「胃袋よ待たせた、もう大丈夫だ。じきに良き肉を入れてやる」
今シーズンも精力的に進めている『孤独のグルメ Season8』聖地巡礼、今回は昨夜放送されたばかりの第 5 話の舞台・浅草を巡礼してきました。
孤独のグルメで浅草と言えば原作の豆かん回の聖地であると同時に、毎シーズンの最終話のラストで「明日は浅草か」という井之頭五郎のモノローグで締めるのが定番にもなっている土地。そんな象徴的な場所がついにドラマに登場するということで、これはもしかしてこれをもってシリーズ終了なのでは…?という不安が脳裏をよぎりましたが、何事もなかったかのように普通に続いていくようです(笑。
それではいってみましょう。今回の目的地は、浅草寺から言問通り方面にちょっと歩いたところにある、こちらのお店。
浅草でタイ料理とは、これまた奇妙な組み合わせ。
下町の景色の中に唐突に現れるタイ国旗と電飾のインパクト。
この一軒だけ、風景から浮いている。
外見に違わず中もビンビンに異国。
でもこのピンクの壁、タイレストランというよりは、スナックの居抜き感ある(笑
劇中では布が貼ってあったけど、実際は客席周囲の壁、全部鏡張り。
そして壁には松重さんの初主演映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』のポスターが。私が行ったのは放送前だからこの店が取り上げられることはまだ公表されていないはずなのに、こういうところから滲み出てしまっています(笑
メニュー、難解。
トムヤムクンやゲーンキョウワンガイ(鶏肉のグリーンカレー)くらいなら分かるけど、それ以外は名前だけ読んでもさっぱり分からない。
まずは生ビールからいくでしょ。
タイ料理だけど、日本人としてはやっぱり最初は日本の生ビールから始めたい。
薬味はいかにも辛そうな唐辛子系にナンプラー、それと…えっ、砂糖!?
こいつらを使って自分好みに味を調えていくらしい。
ちなみにドラマでは鍋が出てくるまで 30 分待つというくだりがあったけど、確かにそれぞれの料理が出てくるまでにそれなりの待ち時間がありました。
見たところタイ人のお母さんが一人で厨房を担っているようで、時間がかかるのも無理もない。放送後は大変なことになりそうで、巡礼するなら少し期間を空けた上で予約して行くのが良いと思います。
手始めにカオグリアブクン(えびせん)から。
パリパリなえびせんは間違いなくビールに合う。
頼んですぐに出てくるのも嬉しいところ。これで限界を超えた空腹が、とりあえずゼロ地点に戻るぞ。
そしてこれもビールのお供的な、パッ・パクブン(空芯菜の強火炒め)。
中華やアジアンで空芯菜があると、どうして頼まずにはいられないんだろう。
このストローみたいな中空部にタレが染み込んで絶妙にうまい。空芯菜の本体って本当は茎なんかじゃなくて、この中空部なんじゃないだろうか(哲学
ナムトックムー(ローストポークのイサーン地方サラダ)。
ご覧の通り、サラダと言いつつガッツリ系のパクチーポーク。
何これ…ロースト感とスパイス感が手に手を取ってやって来て、超うまい!
ピリ辛どころか、けっこうしっかり辛いのが遅れてやって来る。でもうまい、どんどん後を引くような味。
この辛さはさらにビールを引き寄せる味だ。
チャーン、レオ、シンハー。タイを代表するビールがどんどん進む。
やっぱりこういう辛味には薄口のビールを水代わりに飲むに限る。
そして…弥生式土器()のご入場。
本命チムチュム(ハーブ鍋)の準備が整いました。
へええ、スープの中にはハーブたっぷり。
初体験のハーブ鍋、どんな味がするんだろう?
