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ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

澤村徹 / ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

ソニーα7シリーズではじめるオールドレンズライフ

つい先月『オールドレンズはバベルの塔』を刊行したばかりの澤村徹さんがまたオールドレンズ本の新刊をリリースされました。この半年で三冊とか、ちょっとペース速すぎじゃないですか(笑。
ちなみに電子版があるかどうか分からなかったので私は発売日に紙版を買いましたが、現時点では Kindle 版もリリースされています。分かっていたら私も最初から Kindle 版を買っていたと思うけど、上質紙にちゃんと印刷された写真を見るのもたまには良いですね。

今回はソニー α7 シリーズに特化したオールドレンズの入門書的な位置づけです。
ミラーレスは各社から出ていてフルサイズ機ももう珍しくないけど、オールドレンズ母艦としてはマウントアダプターの選択肢の広さ等を考慮すると α7 シリーズが現在の最適解と言えます。初代 α7 の中古なら今や 6 万円前後から買うことができ、現行 α7 III は現行レンズと組み合わせて万能選手として使いつつオールドレンズもイケル、さらにそのコンパクトさでオールドレンズとの相性抜群な α7C まで登場し用途や好みに合わせて選び放題。
個人的には表紙に選ばれた α7C シルバーモデル+ツァイス・イエナのゼブラ Tessar という組み合わせが格好良すぎてまんまとボディごと買い足したくなってしまっています(笑。入門書でありながら、そういう「見た目からオールドレンズ道に入るのもアリ」という楽しみ方を表紙で示しているのが澤村さんらしいところ。

ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

表紙をめくると目次に次ぐ第 1 章がいきなりフレアとゴーストの話から始まるという構成に面食らいます。往年の名レンズをデジタルで使おうという話でも、昔のレンズでもよく写るという話でもなく、クセ玉の独特の描写こそオールドレンズの醍醐味と言わんばかり。近年では Instagram 起点で「独特の写真表現をする手法」としてオールドレンズに手を出すユーザーが実際に少なくないらしく、本書の本来のターゲット読者もそういう層なのでしょう。憧れのツァイスレンズを EOS で使ってみたかったからとか、出始めのミラーレスカメラでレンズの選択肢が少なかったからオールドレンズメインで使っていたのが起点な私のようなユーザーはもう古いということか。

しかし、現代のレンズメーカーがとにかくシャープで収差が少なくゴーストもフレアも出ないレンズを作るのに苦心している一方で、不完全なレンズを楽しむユーザーが一部とはいえジワジワ増えているのはなんだか皮肉を感じます。最近はカメラ/レンズメーカー側もそのトレンドを把握しているのか、例えばシグマの I Series のようにレンズの「味」を訴求する製品が出てきているのも示唆的ですよね。

ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

第 2 章は「ファーストオールドレンズカタログ」。初めてのオールドレンズとして選ぶべきレンズが並んでいます。
M42 の Takumar シリーズやツァイス・イエナ、ヤシカコンタックス、ライツ、ロシアレンズなどの定番どころが中心。しかし α7C との組み合わせを中心に掲載したオールドレンズ本はおそらくこれが初めてで、既にオールドレンズを何本も持っている私が読んでもレンジファインダースタイルとオールドレンズの相性の良さにシビれます。
特にこの↑Flektogon は年代によってデザインが違うことは知っていましたが、ピントリングの滑り止めがドットになっているタイプは初めて見たかも。また鏡筒が黒×シルバーのツートンになっているのも α7C のシルバーと激烈に似合う。自分の中でもう α7C を買わなくてはならない気分になってきてしまいました(汗。

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でも α7C のシルバーといえばやっぱり CONTAX G レンズとの組み合わせですよね。まるで CONTAX G のチタンシルバーに合わせたかのようなボディカラーはツァイス信者に強力なアピールを送ってきます。
「おれはオールドレンズ本を読んでいたと思ったら、いつのまにか α7C の販促本を読んでいた」な…何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった…。

ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

入門書なのでマウントアダプターについても手取り足取り解説されています。
通常のオールドレンズ本はさまざまなメーカーのボディについて書かなくてはならないため、キヤノンやニコン、オリンパスなどの解説ページを読み飛ばすのがちょっともったいないと思っていたのですが、本書は完全に α に特化しているので読み飛ばすところがないのが良い。
初めてのオールドレンズならば M42 や Y/C、ライカ L39/M あたりが定番かと思いますが、個人的にはコニカ AR マウントが気になる。α7 でミノルタ時代の SR/MC/MD/A マウントレンズを使うのは α の歴史的経緯からいって定番だけど、α に至るもう一つの流れであるコニカ Hexanon を使っている人はかなりの少数派。まあ実際にソニー α はコニカよりもミノルタの血の方が濃いのは事実ですが、Hexanon は評判が良いオールドレンズだし、ちょっと天邪鬼なこの組み合わせが粋に感じるじゃないですか。

ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

後半に行くに従って紹介されるレンズチョイスがどんどんマニアックになっていき、入門書を読んでいたつもりが気がついたら沼に片脚を突っ込んでいる感覚。いや沼ではない、天国だ!
しかも各レンズの紹介が非常に端的で解りやすい。以前のオールドレンズ本で読んで知っていても改めて欲しくなる推しの強さを感じます。これが「沼への道は善意と物欲で舗装されている」というやつか…。

ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

オールドレンズを使うためのボディ側のセッティングや使い方についても画像つきで詳しく解説されています。ここまで詳細に説明できるのが機種限定ムックの良いところ。
この設定解説ページは既に α7 シリーズでオールドレンズを使っているユーザーにも改めて勉強になる部分が多いのではないでしょうか。またオールドレンズ撮影に最適化する設定は AF レンズ向けの設定とは相容れない部分も多く(AF レンズ向けの設定でオールドレンズも撮れるけど MF 最適化設定した方がいろいろと捗る)、やはり現行レンズ用の α7 とオールドレンズ用の α7 の二台体制が正解なんじゃないかと思えてきます。やはりこれは α7C を買い増すしかないのか…?

ソニー α7 シリーズではじめるオールドレンズライフ

そして沼の入口の一つであり終着点でもあるのが現行 MF レンズ群。「新品のオールドレンズ」という矛盾した存在です(笑。超広角レンズに F1.2 や F0.95 などの超大口径レンズ、過去の名レンズを復刻したレンズなど大手メーカーにはないラインアップが多数。また本当のオールドレンズと違って新品ということは、品質も価格も安定していて手を出しやすいということでもあります。個人的にはこれからオールドレンズ的なものに手を出してみたいという人がいたらまずはフォクトレンダーの現行品を勧めるでしょうね。
一方で、こういうレンズがどんどん(特に中国メーカーが多数参入しているのが大きい)出てきているということは、「オールドレンズ的なもの」の世界にこれからも選択肢が増え続けるということでもあります。既存レンズだけでも底なし沼なのに、こちら側の底もどんどん深くなっていくという、げに恐ろしきオールド/MF レンズの世界。

こう立て続けにオールドレンズ本を読んでしまったら、もう現行レンズで写真撮ってる場合じゃないですね(笑。今度の週末は α7 III とオールドレンズを持って出かけよう。

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