スポンサーリンク

専用すぎる腕時計展 2

原宿で開催中のこちらの展示イベントを見に行ってきました。

専用すぎる腕時計展 2

専用すぎる腕時計展 2

セイコーが一般販売を前提としない形で企画・試作したユニークな専用腕時計のイベントです。一年前の第一回を見てとても楽しかったから今回も楽しみにしていました。赤くて三倍速い奴、に限らず「専用」と言われるとテンション上がるのがオトコノコの常。

会場内には六種類の「専用」腕時計が展示されています。

専用すぎる腕時計展 2

まずは「忍者専用腕時計」。専用設計するにしたって現代に存在しない(はずの)職業というのがいきなりぶっ飛んでます(笑)。でもそれくらいぶっ飛んでるほうが架空の企画としては面白い。
文字盤の表記が数字ではなく十二支になっているのが江戸時代以前感があります。言われてみれば昔は「丑三つ時」みたいな言い方でしたよね。この時計の表記は午後(午:12 時~亥:23 時)をベースにしているようですが。

ベルトが一般的な革でもメタルでもなく忍者が腕に巻いているアレのような意匠になっているのもポイント高い。私の心の中二が「これ巻いてみたい」と言っています。

専用すぎる腕時計展 2

設計図が巻き物(笑)裏蓋には「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」って刻印してあるし(笑。
作った人がいかにノリノリでやってたかが伝わってきます。

専用すぎる腕時計展 2

見た目だけでなく実用性も忍者の仕事に役立つよう熟慮されています。隠密行動時には金属製の蓋に換装して時計の故障を防ぐとともに防具としても役立つ(?)のに加え、暗闇でも手探りで時間が分かるよう文字盤は立体形状になっています。なんか「もし現代に忍者がいたら」的なファンタジー映画とかで小物に使われてもおかしくないクオリティー。

専用すぎる腕時計展 2

この押し出しの強いデザインの時計は「クラブ DJ 専用腕時計」。
文字盤をミラー、風防をハーフミラーにすることで合わせ鏡の効果を生み出し、文字盤の奥行きが無限にあるような錯覚を生じさせるデザインです。

あとは夜行性であるクラブ DJ の生態を考慮してか日光によるパワーリザーブができないソーラーではなく機械式時計というのもポイント。DJ のイメージとは真反対の機械式っていうところが逆にイイ。

専用すぎる腕時計展 2

針や文字盤には蓄光塗料が使われており、暗くなってからがこの腕時計の本領。
しかも文字盤の表記が「1 時から 12 時」ではなく「18 時から 5 時」で、さらに 24 時以降の表示の方がハッキリ見えるようになっているのが面白い。

専用すぎる腕時計展 2

こちらの怪しいデザインは「ヴァンパイア専用腕時計」。ついに人外向けの腕時計までデザインされたか(笑
血の色をあしらった意匠はいかにも吸血鬼向けという感じですが、よく見ると文字盤が 12 時間制ではなく 24 時間制になっています。パイロット等が使う 24 時間計のムーブメントを採用しているようですが、展示スタッフによると「ヴァンパイアは夜間しか活動できないから今が昼なのか夜なのかを正確に把握する必要があるため」とのこと。すごい、大真面目にヴァンパイアのペルソナを分析した上でデザインされてる(笑

専用すぎる腕時計展 2

ベゼルについているラインストーンはただの飾りかと思ったら、ダイバーズウォッチの回転ベゼルの機構を応用して「最後に吸血した日から何日経ったか」をカウントする機能が付いていました。日数が経つごとにラインストーンの色が薄くなって、血が足りない状態を表すのか。アイデアとデザイン一発勝負の企画かと思ったら想像以上に細かいところまで練られています。

専用すぎる腕時計展 2

ちなみにこのヴァンパイア専用腕時計は自動巻きで三日間のパワーリザーブに対応するようですが、棺桶型の化粧箱に「AUTOMATIC 3 DAYS」ではなく「AUTOMATIC 3 NIGHTS」と書いてあるところまでヴァンパイア専用(笑。ここまで徹底されたらもう降参するしかありません。

