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WE ARE THE CHAMPIONS

夢は挑戦の先にしかない

ホンダウエルカムプラザ青山にて、ホンダ F1 の歴代チャンピオンマシンが展示されているということで見に行ってきました。

Honda ウエルカムプラザ青山|Honda F1 2021 2nd Stage ~夢は挑戦の先にしかない~

展示は全て館内で行われていますが、感染拡大防止のため入館人数を制限しながら展示中。休日は特に混み合うようで入口で時間制の整理券が配布されており、それを受け取った上で改めてその時間帯にショールームに来る必要があります。私は 10 時開館のところ 10:10 頃に到着したらギリギリ 11 時の回の整理券を受け取れましたが、それでも 40 分ほど待つ必要がありました。

※今回の写真は全て α7C+FE 28-60mm にて撮影。

AlphaTauri AT02 Honda Show Car

館外には唯一アルファタウリの AT02 が展示されていました。館内展示は歴代のホンダ F1 チャンピオンマシン+今季チャンピオン争いを繰り広げているレッドブル・ホンダ RB16B なので、チャンピオン争いに絡んでいないアルファタウリは文字通り蚊帳の外(笑。それでも整理券制で中には入れない人、および入館時間待ちのお客さんに向けてはいいサービスと言えます。

ちなみに AT02 ということになっていますが実際はショーカーで以前展示されていた STR13 のリペイント品と思われます。去年は AT01 のカラーリングで展示されていた車両ですね。実車とはフロントノーズやウイング、フロア後端の形状等が大きく異なります。

Williams FW11 Honda

ホンダが初めて F1 のコンストラクターズタイトルを獲得したのはマクラーレンではなくウィリアムズでした。1986 年にナイジェル・マンセルとネルソン・ピケという当時の「四天王」の二人を擁するウィリアムズの FW11 で栄冠を手にしました。
当時はターボ全盛期で空力の重要性はさほど高くなく、エンジンパワーで獲ったタイトルと言って良いでしょう。

Williams FW11 Honda

レッドファイブ、これはマンセルのマシンですね。
マンセルはこれだけ速いクルマを持っていながらホンダ時代は無冠、チャンピオン獲得は 1992 年のウィリアムズ・ルノー時代まで待たなくてはならなくなりますが、それはまた別の話。

Williams FW11B Honda

翌年ネルソン・ピケがドライバーズタイトルを獲得し、コンストラクターズと合わせて初めてのダブルチャンピオンを獲得したのがこの FW11B。マクラーレンの MP4/5B といい「B スペック」はホンダにとって験の良いナンバーのようで、今年の RB16B にも期待してしまいます。

この頃私はまだ F1 を見ていなかったのですが、この後も数年間にわたってウィリアムズのリヤウイングに記された「Canon」のロゴが印象に残っていたからこそ、後に一眼レフカメラを買うときにキヤノンを選んだと言って良い。F1 は私のブランド観に大きな影響を与えました。

McLaren Honda

そしてこの四台がこの展示の目玉であるマクラーレン・ホンダのチャンピオンマシン。1988 年にホンダはウィリアムズとあっさり手を切り、マクラーレンに鞍替えしてそのまま四連覇。ホンダ=F1 のイメージはこの時代に作られたと言って良く、今でもこの赤白のマールボロカラーの印象は色褪せていません。
タバコ広告規制の強い海外では旧車であってもタバコロゴは排除されていることが少なくないですが、ホンダ所蔵のマクラーレン・ホンダは Marlboro のロゴがちゃんと残されているのが良い。このロゴも含めてマクラーレン・ホンダなんですよ。

McLaren MP4/4 Honda

MP4/4。1988 年に 16 戦 15 勝を飾ってマクラーレンとアイルトン・セナにチャンピオンをもたらした伝説のマシンで、93% という驚異の勝率は未だに破られていません(年間最多勝は 2014 年にメルセデスが更新)。
前年までのずんぐりむっくりした形状から一気にフロントノーズが細くなり、現代の F1 マシンの形状に近くなりました。それでも形状はまだカクカク・スッキリしていて、まだ空力開発は進んでいなかった時代。

McLaren MP4/4 Honda

今のクルマと比べると、エンジンカウルが小さいことを筆頭に重心がめちゃくちゃ低い。現代とはサスペンションジオメトリーが全然違うこともあって、車高の低いクルマが地面に貼り付くようにしながらサーキットを駆け抜ける姿が格好良かったものです。車速で言えば今のクルマのほうが全然速いのに、映像の印象は当時の方が速く感じるんだからなあ。

McLaren MP4/5 Honda

1989 年の MP4/5。レギュレーションの変更により V6 ターボから V10 自然吸気エンジンに換装されたことでエンジンカウルの形状が大きく変わり、またサイドポンツーンが小型化されてはいますが、基本設計は MP4/4 を踏襲しています。
この車体はカーナンバー 2 ということでプロストのマシンですね。鈴鹿でセナと接触した結果プロストがこの年のチャンピオンを獲得し、そのままマクラーレンを離脱して翌年フェラーリに移籍するという事件がありました。

McLaren MP4/5 Honda

私はこの時代(1989~1991)のマクラーレンのカウル形状が好き。流線型にスッと立ち上がった白いカウルに Marlboro のロゴが美しいじゃないですか。
またラジエーターが大胆に露出したサイドポンツーンもこの時代の F1 という感じがあって好きです。

McLaren MP4/5B Honda

1990 年、MP4/5B。プロストに代わってゲルハルト・ベルガーが加入したシーズンです。私はこの年から本格的に F1 を観戦し始めました。
カーナンバー 1 がフェラーリに行ったことでマクラーレンとしては珍しい 27・28 番を背負ったクルマですが、日本における F1 人気の絶頂期だったこともあってこのマシンの印象が残っている人も多いのでは。あの鈴鹿の 1 コーナーでプロストとの接触事件を起こしたマシンでもあります。

McLaren MP4/5B Honda

個人的には、このマシンのコクピット風防のロゴとセナがつけていた LINK を見てタグ・ホイヤーに憧れを持ちました。あれから 30 年経ってようやく自分で買えた(笑

このクルマ、よく見るとフロントノーズ前端にクラックが入っていますね。まさかあの鈴鹿での事故で入ったヒビじゃないと思うけど(あの事故でセナ車のフロントノーズは完全に折れている)、どこかのデモランでぶつけたんでしょうか。

McLaren MP4/5B Honda

MP4/5B といえばバットマン・ディフューザーが有名ですが、シーズン途中で廃止されたこともありこの車両には取り付けられていませんでした。

この頃にはホンダのエンジンパワーに頼ったマシン開発によりマクラーレンの空力開発の遅れが目立ち始め、それでもダブルタイトルは獲得できたものの翌年の MP4/6 でコンセプトの見直しを迫られることになります。

McLaren MP4/6 Honda

というわけで 1991 年の MP4/6。このシーズンからホンダエンジンは V12 となり、車体デザインも大きく見直されました。
シュッとした細ノーズは格好良いけど、全体的にはフェラーリ 642 の影響を色濃く受けていてなんだかマクラーレンっぽくないような印象も受けます。

それでもセナが開幕四連勝を飾るものの、その後はハイテクマシン FW14 を擁するウィリアムズ・ルノーの猛攻を受け、なんとかチャンピオン防衛に成功した…というシーズンでした。

McLaren MP4/6 Honda

この車体はベルガーのもののようですね。もしかしたら鈴鹿でセナにポジションを譲られての 1-2 フィニッシュを決めた車体なのかもしれません。

そういえばホンダはセナのカーナンバー 1 の MP4/6 も所蔵しているはずですが、今回はあえてベルガー車を出してきたんですかね。ホンダ F1 の現テクニカルディレクター田辺豊治氏がレースエンジニアとして担当した車両という縁もあります。

McLaren MP4/6 Honda

この時代の F1 はエンジン至上主義からハイテクデバイス満載への過渡期にあり、セミオートマチックトランスミッション、アクティブサスペンション、フライバイワイヤーなどの新技術を追いかけるのが中学生ながらに楽しかったですね。今では当たり前になった技術も逆に禁止された技術もありますが、マシン開発の大きな変革期でした。そしてこの翌年にウィリアムズ・ルノーに敗れたホンダは第三期 F1 からの撤退を決め、またこの 1991 年がホンダとしての最後のチャンピオン獲得年となっています。

McLaren Honda

個々のマシンは今までにも各種イベントやツインリンクもてぎ等で見たことがありましたが、歴代車両がここまで一堂に会するのを見たのは今回が初めて。長年のホンダ F1 ファン的にはグッと来るものがありますね。
ただ、この歴代チャンピオン車両展示が全て第二期のものというのがやはり寂しい。第三期、四期では結局チャンピオンを取れていないということですからね。今年こそ、ここに連なるマシンを生み出したい。

Red Bull RB16B Honda Show Car

それがこの RB16B(ショーカー)。以前から使用されている RB13 ベースのモックアップなので実車とは大きく異なりますが、年々増えていくスポンサーロゴがレッドブルとフェルスタッペンへの期待の高さを物語っています。
また、リヤウイングの「HONDA」ロゴはやっぱり良い。去年までのアストンマーチンロゴはホンダ党としては寂しかったので。

Red Bull RB16B Honda Show Car

今シーズン途中から「HONDA e:TECHNOLOGY」ロゴに差し替えられたパワーユニットロゴ。レッドブル・ホンダは今シーズンここまでで 15 レース中 8 勝(うちフェルスタッペンが 7 勝)を挙げており、ランキング上は 2 位ではあるものの現時点では最もチャンピオンに近い状況にあります。このまま最後まで走りきり、ホンダ第四期のラストシーズンで悲願のタイトルをもたらしてほしいところ。最後まで応援しています。

HONDA RA619H

パワーユニットとしては 2019 年型の RA619H が展示されていました。オーストリア GP でフェルスタッペンがレッドブル・ホンダとしての初優勝を挙げたときに使用していたエンジンの実物です。今シーズンの RA621H では「新骨格」を採用していてこれとはまた異なるデザインになっているものと思われます。マクラーレンと組んでいた 2015 年の PU はもっと小さかったので、メルセデスに匹敵する出力を得るにはやはり大型化が必要だったということでしょう。

EDIFICE x Honda Racing

ショールームの展示物の中に面白いものを発見。カシオの EDIFICE がアルファタウリの他にも Honda Racing とのコラボモデルを発売しているのですが、その EDIFICE の商品カートンに前述の田辺豊治氏とマネージングディレクター山本雅史氏のサインが入っています。単なる展示品ではなく去年実際にこの状態で販売されていたものらしいですが、ドライバーではなくスタッフのサイン入りというのがマニアック(笑)。でも今のホンダ F1 を成功に導いたのはこのお二人なので、個人的には販売中に気づいていたら買っていたかもしれません。
ちなみに写真の右側に見えているのはセイコー・アストロンと HONDA e のコラボモデル。他にもアストロンは NSX とのコラボモデルも出していたりしますし、最近ホンダと時計メーカーのコラボは話題に事欠きません。

Honda Wins

あとショールームの裏手にこんなパネルが展示されているのを発見。今シーズン、レッドブル・ホンダが優勝したレースを記念したデザインパネルが各レースごとに作られているようです。ショールームだけのために作るとは思えないので、何枚か作成して本社内や HRD Sakura などの施設に掲示しているんですかね。格好いいパネルだからこんな裏手じゃなくてもっと大々的に展示すれば良いのに。

この歴代 F1 マシンの展示は 10/18(月)まで。本来は鈴鹿での日本 GP で集合展示するつもりだったのが中止によってこちらに回ってきたということなのかもしれません。鈴鹿には行けなくなってしまいましたが、青山で歴代の名車を見ながら本来あったはずの 2021 日本グランプリを夢想するのも良いのではないでしょうか。

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