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騙し絵の牙 [Netflix]

劇場公開時に観に行こうと思いながらタイミングが合わなかった映画が Netflix に来ていることに気づいたので、自宅で鑑賞しました。

騙し絵の牙

キャスティングが豪華なわりにあまりプロモーションされていなかったのか(?)それほど盛り上がっていた印象がありませんでしたが、大泉洋主演のビジネスミステリー映画です。

日本を代表する文芸系出版社・薫風社(文藝春秋がモチーフになっていると思われる)の派閥争いを題材とした作品。創業家一族の社長が急逝し、その後継者としてやり手の東松専務(佐藤浩市)と御曹司(中村倫也)の後見人たる保守派の宮藤常務(佐野史郎)が派閥争いを繰り広げます。その主な対象となるのが社を代表する文芸誌「小説薫風」と廃刊寸前のカルチャー誌「トリニティ」。社長に就任した東松は転職組の速水(大泉洋)をトリニティの編集長に抜擢し、立て直しを軸に社内改革を進める。速水は小説薫風編集部をクビになった新人編集者・高野(松岡茉優)をトリニティに引き抜き、カルチャー誌としてはあり得ない企画を次々と打ち出していく。そこに大物小説家・二階堂(國村隼)や彗星の如く登場した新人小説家・矢代聖なども絡み、薫風社の内紛は激しさを増していく…というストーリー。
個人的には大泉洋・佐藤浩市・佐野史郎・國村隼というキャストを見てこれは面白いに違いないと思いました。それぞれ様々な役どころを経験してきた俳優陣が互いに権謀術数を張り巡らすシナリオと芝居は非常に緊迫感があります。國村隼演じる二階堂は、外見をかなり筒井康隆に寄せていてちょっと笑ってしまいましたが(笑。

騙し絵の牙

タイトルが『騙し絵の牙』なだけあって、とにかく先が読めない化かし合いが続きます。序盤こそ守旧派と改革派の騙し合いですが、中盤以降はもう誰が誰を騙すためにやっていることなのか解らなくなるくらいに伏線が多い。私はサスペンスでは犯人やトリックに途中で気づくことが少なくないのですが、本作に関しては「それはわかんなかったわ!」というトリックが複数ありました。これはやられた。
本作の「騙し」の核は大泉洋演じる速水にあるわけですが、この大泉洋は本当に当たり役ですね。後で調べてみたところによると塩田武士による原作小説自体が大泉洋に当て書きしたというから、それも当然か。大泉洋といえばコミカルな役のイメージが強いですが、シリアスな作品の中で「一見ふざけているけど実は何を考えているか分からない策士」をやらせるとうまいんですよね。どういう状況であっても常に懐にいくつかの手札を隠し持っている感じがあって。個人的には三谷幸喜の『清須会議』で演じた秀吉以来の当たり役だったと思います。

邦画でこれだけ引き込まれた作品は本当に久しぶり。いい映画でした。

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