ドイツGP決勝 ヴェッテルが辛くも逃げ切り母国GP初優勝 – GPUpdate.net
タイヤ問題で荒れに荒れたイギリス GP の翌週ということで、引き続きタイヤに関しては不安の残ったドイツ GP。それでも、ピレリの見解によるとバーストの原因は「タイヤを左右逆に装着していた」「タイヤの内圧を下げすぎていた」ことで、該当するチームにのみ問題が発生していたと。確かに、メルセデスあたりは以前から左右逆装着をしたほうがパフォーマンスが上がることに言及していましたし、内圧を下げすぎて耐久性に問題を起こしていたことは過去に 2005 年のアメリカ GP でもあったわけで。まあピレリタイヤの信頼性に対する疑問符は消えませんが、タイヤの内部構造のベルトをスチールから昨シーズンのケブラーに戻す、という話もあるので、しばらく様子を見ましょうか。
予選は今回もメルセデス。ハミルトンが圧倒的な速さで PP をもぎ取りましたが、今回は完全に予選向きのセットアップにしたことが裏目に出て、レースではペースが伸びず。スタート直後にヴェッテルとウェバーがハミルトンを簡単に抜き去り、得意の 1-2 体勢を築きます。が…、ウェバーが初回ピットイン時に右リヤタイヤがちゃんと装着されていない状態で発車してしまい、そのままタイヤ脱落。つけ直して再スタートはしましたが、これでウェバーは完全に表彰台圏外へ脱落。
レース中盤、マルシャのチルトン車が白煙を上げてストップし、そのまま SC 導入。蓋を開けてみるとヴェッテル-グロジャン-ライコネンのオーダーになっており、タイヤ的にはロータス有利。それぞれがどういうピット戦略でチェッカーへ向かおうとしているかが注目されましたが、先に動いたのはグロジャン。それに合わせるように、ヴェッテルも翌週ピットに向かいます。
ここでライコネンがフライングラップを叩き出し、ヴェッテルを交わした上で新品タイヤでコースイン…かと思いきや、まさかのステイアウト。もしかしてこのまま無交換でチェッカーまで走りきる気か…?と思ったら、今度は 50 周目で不可解なピットイン、中古のソフトタイヤに交換します。
どうも、無線の不調でピットとの意思疎通が十分ではなかったようなのですが、ロングスティントで走りきるか、ヴェッテルの翌周にピットに入るか、のどちらかだったのでは。最後タイヤ交換をしなければ走りきれないという判断でピットインしたのでしょうから、ヴェッテルの翌周に新品ミディアムタイヤに交換するのが正解だった可能性が高いと思われます。
しかし、それでもライコネンにはファイナルラップまでにヴェッテルにギリギリ追いつける目算があったはず。実際、ラスト数周はコンマ 4 秒ずつタイムを詰めていくことに成功していました。それが…、僚友グロジャンの無駄ながんばりに数周付き合わされた挙げ句、チームオーダーで何とか譲ってはもらえたものの、最終的にヴェッテルとジャスト 1 秒差、2 位でのチェッカー。ロータスはセカンドドライバーの自己中心的な振る舞いによって開幕戦以来の勝利をフイにしたと言っていいでしょう。グロジャンのレースエンジニアである小松礼雄さんは少なくとも二度にわたってグロジャンにオーダーを伝えていたようですが、もっと強く伝えるべきだった。前戦イギリスでも SC 時のピット判断を誤ってライコネンの表彰台をフイにしてしまったし、ロータスはどうもレース戦術で失敗することが多いですね…。
結果的に、ヴェッテルにとっては直接のライバル 2 人とさらにポイント差を広げることができた、理想的なレースになりました。カナダ GP のときに 36pt あったアロンソとのポイント差は、イギリスで詰められたものの今回改めて 34pt 差となり、前回のリタイア分をきれいにカバーできたと言って良いでしょう。シーズンはまだ 10 戦残っていますが、アロンソから見れば「2 レース消化して 2pt しか詰められなかった」という状況で、なんだかんだ言って今シーズンもレッドブル+ヴェッテルは明らかに強い、ということだと思います。
昨年までに比べるとレッドブルのアドバンテージは大きくはなっていませんが、対するフェラーリ、ロータス、メルセデスともに「何かがちょっとずつ足りていない」状況。とはいえ、この後のハンガリー、ベルギーともにマシンパフォーマンスよりもドライバー要素が占める比重が大きなサーキット。アロンソやライコネンのドライバー力による逆襲に、期待したいと思います。
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