奥沢の駅前に気になるピッツェリアを見つけたので、試しに入ってみました。
「イモラ」は北イタリアにある街の名前。とはいえローマやナポリ、ミラノといった都市に比べると随分マイナーで、一般的に知名度が高いとは言えません。しかしレースファンにとっては忘れることのできない地名。かつては F1 サンマリノ GP、現在ではエミリア・ロマーニャ GP が開催されているのがイモラ市にあるアウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ、通称「イモラ・サーキット」です。1994 年 5 月 1 日のサンマリノ GP 決勝、レース序盤のタンブレロ・コーナーでアイルトン・セナが 34 年の生涯を終えた事故のことは今でも忘れられません。「イモラ」という店名を見れば、その店主がレースに強い思い入れを持っていることは想像に難くない。
このお店の看板、1994 年~2017 年の F1 のロゴデザインをオマージュしていることが一目瞭然。これは間違いありません。
では、入ってみましょうか。
…と思ったら、休日のランチタイムは満席になるくらいの人気店のようですね。私がお昼過ぎに伺ったときには既に満席で、外で 15 分くらい待つ必要がありました。
入口の扉を開けたら真正面の壁一面に F1 グッズが並んだガラスケースが!私はもうこれだけで興奮してしまいます。
が、他のお客さんを見ると大半が女性、しかも F1 やモータースポーツに興味ありそうな人はほとんど見当たらない(笑。まあ奥沢といったら自由が丘からも歩いて 10 分足らずだし、自由が丘の外れにある店という感覚で使っているお客さんがいても不思議じゃない。何より F1 目当てじゃないお客さんで満員ということは肝心の料理がおいしい証、これは期待できます。
ちなみにこのお店は女優の水野真紀さんが常連なようで、店内には水野さんからの周年祝いの鉢植えが複数飾られていました。
ショーケースに所狭しと並べられた F1 ドライバーの写真、1/1 や 1/2 サイズのレプリカヘルメット、1/18 スケールのモデルカーの数々。長年のファンならばそれぞれ「何年の誰のマシン/ヘルメット」かは当てられるのではないでしょうか。店名からも分かるとおり店主は基本的にセナファンで、それ以外には主にライコネンやミハエル・シューマッハーが推しのようですね。個人的にすごく仲良くなれそうな気がする(笑
1994 年、ウィリアムズ・ルノー時代のセナのレーシングスーツとキャップのレプリカ。このスーツが飾ってあるのはガチファンである証拠ですね。キャップも私が先日入手した現代のレプリカではなく当時の NACIONAL ロゴがあしらわれたものだし、本当に長年のファンであることが分かります。
さらにワイン棚に珍しいものを発見。現在の F1 公式スパークリングワインであるフェッラーリ・ブリュットの鈴鹿限定ボトル(の箱)じゃないですか!フェッラーリは昨年から F1 の公式スパークリングワインになったので、これは幻となった 2021 日本グランプリに向けて発売されたもの。私は発売されたことを知らなかったので買えませんでしたが、もし今年も販売されるなら手に入れたい。
さておき、一度落ち着いて注文を選ぼう。
ピッツェリアだから基本的にはピッツァを中心としたランチセットが用意されています(種類は少ないけどパスタも選べる)。ピッツァはマルゲリータやビスマルクといった定番から、ツナマヨ、明太子マヨといった日本的なものまで。基本的には気取ったものではなく素朴なピッツァという印象。
厨房には当然のように石窯。これはおいしいに違いない。
人気店だけあって、次々とこの窯へピザが出入りしていきます。
注文は少しだけ豪華なランチセット「イモラランチ」にしてみました。
まず最初にグリーンサラダと前菜三品が盛られたプレートが出てきます。
前菜は日替わりの可能性もありますが、私がいただいたのは魚貝のトマト煮込み、カポナータ、タラモサラダのブルスケッタ。どれもオシャレでおいしいんだけどどことなく素朴な味わいで、この店の雰囲気をそのまま詰め込んだようにおいしい。これは昼からワインが欲しくなります。
メインはピッツァまたはパスタを一品選びます。
こちらはナポリピッツァ。ナポリのピッツァってどんなのかと思ったら、トマトソース+モッツァレラの上にベーコン・ピーマン・マッシュルーム・タマネギ。用はスパゲッティナポリタンのピッツァ版!トマトソースとモッツァレラがちゃんとイタリア料理なのに、そこにベーコンのうまみやピーマンの香りが加わると唐突に懐かしい味になる不思議。でもおいしい。
スカモルツァ。生クリームベースのソースにモッツァレラとスカモルツァ(これもチーズ)というチーズたっぷりピッツァ。コーンの優しい甘さとアンチョビの味付けがチーズをさらに濃厚に感じさせて、これもとてもおいしい。
ピッツァは中心部の生地が薄くて具材を主役として引き立てつつ、円周部が分厚くてモチモチ、食べ応えあり。一枚で十分満足できます。
こちらは生ハムとたけのこのクリームソースパスタ。思っていたほどたけのこ感はなかったけど、濃厚なクリームソースにうまみがあっておいしい。
ピッツァが主力の店だけどパスタも侮れない。これはシンプルなアマトリチャーナとかラザニアもおいしいに違いない。
食後のドリンクはエスプレッソを選択。
この、すっごく苦いのに苦味がスッと引いていく感じが好き。
セットのデザートはプリンとパンナコッタでした。
このプリンがいわゆる「プリン」とは全然見た目が違って驚いたのですが、少し固めの焼きプリンをスライスしたような感じで、味が凝縮されていてうまい!
滑らかな甘さのパンナコッタもいい。どちらも、想像していたよりもずっと凝ったデザートでした。
店先にソフトクリームの電飾が置かれていたのが気になって、つい頼んでしまいました。
出てきたのはオーソドックスなスジャータのソフトクリーム。これおいしいんですよね。スジャータと言えば新幹線の固いアイスですが、お店で食べるソフトクリームも良い。
手前からロータス・ホンダ 99T(1987)、マクラーレン・ホンダ MP4/6(1991)、マクラーレン・ホンダ MP4/7(1992)、マクラーレン・メルセデス MP4-20(2005)。どれも私が大好きなクルマです。店主の「わかってる感」が伝わってくるラインアップ。
この雰囲気の中でおいしいピッツァやパスタをいただける、レースファンにとってこれ以上の幸せはないのではないでしょうか。
ちなみにお店の奥にはもう一つショーケースがあって、そちらにはライコネン~ヴェッテル時代のフェラーリグッズを中心に展示されています。
これはいいお店を見つけました。毎年、エミリア・ロマーニャ GP やイタリア GP の前後に食べに来て雰囲気を楽しみたいくらい。
あるいは日本 GP やオーストラリア GP の当日はパブリックビューイングとかやっていないんでしょうかね?青山のホンダ本社でのパブリックビューイングイベントが期待できなくなった今、こういう場所で他のファンと一緒に盛り上がりたい気もします。
絶対にまたちょくちょく来ようと思います。
ごちそうさまでした。
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