専用すぎる腕時計展 2

「ゆで卵好き専用腕時計」。料理系ということでは前回も「すき焼き専用腕時計」というのがあったけど、今回はさらにシンプルな料理に向けてきました。
見るからにおいしそうなデザイン、ケースには卵殻を 10% 配合したプラスチック素材を採用、ということでこれこそ見た目オチな時計だろうと思ったら、

専用すぎる腕時計展 2

好みのゆで加減をセットしてゆで卵タイマーとして使える…はいいとして、美しいゆで卵を作るためにお湯をかき混ぜるべき時間帯は腕時計も分針がぐるぐる回り、それ以降はゆであがり時間まで分針がゆらゆらスイングする…という機能搭載。思わず「馬鹿wwwww」と笑ってしまいました。

こういうのを普段はグランドセイコーとかを手がけているデザイナーが真剣に企画しているというから尚更面白いわけです。

専用すぎる腕時計展 2

このちょっとゴージャスなデザインは「サンタクロース専用腕時計」。
サンタクロースってあんまり腕時計をしてるイメージがないのですが、それでも夜の間にプレゼントを配りきらないといけないわけだから確かに時間にはシビアな職業か。(職業…?)

これも先ほどのヴァンパイア専用と同様に 24 時間計のムーブメントを採用しています。まあそれ以外は単純に見た目重視…なわけはなく、

専用すぎる腕時計展 2

ダイヤル全体にルミブライトが塗布されていて、暗闇での視認性抜群。
さらにフィンランドから世界各国へと飛び回るサンタクロースだけに GMT 機能も搭載。しかも GMT 針が星マーク、秒針はトナカイの形で文字盤の上を飛び回るのがカワイイ。とても夢のある腕時計じゃないですか。

専用すぎる腕時計展 2

サンタクロースらしい意匠が施された金色の蓋もついていて、これを閉じれば子どもたちの寝室にプレゼントを置きに入るときにルミブライトの光が漏れないようになっています。
いいですねーこれ。サンタクロースじゃなくてもクリスマス時期だけこれつけていたいくらいです。

専用すぎる腕時計展 2

最後は「恋する乙女専用腕時計」。なんだよそれ(笑。

もうこれこそ見た目的に恋する乙女専用だよね、という感じなのですが、なんと花びら占い機能が搭載されています。花びらを一枚ずつちぎりながら「好き、嫌い、好き…」とやる古典的なアレですね。
ボタンを押すことで花びらが描かれたダイヤルが回転し、窓から覗く「LOVE me(好き)」と「LOVE me NOT(嫌い)」のどちらかが最終的に表示される仕組み。それも一発でバシッと決まるわけじゃなくて回転の最後がゆっくりになったりフェイントをかけたりしてきて演出が侮れません。

専用すぎる腕時計展 2

デザイン、かなり試行錯誤した形跡あり。本来の腕時計としての機能があるんだかないんだか分からないくらいに見づらい時計ですが、それも却って恋する乙女の盲目感あって良い(笑。
ちなみにこの腕時計は品川女学院(中高一貫校)が監修に協力しているとのこと。あの学校企業コラボ案件を多数抱えているのは知ってましたが、こんなのもやってたのか。

専用すぎる腕時計展 2

というわけで、今回の展示会もとても楽しめました。

私はこういういい大人が真剣にふざける企画が大好きです。でも真面目な話をすると、既存の市場ばかりを見て仕事をしているとどうしてもこれまでの延長線上にあるものしか出てこないわけです。そこでいったん極端なユーザーを想定して機能やデザインを特化させることで発想を飛躍させる、そういうのがイノベーションに繋がっていくのだと思います。腕時計が「時間を見るだけならスマホがあれば十分」とか「機能的にはスマートウォッチの方が」とか言われがちな昨今、こうやって既存の領域を飛び出して考えることで腕時計の未来が何か見えてくるのではないでしょうか。セイコーって真面目でお堅い企業というイメージがありましたが、去年から始まったこの企画を通じてだいぶ印象が変わりました。

第三弾以降も期待していいんですかね。来年も楽しみにしています。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました