「夢にまで見たうな重、発見」
Season7 をコンプリートして以来久しぶりとなる未開拓の聖地巡礼のため、はるばる葛飾柴又までやってきました。ええ、昨年のドラマ『孤独のグルメ』大晦日スペシャルで生ドラマパートの舞台となった地です。
東京に住んで二十年以上になるけど、柴又に来たのはこれが初めて。世代的に寅さんもまともに観たことがないし、こういう機会でもなければ来ることはなかったことでしょう。
柴又って駅からほんの徒歩数分で帝釈天があるのね。
駅前からしてもう参道だし、道沿いは完全に昭和が動態保存されているかのような佇まい。歩いているのは年配の人が多いけど、浅草なんかと違って外国人観光客はほとんどいないし、古き良き日本が感じられる。
そんな参道の入り口近くに構えているのが、こちらのお店。
ドラマでは大晦日の深夜でも営業している風の扱いだったけど、普段はそんなことはなく、不定休かつ 18 時ラストオーダーということで平日に来るのはハードルが高い。というわけで、まず間違いなく営業しているであろう休日の昼間を狙って来ました。
鰻を焼く匂いの破壊力、たまらんな~。
今年はまだ鰻、入れてない。
店先に並んだメニューには川魚系が目立つ。ああ、江戸川で獲れるからか…いかにも江戸の庶民料理らしい。こどグル的には、原作の赤羽まるます家回を思い出させる字面でもある。
見てたらもう我慢ならなくなってきた、店に入ろう。
空腹も寒さも限界だぞ。
店内、外観に負けず劣らず歴史を感じる。
古い木造建築の匂いがどことなく幼少期を過ごした実家を思い起こさせるような…。よくわからないけど、なんだか懐かしく、落ち着く感じ。
ランチタイムをとうに過ぎた時間帯だったから混んではいなかったけど、残念ながらゴロー席の隣に先客がいて、空いてるのにわざわざ隣に座るのも変な感じがしたので、ゴロー席を斜めに臨む位置に着席。
別の席にはいかにもな一人客。ああ、お仲間ですね(笑
振り返ると、そこは生放送で久住先生が座っていた座敷席。
座敷の向こうにはちょっとした日本庭園っぽいのも見えます。
ま、鰻が出てくるまでの間、熱燗でも飲りながら待とうじゃないの。
こうなると自分はゴローちゃんというよりも劇中の前田さん(伊東四朗)的な位置づけになっちゃった…飲んべえはいつだっていい気なもんだ。
銘柄でも熱燗でもなく「お酒」と頼むとこれが出てくるのが、こういう昔ながらの店らしいところ。昼間っから飲む熱燗が、喉の奥をチリチリと刺激しながら胃に落ちていく感覚がたまらない。
よ~し、よし。
特にアテもなく日本酒だけチビチビ飲んでいたところ、本命のうな重がおいでなすった。
待ちかねたぞ~。慌てて頼んじゃったけど、奮発して上にすれば良かったかな?
さておき、いただきます。
おぁ~~~っ。ふっくらと柔らかい鰻。ほわほわ。
これ(並)で 3,500 円というのはちょっと高い気はするけど、この鰻不足の折、本来は料亭をやっている店でこの値段なら納得するほかない。
そういえば鰻不足がニュースになるようになってからなんとなく食べづらくなって、去年は一度も鰻を食べなかったような。久しぶりなこともあって特に感動。
脂の乗り具合も、タレも完璧。今年最初にして、最高においしい。
うな重には当然肝吸いもセット。
肝吸いの滋味、これもまた落ち着く。
そして隣の席では川魚定食で瓶ビールを飲っているお客さんが。
鯉こく、常連…俺は、夢でも見ているようだ。
まさかとは思うけど、夢なら醒めないでくれ。
ああ、久しぶりのうなぎ、おいしかった。
熱燗込みでランチに四千円、つい大贅沢をしてしまった。
ところで劇中では放送終了間際にゴローちゃんが草だんごを頼もうとするシーンがあったけど、私は次の予定をもう決めてあるんだ。
そんなわけでゑびす家を出た後は、参道を奥の方に進んでみました。
とはいえさほど長いわけでもない参道、ほんの数分歩いたところで帝釈天の直前にあるこの店にたどり着きます。
ゴローちゃんと前田さん(というかまんま伊東四朗)がミニドラマパートを演じていた甘味屋「亀家本舗」。店先は持ち帰り用のだんご屋になっているけど中が飲食店になっていて、ドラマはこの中と屋上を使って収録されていた模様。
店内の入口にはガラスケース越しにさまざまな食品サンプルが。帝釈天参詣の帰りの甘味としてこういうの見せられたら確かにソソるかも。
柴又の名物の一つが草だんごということで参道沿いには無数のだんご屋が並んでいるけど、帝釈天の真ん前にあるこの店が最も存在感を発しています。
店内、そうとう寅さん推し。さっきのゑびす家も含め、この界隈の店は映画の撮影に使われるなど寅さんにゆかりのある店が多いようで、どこもかしこも寅さん一色。私は世代じゃないからイマイチありがたみが分からないけど、これはきっと自分にとってのルーク・スカイウォーカーやマーティ・マクフライの衣装みたいなもんなんだろうな(笑。
着席。あれ?壁の短冊メニューには確かに見覚えがあるけど、店内のレイアウトが劇中とは違うような。ああ、ドラマでは二階の店舗が使われていたということですかね。でもまあ雰囲気はそのものだし、まあいいや。
そんなわけでうな重の後のデザートは、アイス草だんごにしてみました。
シンプルに草だんごでも良かったけど、熱燗であったまった身体にはアイスのひんやりが欲しかった。他のお客さんも軒並みアイス草だんごを食べているようで、人気メニューじゃないですか。
あえて草だんごとあんこ、アイスをまとめて食べてみる。
それぞれ種類の違った甘さが渾然一体となって、単体で食べるよりも複雑なおいしさを形成している。これは確かに、普通の草だんごよりもアイスつきのほうがおいしいかも。
食べている間に、さっき近くの席で鰻を食べていたおじさんがこちらのお店にもやってきました(笑。やっぱり同業者(ぉ)でしたか…。
巡礼後には軽く帝釈天参りもして、初めての柴又を堪能。
近年の東京からは失われつつある昔ながらの東京らしさを満喫できて、楽しかった。
ドラマのほうは今のところ Season8 のニュースも出てきていませんが、まずは近いうちに大晦日スペシャルの京都・名古屋へ巡礼に行ってこようと考えています。
ごちそうさまでした。
今年も健康で、もりもり食べられますように。
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