来た来た、浅草寺に神輿が集まって来たぞ。
牛、豚、鶏、大集結。肉の三社祭状態。
日本の鍋でこんなに肉たっぷりってのも、あまり見たことがないよなあ。
これだけの量の肉を見ると、さすがに気分が高揚してくる。
肉を鍋に入れる前に、生卵をよく溶いて肉に絡めていきます。
期待が高まっていく瞬間だけど、ここまでいろいろかき混ぜていくと、もはやどれが何の肉か不明。
こちらは野菜たち。
白菜とエノキをはじめとした様々なキノコ類というあたりは日本の鍋と似たような感じだけど、この野菜群の中にもさらにハーブ。
このハーブ、「ホラパー」という名前でバジルの一種らしい。バジル鍋っていうとオシャレな響きだけど、さらにタイ流。これはどんなことになっちゃうんだ。
ホラパーをよく煮込んだ鍋の中にさらにホラパーと他の肉や野菜を投入して、グツグツ。
しばらく煮込むと、確かにバジルのようなミントのようなハーブらしい香りが立ちこめてきて、食欲を刺激する。
そろそろか…?
火が通った具に辛ダレをちょっとつけたら、いただきます。
おお…爽やか。この鍋、爽やかうまい。
ハーブの香りがすごくいい。こんな味わいの鍋、今まで食べたことがない。
これはちょっとしたカルチャーショック。
鍋をだいたい食べ終わったら、いったん〆の麺を投入。
この米麺がきしめんよりもさらに平たい独特の麺で、見るからに面白い。
さらに溶き卵を投入して、肉と野菜とハーブのうまみが凝縮されたスープで麺を煮込んでいきます。
煮込まれてモッチモチになった麺はうどんやきしめんとは違う、米だけど汁ビーフンともまた全然違う、平たい餅のような食感。それが今まで食べてきた鍋のうまみを全部吸っているんだから、うまくないわけがない。
しかし…ここでゴローちゃんが麺の後に米を投入して「〆の二次会」をやろうとは、さすがに想像できなかった。というか最近のゴローちゃん、とにかく何にでも米投入しすぎじゃないの?(;´Д`)
初体験のハーブ鍋に衝撃を受けたけど、案外ペロリだ。まだまだうまい、まだまだいける。
ゴローちゃんに負けるわけにはいかない、ここは他のメニューにも挑戦していくべし。
まずはチムチュムのうまさにタイビール群がすっかり空いてしまったので、ここからはハイボール。
そして料理は久住さんが食べていたトムチュー・タウフー(豆腐のあっさりスープ)を追加。
豆腐はタイ語でも「タウフー」なんだな。日本語も中国語も「豆腐」で、英語圏でも「TOFU」と呼ばれているし、トウフは万国共通らしい。
こちらはさっきのハーブ鍋とはまた方向性が違う。パクチーが合う、優しい味。
さしずめタイ風湯豆腐という感じか。疲れたときに飲むと、胃に染みわたるに違いない。
さらに豚トロのスパイシー炒め。優しいスープから再びガッツリ肉に戻ってきた。
放送では使われていませんでしたが、久住さんはこれも食べたそうですね。
同じ豚トロでも、ハーブ鍋で煮込むのとは全然味わいが違う。
この辛ダレの酸っぱ辛さがたまらない。ここにきて再び王道のタイらしさに帰ってきた。
オーラスは、これまた久住セレクションのパッ・シーユー(タイ風焼きそば)。
鍋の〆にも出てきた米の太麺を濃い味付けで炒めた変わり種。麺のモチモチが面白い、そしてタレの味を麺が受け止めてうまい。
いやぁ…大満足。浅草で、とんでもない鍋に出会えた。
ついこないだ出張でタイに行ったばかりだけど、本場で食べたどんな料理よりもディープなタイだった。
まあ仕事が忙しくてほぼホテルと用務先の食堂でしか食事できませんでしたけどね(´・ω:;.:…
今までの俺は、そんじょそこらのタイ料理屋だけでタイを分かったつもりになっていたようだ。
でも今回だけではメニューにある料理のごく一部しか試せていないし、メニューに載ってない品がさらにその二倍はあるというのだから、この店は底が知れない。
こりゃあ混雑が落ち着いた頃に、改めていろいろ食べに来るしかないか。
ごちそうさまでした。
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