「うおおお…松阪、牛も良いけど、鶏も負けていないぞ」
ホンダレーシングサンクスデーのために三重まで来たのなら、昨年末の『孤独のグルメ 大晦日スペシャル』の聖地も巡らないわけにはいかないじゃないですか。そういえば先日も菅生でのモトクロス観戦のついでに舞木へ聖地巡礼してきたけど、今回は鈴鹿のついでに松阪まで足を伸ばしてきました。
松阪といえば和牛のトップブランド、地名だけなら知らない日本人はいないくらいに有名。さぞ栄えている街なんだろうと思っていたら、駅前は失礼ながら意外なほど地味でした。
それにしても、はるばる三重県まで来て食べてるのが今回の鶏焼肉と鈴鹿の豚焼肉というね。
まあ松阪牛は他でも食べられるけど、鶏や豚はあまり聞かないからなあ。このほうがはるばる食べに来た感があるというもの。
うん、頭がそっちにシフトしたぞ。
劇中では井之頭五郎がクラシックミニを駆ってここまで来ていましたが、私は公共交通機関を利用。松阪駅からは三重交通バス道の駅飯高駅行きに揺られて 25 分ほど、大河内(おかわち)小学校前のバス停で降車します。目の前には阪内川が流れる長閑な田舎町。
このバス停の目の前に、目指す店はありました。
前島食堂、看板からしてめっちゃ鶏推し。
鶏専門の焼肉屋、そんなの聞いたことないぞ。
店先には順番待ち用のスツールが並べられていて、ピーク時にはこれだけの行列ができることが想像されます。きっと普段から大人気店なんだろうな。
店内。10:50 頃にお店に着いたところ席はまだ半分ほど空いていたものの、ここから正午にかけてどんどんお客さんが増えていき満席に。ドラマを観て来たっぽいお客さんはあまり見かけなかったので、やはり地元の人々から広く愛されているに違いない。
ちなみに「お好きな席にどうぞ」と通されたのですが、五郎が座ったカウンター席はお店のお母さん方が控える真正面で、そのプレッシャーに耐える自信がなかった私は(笑)普通にテーブル席を選択しました。カウンター席のほうが一人用ロースターがあって雰囲気が出たかもしれません。
四人用ロースターを独り占めする贅沢。
今日はこの網が俺の昼飯のステージだ。
松坂名物、鶏焼肉。メニューは潔いほどシンプルに鶏とごはんのみ。
これはもう、迷う余地すらない。ただひたすら、鶏焼肉と白飯と対峙するのみだ。
まずは若鶏から。
鮮やかなピンク色の肉、見るからに新鮮。これはうまそうだ。
そしてこっちが親鳥。
こちらは対照的に濃い赤色、見た目からして全然違う。素人でも分かるものですね。
さらには、きも(レバー)。
色といい照りといい、これも新鮮なのが視覚から分かる。おいしいに違いないっていう見てくれだ。
この鶏たちを迎え撃つためのご飯(中)。
ニンニク入りのタレとお新香。お新香にはミニキャベツもついていて、これをタレに浸けて食べるだけでも白米が進んでしまう。
では、焼いていこうじゃないですか。
若鶏のピンクに火が通って、清廉な白に変わっていく。
表面のプリプリした質感が既にうまそうだ。
さらにタレと一緒に焼けていく肉の香りが食欲を刺激する。これは待ちきれない、いただきます!
ほんとだ、若鶏、やわらかい。
これは老若男女問わず食べやすい鶏肉だ。
そして味噌ダレ、むちゃくちゃうまし。ご飯が進んでしょうがない。
正直に白状すると、鶏だからといって少しなめてました。これは恐れ入った。
そこに届けられたのが「とり野菜」。
北陸民にとってとり野菜というと、冬の定番であるニンニク味噌味の鍋料理なんだけど、ここのはそれとは全然違う。鶏の出汁で白菜をじーっくり煮込んだスープ鍋。
おお~、やさしい。
はあ~。お野菜、鶏味、いい風味。
なるほど、肉の合いの手にスープを入れるのが良いんだな。
白飯じゃなくてこのやさしい味のスープで鶏肉を受ける、ってのも確かにイイ。
石川のとり野菜とは別物だけど、松阪のとり野菜、気に入ったよ。
続いて親鳥は…うーん!この噛み応え。
安易に呑み込むなといわんばかりの強烈な弾力の魔力。
その代わり、噛めば噛むほどうまみがどんどん、ジワジワ。
若鶏とは全然違う、齢を重ねた大人鶏の深み。
確かにこれは焼肉、ニンニクも最高。
よーし、3 速から 4 速に加速、エンジン全開!
うおォォォォ、ターボかかりまくりの焼肉フルスロットル。
さらには、きも。
おお…中の方からトロッと新鮮な苦みがあふれてくる。
やわらかくて臭みもなくて、これはいいレバーだ。何より味がいい、いくらでもいける。
牛レバーにも負けないボリューム感とうまみ。それでいて軽いのが鶏レバーのいいところ。
ああ、最初から最後まで全部おいしかった。遠路はるばる来た甲斐がありました。
ビールを飲まなかったのもあるけど、これだけ食べて二千円ちょっとという安さは驚異的。近所に住んでいたなら毎週でも通うに違いない。
もう少しお腹に余裕があればせせりも食べてみたかったし、あのニンニク味噌でもっとキャベツをモリモリ食べるのも良さそう。
完全に、脳も腹も鶏に満たされた。松阪に来たなら牛よりも鶏、今なら確信を持ってそう言える。
ごちそうさまでした。
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