『DUNE/砂の惑星』の二年半ぶりの続編が公開されたのでさっそく劇場へ。
前作でも感じたことですがこれは絶対に IMAX で観るべきスケールの映画。配信が始まってから自宅で、なんてもったいない。私は本当は池袋の IMAX/GT シアターで観たかったのですが油断していたらこの週末のシートが埋まってしまい、次点としていつもの品川 IMAX で観てきました。一口に IMAX シアターといっても映画館によってスクリーンサイズとか座席配置とか全然違うから、同じお金を払うなら少しでも良いスクリーンで観たい。
PART 1 では世界観の紹介からアトレイデス家の滅亡、そしてポール・アトレイデスが惑星アラキスの先住民族フレメンに合流するまでが描かれました。いわば二時間半使ってようやくプロローグが終わった状況。そこから本作ではポールがマフディー(救世主)として覚醒し、フレメンの蜂起を促して宿敵ハルコンネン家はては宇宙皇帝と対峙するまでが描かれます。尺は前作を超えて 166 分の大長編ながらシナリオ的には忙しく、思いのほかテンポ良くイベントがこなされていった印象。でも個人的には 150 分を超える映画にはインターミッションを設けるようにしてほしい…。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だから映像は本当に美しい。砂漠の情景、サンドワームの巨大さ、ハルコンネン家の気持ち悪さ、特徴的なメカニック…スクリーンが大きければ大きいほど没入できる映像美が素晴らしい。その反面で表現は全体的に叙事的で淡々としており、話がどんどん進んでいくこともあって要所要所で置いてかれる感がありました。チャニとかスティルガーのように行動原理がシンプルなキャラクターはそれでも良いけど、主人公ポールの態度が状況によってコロコロ変わるから彼を理解することが一番難しかった。映像には没入できるけどキャラクターの心情には没入しづらい作品だと思います。まあヴィルヌーヴ監督作品はどれもそんな感じですが。
元々は長編小説の映像化だから脚本的には詰め込み型になるのはやむを得ません。でも独自用語が多いのにほぼ説明なしで進んでいくからついて行くのが大変でした。まあ本作の場合は原作小説の影響を受けた数々の SF 映画やアニメがあるため、そういうのを観ていれば観ているほど理解のための補助線が多数引かれているようなものと言えます。惑星アラキスの生活は『スター・ウォーズ』のタトゥイーンや『風の谷のナウシカ』から類推できるし、サンドワームもファイナルファンタジーシリーズに登場する同名の常連モンスター(見た目もそっくり)から生態は想像できる。個人的に意外だったのは、本作のポール/チャニ/レディ・ジェシカの関係が『水星の魔女』におけるスレッタ/ミオリネ/レディ・プロスペラの関係と重なって見えたこと。関係ありそうでなさそうな作品ですが、水星はいろいろな SF やファンタジー、神話から要素を持ってきているので影響を受けている可能性は否定できません。
話が横に逸れましたが、そういう意味で本作は SF リテラシーが問われる映画だと感じました。原作小説を読んでいるか、そうでなければ SF 作品にどれくらい触れてきたかで楽しめるかどうかが大きく変わってきそう。
ラストは少し後味の悪い、スッキリしない終わり方。続編作る気満々に見えました。当初 PART 2 までという話じゃなかったっけ?と思ったら、ヴィルヌーヴ監督は小説の 2 作目にあたる『砂漠の救世主』までを映画化するつもりのようですね。つまり、本作の興行成績次第だけど少なくともあと 1 作は撮るということでしょう。次はまた三年後くらいになるのでしょうが、今回で投げっぱなしになった伏線はたくさんあるし、それをどう畳むのか楽しみに待ちたいと思います。
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