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F1 イギリス GP 2020

F1イギリスGP決勝:劇的決着、ハミルトン満身創痍の優勝。フェルスタッペンわずかに届かず2位

舞台をシルバーストンに移しての F1 第 4 戦イギリス GP。開催前にセルジオ・ペレスが COVID-19 に感染したことが発覚し、レーシングポイントは急遽代役としてニコ・ヒュルケンベルグを招聘する…というドタバタから始まりました。しかもヒュルケンベルグは予選まであまりブランクを感じさせない好走を見せていたにも関わらず、決勝ではギヤボックストラブルのため出走すらできず…というあまりに残念な結果に。以前から表彰台に乗れそうで乗れなかったヒュルケンベルグ、今回は競争力のあるマシンを得てついに…と思わせましたが、とことん「持ってない」。おそらく翌週の第 5 戦にも継続起用されるものと思われますが、果たして。

前戦ハンガリーではメルセデスの前に惨敗を喫したレッドブル・ホンダ。フリー走行では好タイムを記録し、多少はギャップを詰めることに成功したかと思ったら、予選ではフェルスタッペンがメルセデスに 1 秒以上の差をつけられて 3 番グリッド。アルボンに至っては Q2 敗退という有様で、相変わらずメルセデスが強すぎる。

決勝はメルセデスの二台が好スタート。フェルスタッペンはスタート直後にルクレールに仕掛けられたものの凌ぎきり、それ以降はメルセデスを追撃態勢に入ります。が…、メルセデスの二台はレースペースでもコンマ 5 秒ほど速く、ジワジワと引き離されていきます。しかしルクレール以下よりは明らかに速く、フェルスタッペンは終盤までほぼ一人旅状態に。
それ以降は 5~15 位くらいまでは接近戦で面白い展開ながら、トップ 3 は序盤でほぼ順位が確定したような状況になってこれはもうつまんないな…と感じていた矢先、11 周目にアルファタウリの D. クビアトが単独クラッシュ。縁石に乗ってスピンしたようにも見えましたがタイヤトラブルの可能性もあり、これがレース終盤に大きな意味を持ってくることになります。また、このタイミングでグロジャンとアルボン以外の全ドライバーが予定より早いピットストップを行い、残りの周回をタイヤ交換なしで走りきる戦略に変更。

中盤以降、アルボンやハミルトンなどのタイヤに少し不可解(周回方向とは逆)なグレイニングが出始め、何人かのドライバーがグリップ低下を訴え始めます。ストロールあたりがズルズルと順位を落とし始めたと思った矢先、残り 2 周というところで 2 位を走っていたボッタスのタイヤがバースト!ピットまでかなり距離がある地点でスピードを失い、ボッタスはこの時点でポイント圏外へと脱落。
ここでレッドブルは後続とのタイム差を利用しフェルスタッペンをピットに呼び込み、ファステストラップを獲る作戦に出ます。…が、ファイナルラップに入ったところでハミルトン車のタイヤまでもがパンク!ハミルトンが残り半周あまりを壊れたタイヤで走りきるのが先か、フェルスタッペンが追いつくのが先か…結果、何とかマシンをコントロールしきったハミルトンがフェルスタッペンよりも 5 秒早くフィニッシュラインを通過し、三連勝をマークしました。

フェルスタッペンは惜しかったですね…あそこで「ボッタスに起きたことはハミルトンにも起きる」と考えてステイアウトさせていれば勝っていた可能性が高い、けどフェルスタッペンも同様にタイヤを壊していた可能性もある。それよりもファステストラップポイント 1 点を獲りに行ったのはチームとして攻めた結果でもあります。個人的にも、レース内容としてはハンガリーに続き完敗だったんだからタナボタの 1 勝は無意味と思うと同時に、それでも苦しい中で 1 勝を挙げることでポジティブに回り始める部分もある、という複雑な思い。チームおよびドライバーとしては 3 位が最善の結果と考えていたところに望外の 2 位+ファステストラップが転がり込んできたことを肯定的に捉えているようなので、それで良しとします。
それにしても、こういうレースでタイヤを失いながらも優勝するハミルトンと、2 位目前でノーポイントに終わるボッタス。そして巡ってきたチャンスなのに出走さえできなかったヒュルケンベルグ…各ドライバーの「持ってる」「持ってない」が好対照に現れたレースだったと言えます。そういう意味では、ピレリタイヤの最初の犠牲者になったと思われるクビアトも「持ってない」方に含まれるんだろうなあ…。

12 番手からスタートしてレース開始直後にマグヌッセンと接触、いったん最後尾まで落ちたアルボンはさらに 5 秒ペナルティまで食らうという散々なレースでしたが(私はあの接触ではアルボンは悪くないと思う)、最終的に 8 位まで戻してきました。が、序盤の接触もそもそも上位スタートしていれば避けられたものだし、相変わらずフェルスタッペンの援護がほとんどできていない現状。今の RB16 がフェルスタッペン以外には乗りこなせないほど気難しいマシンであることは事実でしょうが、残念ながら今回も厳しい評価をつけざるを得ません。これはヴェッテル復帰の噂が絶えないわけです。

アルファタウリはクビアトは残念でしたが二台ともレースペースは悪くなく、ガスリーが 7 位フィニッシュ。中盤にジョビナッツィ攻略に手こずる場面が見られましたが、その後にヴェッテルを一発で料理するなど光る走りを見せてくれました。ホンダ勢は 4 台中 3 台が入賞ということで、厳しかった中でも悪くない結果だったと言えます。

ここまで 4 戦でハミルトンは優勝×3、3 位×1 という圧倒的な結果。4 戦全てで入賞しているのはハミルトンただ一人という安定感で、これは今季も誰一人ハミルトンに勝てそうもありません。これまでのどのシーズンよりもメルセデスが圧倒的で、だんだんミハエル一強時代のフェラーリを見ているような気分になってきました。
今週末は同じくシルバーストンで「F1 70 周年記念 GP」。今回でタイヤが厳しいことが明らかになりましたが、次戦はさらに一段階軟らかいコンパウンドが持ち込まれる予定で、各チームがどのようなタイヤ戦略を採ってくるか見物です。こういう状況での奇策はレッドブルの持ち味でもあるので、何らかの形でレースを引っかき回してくれることに期待。

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