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夢は挑戦の先にしかない

ホンダ・ウエルカムプラザ青山にて 2021 年の F1 開幕を記念した特別展示が行われているということで、見に行ってきました。(写真は全て α7 III+Vario-Tessar FE 16-35/F4 にて撮影)

ホンダ、F1ラストイヤーのキックオフイベント「F1 2021シーズン開幕記念特別展」開催 7年ぶりの日本人F1ドライバー角田裕毅選手応援コーナーも設置 – Car Watch

YukiTsunoda22

今シーズン限りでホンダとしての F1 活動が終了してしまうことに加えて、今年はついにレッドブル・ホンダにチャンピオン獲得への挑戦権がありそうなほどプレシーズンテストの内容が良かったこと、さらには小林可夢偉以来かつ史上最年少の日本人 F1 ドライバーである角田裕毅がアルファタウリ・ホンダからデビューするということで、ファンとしても 2015 年以来最も応援に熱の入るシーズンになります。
アルファタウリの F1 マシン展示は残念ながらなかったものの、特大パネルと角田裕毅の等身大(と思われる)パネル、それからアルファタウリ AT02 の実寸大パネルが展示されていてホンダ的にもプッシュしていることが伝わってきます。

しかし角田の身長は 160cm とのことで等身大パネルを見ると本当に小さく感じます。来月高校生になるウチの長女より小さい…。

Red Bull Honda

レッドブル・ホンダのショーカー。これ自体は二年前から繰り返しリペイントして使い続けられているショーカーなのでメカ的に見るべきところはありませんが、アストンマーチンの離脱とペレスの加入によってスポンサーロゴ周りが変わっているのが差分。フロントノーズにも従来アストンのロゴが入っていた部分に大きく H のエンブレムが記されています。

Red Bull Honda

リヤウィングのホンダロゴ。ここに大きく HONDA と描かれることでようやくワークスチーム感が出てきました。この裏面にも同様に HONDA ロゴが入っています。今年はメルセデスにこのロゴを見せつけるような走りを毎レースやってみせてほしいところ。

Red Bull Honda

今年はペレスの加入によって Telcel/Claro(どちらもカルロス・スリムが保有するメキシコ系の通信企業)のロゴがマシンに掲出されるようになりましたが、よく見るとサイドポンツーンの先端に Walmart(アメリカのスーパーマーケット)のロゴも追加されています。またハロの左側に意味深に空いた広告スペースがあると思っていたら、シーズン開幕に合わせて Oracle とのパートナーシップが発表されたようで、バーレーン GP の FP1 ではここに Oracle のロゴが入っていました。

Honda RA619H

こちらはレッドブル/トロロッソが一昨年使用していたパワーユニット「RA619H」。一般公開されるのはこれが初めてではないでしょうか。エナジーストア(回生エネルギー用のバッテリー)までついた状態で展示されるのも珍しい。F1 ドライバーはこのサイズのバッテリーを背中すぐ後ろに置いて走っているんですね…。去年のバーレーンではグロジャンのマシンが大炎上する事故がありましたが、あれを思い出すと怖くなります。

Honda RA619H

熱エネルギー回生機構(MGU-H)を持つ V6 ターボエンジンということで非常に複雑な構造をしています。しかしこれは 2019 年モデルで 2020 年はまたちょっと違うようですし、さらに 2021 年仕様はホンダ自ら「新骨格」と呼ぶ構造を採用した新型なわけで、この RA619H とは大きく変わっているはず。プレシーズンテスト~バーレーン FP1 までは上々の性能と信頼性を見せてくれているようなので、期待が高まります。

Honda RA106

今年は通称第四期の最終シーズンということで、それを記念して第一期~第三期までのマシンも展示されていました。
こちらは第三期にジェンソン・バトンが記念すべき(かつ第三期ホンダとして唯一の)優勝を飾った 2006 年の RA106。今までに何度も見たクルマではあるけど、個人的にはこれには思い入れが強くて何度見ても感激してしまいます。

Honda RA106

このクルマももう 15 年前なのか…。今とはレギュレーションが大きく異なるため、見た目もかなり違っていますね。当時はサイドポンツーンが大きく張り出していて、そこをどう削って空気を後ろに流すかがエアロ開発の重要なポイントでした。

