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東京都三鷹市 お母さんのコロッケと大皿家庭料理

「なにせ俺は今、腹が減って死にそうなんだ。もはや、蕎麦とか日本人とか言ってる場合じゃない」

お食事 樹

ドラマ『孤独のグルメ Season2』最終話に登場した、三鷹の「樹」を訪れてみました。年末にたいやき立ち喰いそばを食べに来たところではありますが、このお店だけは夜に収録(ぉ)に来たかったので、改めて。

この店構え。いいじゃないかいいじゃないか。
ここで迷っていたら、腹の虫が暴動を起こしそうだ。

私がお店に入ったときには既に店内はかなり賑わっていました。ほぼ満席状態で、お客さんも入れ替わり立ち替わり。カウンター席にも空きが出る間がないくらい、繁盛しています。でも意外にも、ドラマを観て来た一見さんは我々くらいのもので、ほとんどが地元の常連さんといった雰囲気。

おしながきには、カツ、フライ、唐揚げ、焼き魚、スタミナ、炒め物、み~んな定食。
うーん、いい。こんなんでいいんですよ。今の俺には。

さあ、なんでいこう。


何はなくともまず麦酒(むぎジュース)!!

やっぱりこういう店には瓶ビールですよ。しかも、出てくるグラスの大きさがバラバラというあたりがまたいい(笑。
親戚か、友だちん家に来たみたいだ。

最初は餃子から入れていこう。

盛りつけを美しくしようという概念があまりないのが、却って家庭的(笑。
ニンニクのにおいがガツンと効いていて、これはビールに合いすぎる。

なすの生姜焼。ピーマンが合わせてあって、上から鰹節がたっぷり。
生姜の味と香りをなすがみんな吸い込んで、これも正しい瓶ビールのおつまみ。

続いて玉子焼き。一口サイズに切り分けられたオーソドックスなだし巻き卵が出てくるかと思ったら…これは予想外。オムレツ状の大きな玉子焼きがどーんと出てきました。
でも、出汁が効いた甘めの味付けで、とても懐かしい味。なんというか、ばあちゃん家の味。

ドラマのスタッフからするとこういうのが「おふくろの味」なんでしょうが、世代的には私からみると「ばあちゃんの味」なんだよなあ。味付けとか味わいだけじゃなく、いろんな思い出とかがくっついてくるから余計に感情を揺さぶられる。そんな味。

さあ~て、大皿料理、いってみましょうか。こういうおばんざいの大皿がカウンターに並んでいる店って、それだけで嬉しくなってしまう。
ゴローちゃんは「三品定食」で食べてたけど、今回はそれぞれ単品でいただきます。

…これは難しい…うまそうだなぁ~。煮物もいいし、どーんと存在感のあるハムや薩摩揚げも欲しくなるなぁ~。

よし、迷ったときには全部だ(ぉ

最初は豚の角煮から。角煮の背後にある飴色の物体は、なんとじゃがいも。
「ふらっと QUSUMI」コーナーで久住さんが食べていたのはこれですね。

じゃがいも、しみてる。じゃがいも、いい。
豚とじゃがいもの連携プレイ、最強のコンビだなあ。

角煮と一緒に煮込むものといったら煮卵か、せいぜい大根か青梗菜くらいだと思うけど、このじゃがいもには恐れ入った。豚のうまみが全部じゃがいもに凝縮されていると言ってもいいくらい、じゃがいもがうまい。これは自宅でも試してみたくなるなあ~。

続いて、どーんとハム。三種類のハムに加えてソーセージが盛り合わせになってます。
これだけ上等で厚切りのハムって、お歳暮でもらいでもしない限りそうそう食べないもんなあ。こういうの、ちょっとした幸せだよなあ。

こまいの一夜干し。肉厚でうまい。これぞビールのつまみ、という感じ。
骨まで丸ごと食べられます。

もうたまらず焼酎に移行します。奄美の黒糖焼酎「れんと」をいただきます。クラシックを聴かせて熟成させたという、知る人ぞ知る焼酎。
ロックで頼んだら、大きめのグラスになみなみと注がれてきました。いいよ、いいよ(笑

大皿料理後半戦、いってみよう。これはゴローちゃんも食べてた鴨と青菜のマリネ。

マリネっていうからにはあっさりしてるのかと思ったら、なんだか鴨の味もマリネソースの味も濃い。これはうまい!
それに、青菜がいい働き。しゃきしゃき、しゃきしゃき、しゃきしゃき。ふふ、なんだか楽しい。

