供はなくお酒とおつまみメニューのみ)に参加しつつ、夜の部(椅子あり)のすき焼きもいただいてくるというハイブリッド形式で参戦しました。
まだオープンして一年あまりという新しいお店ながら地域密着で営業していてお客さんは常連さん率高め。カウンターしかないためマスターや他のお客さんと会話で絡む機会も多いのが楽しい。
最初、壁に「心得」がかかっていたからローカルルールの多い店だったらどうしよう…と少し思ったのですが杞憂でした。いろいろと話してくれる気さくなマスターで、これは常連さんが定着するのもよく分かります。
この日の日本酒祭りメニューは全 12 種類。私が飲んだことがあったのは久保田の千寿と鳳凰美田 Black くらいしかなく、他はどんな味と香りがするのか気になります。これは気になるやつから順番に頼んでいくしかない。
日本酒はお猪口サイズのグラスになみなみと注がれます。これくらいの量の方が利き酒感覚でいろいろ飲み比べられて嬉しい。立ち飲みだとあまりグイグイ行くわけにもいきませんからね。
この「俺の出番」というお酒、名前のインパクトもすごいけどラベルの押しが強い(笑
「くびったけ」のラベルデザインも強烈。近年こうやって個性をアピールする銘柄が増えてきて楽しい。伝統的な銘柄も好きですけどね。
当日出ていた銘柄は八割方飲みましたが(詳細は割愛)、個人的にはワイン酵母で仕込まれた「八仙」が気に入りました。香りや酸味が日本酒というよりワイン的な感覚で新鮮。こういう日本酒もあるのか、という驚きがあります。
おつまみも良いのが揃ってます。これは…そうは見えないかもしれないけどポテトサラダです(笑。
お酒によく合うしっかりボディーの自家製ポテサラに、表面に焼き目をつけた卵黄と、ベーコン…に見せかけて実質はすき焼き肉を炙ったと思われるものが載ってきて、めちゃくちゃ食べ応えある。一皿目にしてメインディッシュ級のおつまみにすっかりやられてしまいました。
牛ハチノスのみそ煮。名前からしたら渋めの居酒屋メニューだと思うじゃないですか、でも出てきたのコレですよ。
芯まで味の染みた大ぶりのハチノスに、さらに炙り長ネギと削ったチーズまでかかってくる。これもまたうまい。
さらに鶏セセリと大葉のすだちソテー。これも想像してたよりも量たっぷりめで出てきました。
セセリ自体はけっこうしっかりめに味ついてるのに、大葉とすだちの香りや酸味でサッパリ食べられる!これは半永久的に食べていられそうだ。
赤エビの割下漬け。私は甘エビの刺身とか中華料理の酔っ払い海老みたいな火を通さずに食べる海老料理が好物なんですよね。
これは雰囲気的には酔っ払い海老っぽいけど紹興酒じゃなくて割下で漬け込んであるのがすき焼き店らしさ。しかも割下の味一辺倒じゃなくて七味でアクセントがつけられているのもイイ。これもおいしい。
牛すじオムレツ。これがメニューにある時点で優勝確定みたいなものですが、それがこのボリュームでさらに上にチーズを削って出してくれるとは期待をさらに五割くらい上回ってきました。
すき焼き店で出す牛すじがおいしくないわけがない。牛すじ、オムレツ、チーズの三重のトロトロが押し寄せてきて自分の語彙力や判断力を軒並み押し流していくのを感じる。
ここらあたりからディナータイムということで、日本酒で浮ついた自分の感覚を引き締めるため飲み物の種類を変えていきます。
店名を冠した「fabi ハイボール」はカルダモンの香りがスパイシーなハイボール。これは目が覚める、と同時になんかカシミールカレーが食べたくなる感覚(笑。
つまみに出してもらった長ネギのコンフィがまたトロットロでおいしく、刺激的なハイボールといい対比を作ってくれます。
ここで「霜降り和牛ユッケ」を注文したのですが、出てきたのはこれでした。自分の知ってるユッケと違う!これ「ステーキ肉の炙り」みたいな料理なのでは…。
もうね、見た目に違わぬ味ですよ。上に載ってる卵黄から下に敷いてあるタマネギまで全部おいしい。
ドリンクメニューにあった「綱島サワー」というのが気になったので頼んでみました。
その正体は綱島(横浜市)の名産品の一つである大葉をたっぷり使ったサワーでした。綱島で大葉が有名なこと自体初めて知ったけど、梅サワーやレモンサワーとはまた違う種類の酸味と香り、あとちょっと甘味も感じられる。ほっこりしつつもサッパリできるサワー、気に入った。
そしてここで遂にすき焼きがご登壇あそばすわけです。
日によって仕入れの異なる牛の銘柄、この日は和牛の代名詞・松阪牛でした!
そういえば二年前に『孤独のグルメ』の聖地巡礼で松阪に行ったにも関わらず食べたのが松阪鶏と松阪豚で牛は結局食べずに帰ってきてしまったので、二年越しの松阪牛をここ溝の口で食べることになろうとは。
すき焼きと言いつつ地方によっては煮込み料理に近い場合もありますが、ここのすき焼きは浅めの鉄板でまさに「焼き」タイプ。
松阪牛らしくしっかりと入ったサシが口の中でとろける。割下の味付けも濃すぎず、肉の旨味を程良く引き出してくれます。
すき焼きってそれほど頻繁に食べるものでもないけど、このすき焼きは今までに食べた中でもトップクラスにおいしかったことは間違いありません。
〆はうどんで。
松阪牛のうまみと残った割下を吸い込んだうどんがおいしくないわけないじゃないですか!少なくとも今年食べたうどんの中ではベストオブベスト。
もう少しくらい何か食べられそうだ、ということで無謀にも松阪牛のステーキ 200g を追加してみました!調子に乗りすぎて誰かに怒られそう。
同じ松阪牛でもすき焼きで食べるのとはまた別物のおいしさ。さっき常連のおじさんが「ステーキは下のタマネギがうまい」と言っていたのですが、確かにタマネギまでうまい。
いやー心の底から堪能しました。どれもこれもおいしかった!
ここは掛け値なしにおいしかったので是非ともリピートしたいですね。チャンスを見計らってまた食べに行きたいと思います。
ごちそうさまでした、お誘いありがとうございました。
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