Honda RA806E

2006 年のエンジン「RA806E」。エネルギー回生やターボを利用しない V8 NA エンジンです。今のパワーユニットを見た後だとめちゃくちゃシンプルに感じます。
この頃のエンジンはパワーよりも空力開発を邪魔しないコンパクトさとドライバビリティが重要視されていましたが、それでもホンダエンジンは必ずしも高性能な部類ではなく、パワーではメルセデスや BMW に負けていました。

Lotus 99T Honda

そして第二期。1987 年、中嶋悟のロータス・ホンダ 99T です。セナとチームメイトだった時代のマシンですね。私はこのちょっと後に F1 に興味を持ったのでリアルタイムでこれが走っているのを見ていないのですが、それでもこのキャメルカラーのロータス・ホンダは当時の F1 のアイコンの一つでした。存在感のあるスポンサーロゴとカラーリング、シンプルな形状、真っ直ぐ伸びたサスペンション、でっかいタイヤ…この時代の F1 マシンはやっぱりイイ。

第二期のマシンがマクラーレンではなくロータスなあたり、第四期でのマクラーレンとのジョイントを思い出したくない(ファンにも思い出してほしくない)という感情の表れなんでしょうか(笑

Lotus 99T Honda

なんたって POWERED by HONDA ですよ。
今の HONDA HYBRID はハイブリッドカーの販促としては正しいんだろうけどなんだか頼りないんですよね。今年こそ勝ちまくって「レッドブルに翼を授けたのはホンダだ」という意味でシーズン中からでもいいから POWERED by HONDA を掲げてほしいと個人的には思っています。

Lotus 99T Honda

この巨大なディフューザー!当時は今ほどレギュレーションによる制限が厳しくなかったので、このディフューザーでダウンフォースを稼いでいました。ほとんどフロントとリヤのウィングとディフューザーの大きさが物を言っていた時代です。今はレギュレーションで細かく制限されてしまい、技術的にはさらに渦流を使った気流の制御なんかも行われていて空力パーツ同士が相互に作用しながら全体のダウンフォースを生み出しているので、見た目からダウンフォース量を想像するのが不可能に近いんですよね…。

Lotus 99T Honda

中嶋悟が実際に握っていたと思われるステアリング。ほとんどスイッチ類もついていないシンプルなステアリングで、今のとは全くの別物。でも当時はこれ一つでマシンをねじ伏せていたんだもんなあ。

Honda RA168E

こちらは上の 99T ではなく翌年(1988 年)のロータス 100T とマクラーレン MP4/4 に搭載されていたエンジン、RA168E。1988 年といえばマクラーレン・ホンダがセナとプロストのコンビで 16 戦 15 勝した伝説の年ですよ。つまりあの年の最強エンジン。
V6 ツインターボなので第三期の V8 NA よりは随分大きくて複雑な形状をしていますが、同じターボエンジンでも現行レギュレーション下のパワーユニットとは見た目が全然違います。

Honda RA300

そして第一期、1967 年の RA300。この手のイベントで第一期の象徴的に展示されるのは初優勝を飾った RA273 であることが多いので、二勝目をもたらした RA300 が出てきたのはちょっと意外でした。
この時代の F1 はナショナルチーム色が強かったので、日本国旗をモチーフとしたカラーリングになっています。

Honda RA300

葉巻型時代のマシンは空力的に見るところが少なく、むしろ見所はむき出しのエンジン。これだけでご飯三杯余裕だし、ずっと見てても飽きません。

Honda RA300

このメカメカしさ!
これを見ているとプラモが作りたくなってきますね…。

Red Bull Honda

私はイベントで F1 関連の展示があるたびにウエルカムプラザ青山に足を運んでいますが、今回は普段あまり見られないマシンが並んでいて満足度が高かったですね。

今季の開幕戦バーレーン GP は既に FP1 を終了しています。事前テストで不調だったメルセデスがきっちり改善してきた印象ですが、それでもレッドブル・ホンダはフェルスタッペンがトップタイムを記録するなど幸先の良いスタートが切れている模様。このまま日曜日までぶっちぎってシーズンのスタートダッシュを決めてくれることを願っています。

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