うん、正解。

筑前煮風の、里芋の煮物。こういうお店の家庭料理の王道。
子どもの頃は、こういうの、インパクトがなくて夕食に出てくるとがっかりしたっけ(笑。

これまたどーんと、薩摩揚げ。おろし生姜に醤油を垂らして、これぞ焼酎のつまみの定番。
小さい方にはじゃこが混ざっていて、これがまた嬉しい。

これだけの料理を、毎日、毎日。みーんな、手作り。
こういうのが、実は一番うれしいんですよ。

大皿料理は以上。残念ながらこの日はぶり大根はありませんでした。
この冬は帰省しなかったし、富山県人としては、ぶりが旬なうちにぶり大根を食べたいと思ってちょっと無理して 1 月中に訪店したのに食べられなかったのは心残りだけど、こればっかりは仕方ない。
実は遅い時間になってから、どれか完売した大皿のかわりにおでんが追加されてきたけど、さすがにお腹いっぱいで入らず(笑。

じゃあ、本命の定食、いただきましょうか。
私は当然コロッケ定食。まあ、三人でそれぞれ定食を頼んで、おかずは三等分するわけですが。

けっこう大ぶりなコロッケ三つに、いかにも手作りって感じのマカロニサラダとキャベツの千切り。おかずにもなりそうな具だくさん味噌汁がまた嬉しい。

コロッケにソースをかけるときって、わくわくする。
…でも、本当においしいコロッケってソースなしでもじゅうぶんうまいんだよなあ。

薄めの衣でカリカリっと揚げられたコロッケに、中はふんわりとしたじゃがいもと挽肉。
うん、正しいコロッケ。
熱いコロッケでごはんって、最高。

衣の表面にも、コロッケの中にも見える黒いツブツブは、黒胡椒かな?
全体的にすごくしっかりとした味がついたコロッケで、ソースは全然必要ない。私はもともと揚げ物にはあまりソースはかけない主義だからってのもあるけど、これは本当に素材の味だけでいただけるコロッケだと思います。

こちらはハムカツ定食。「ハムカツ」という言葉から連想される姿とは違って、分厚いハムカツ。さっきの大皿に載ってたハムをそのまま揚げたものでしょうが、これは下手なとんかつよりも食べ応えがある。

うん、メシに合うぞ。

豚肉生姜焼定食、これはどうだろう。

肉の量、味付けまで含めたボリューム感、どれをとっても今回食べた定食の中でいちばんパンチのある味。
おお、正しいごはんのおかず。

なんというか、どの定食もいかにも男性の単身者が好むボリュームと味で、おかあさんが息子に作ってあげた晩メシ、というイメージ。
店内を見渡すと、どのお客さんもみんな地元の独身男性か、単身赴任で近くに住んでいるサラリーマン、という雰囲気。私は料理をしないので、独身の頃は外食かコンビニ食ばかり、そのうちそういう味にも飽きて一人メシが億劫にさえなっていましたが、そういうときにこういうお店に出会えていたらなあ、と思いました。当時『孤独のグルメ』に出会えていたなら、私もそうやって一人メシを堪能する独身男性の一人だったかもしれず、そういう意味では「その辺の地味なお店に向かわなかった足の向きを変えさせた」という、この作品に対する評価は私も共感できます。

店内には松重豊さん&久住昌之さんのサイン色紙こそありませんでしたが、壁には『溝口憲司(このドラマの監督)のめし屋放浪記』という手作りポスターと、番組収録時に撮影されたと思われる集合写真が貼られていました。このポスターは番組スタッフによる『吉田類の酒場放浪記』のパロディでしょうが、番組そのもののポスターではなくこれが貼られるあたりに、このドラマの手作り感であったり酒場放浪記に対するリスペクトが感じられますね。
このポスターに書かれているサブタイトルがまだ仮のものだというのが興味深かったり。そして「シーズン 3…そういうのもあるのか?」というのはなんかの伏線かと期待せずにはいられません!

ここにして、本当に良かった。俺、ついてる。
今度また、違う三品で挑みたい店だ。

…そういえば、デザートのみかんが出てこなかったような(笑。

『孤独のグルメ』聖地巡礼 全店レポート Season1~10&原作
ドラマ&漫画『孤独のグルメ』の聖地を実際に巡礼してきた本人によるまとめです。(※2017 年大晦日スペシャルの広島編、2019 年大晦日スペシャルの釜山編、2023 年大晦日スペシャルの台湾編、および原作の病院、パリのみ未巡礼)。 ドラマ...

コメント

  1. sakusan より:

    絶対にいつか食べにいく!と思いたくなるような
    懐かしい味、においが感じられる写真ばかりで、
    食欲が出てきました。

  2. B より:

    ありがとうございます!
    このシリーズ(笑)は写真にはこだわっているつもりなので、嬉しいです(^^;;

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