蒲田にビリヤニの名店があると聞いて食べに行ってきました。
東急側の蒲田駅を出てすぐ、雑居ビルの5Fという絶妙に入りづらい立地にあるインド料理店です。でもお昼時にはこの店を目指して狭いエレベーターに乗り込む人は少なくなく、私もその一人として雑居ビルに突入。
孤独のグルメをきっかけにインド料理の中でも南インド系に目覚めた私としては、看板の「南インド」の文字が輝いて見えます。
エレベーターを降りた瞬間から感じるお香の香り。店員さんは当然として店内の雰囲気やBGMも完全にインド。近年は「ガチ中華」と呼ばれる本格中華が一部で流行ってますが、この店はさしずめ「ガチインド」なんじゃなかろうか。
店内ではインド人の集団が右手を見事に使ってカレーを食べているし、日本人のお客さんもなんだか皆インド料理上級者に見える。ちょっと気後れしながらも入店。
この日のランチタイムはバイキング形式でした。壁沿いに並べられた大皿から好きな料理を好きなだけ取っていい。
チキンビリヤニを筆頭によく知るインド料理もいろいろあるけど、初めて見るようなのもあってちょっとドキドキ。でもせっかく来たからには一通り試したい。
冷菜やデザート以外の料理は固形燃料で保温されていて、いつでも温かい状態でいただけるようになっています。確かにこういう料理はスパイスが活性化した状態で食べてこそだと思うので、この気配りは嬉しい。
とりあえず第一弾。
大皿の上に金属製のカレー小皿がいろいろ並ぶのはインドカレーの定番だけど、それを自分の好きなように組み合わせていいというのは初体験。これだけでテンション上がります。
カレーはチキン(アラチュビュッタチキン)とエッグマサラ。そしてビリヤニ用にライタも取ってきました。
ヨーグルトサラダ的なライタ、昔はイマイチおいしさが解らなかったけどビリヤニに混ぜたらめちゃくちゃうまいことを知って以来大好物になりました。単体で食べてもそんなにおいしくないですけどね。
右の赤いのがチキンビリヤニで、左側の白いのは「ギーライス」というらしい。バスマティライスでバター混ぜご飯的にしたもの、ということですが単に炊いただけのバスマティライスよりも旨味が増して、カレーとの相性もすごくいい!これは良いものを知った。
あとはチキンティッカとクルチャ。このランチビュッフェにはナンはなく、代わりにクルチャが用意されています。そういえばナンって本来は北インドの宮廷料理であって日常の食べ物ではない、という話を聞いたことがありますが、やはり本場ではクルチャの方が一般的ということでしょうか。こういうところからも感じるガチインド感。
第二弾。ギーライスとビリヤニのおかわりに加えて、緑色のがほうれん草のウッタッパム(米豆生地のパンケーキ)とドーナツ状のものが「ワダ」。見た目のイメージに反して甘くなくモソモソとした食感だから単体で食べるよりはカレーと合わせたい。
カレーはチキンのおかわりとダール(豆)、野菜カレーとワダの味付け用のディップ(チャツネ)。
それぞれ、これは好きな味、こちらは単体ではそんなに好みじゃないけど他のカレーやビリヤニと混ぜるとおいしい、とかいろいろと試行錯誤しながら食べるのが楽しい。
最終的には皿の上のもの全てが渾然一体となって胃に収まっていく、これが南インド流。
食後にはバイキングの端っこにあったフルーツカスタードと、別料金のマンゴーラッシー。
フルーツカスタード、思ってたよりガッツリ甘い!でもスパイスになってしまった口を中和するにはこれくらいの甘さが必要な気もする。そしてマンゴーラッシーでスッキリ。これですよ。
いやー、おいしかった。
で、ちょっと気に入ってしまったので日を改めてまた来てみました。
そしたらどうやら休日のランチは日によってメニューが異なるようで、この日は「ケーララオナム祭りランチミールス」のみ。ここに書かれている14種類の料理が全部楽しめるミールスらしい。
ランチビュッフェする気満々で来たからちょっと驚いたけど、それでもこれだけの料理を堪能できるならば望むところです。
注文するとまず目の前に巨大なバナナの葉が敷かれます。
銀皿の上にバナナの葉を敷いて出してくれるインド料理店には行ったことがあるけど、こんなに大きな葉っぱそのものを食器代わりにして食べるのは初めて。これは楽しい!
他のテーブルを見回すと、店員さんがこの三連のバケツみたいなものを持ってバナナの葉の上に料理をサーブして回る仕組みらしい。
カレーって見た目だけで何がどれかを判別するのも難しいしこの店の場合食べたことがないものも出てくるけど、サーブするときに店員さんがそれぞれどれが何かを教えてくれるからちょっと安心できます。
こんな感じでバナナの葉の上に2~3品ずつサーブされていきます。なんだかインド料理のフルコースをいただいてる気分。
南インド料理をそこそこ食べ慣れたつもりでいる私でも見たことのない料理がいくつか。中央の赤いのはビーツのウッペリ(蒸し炒め)、そしてその左の黄色いのはなんとパイナップルのカレー!これはさすがに食べたことない。カレーといってもほとんど辛くなく、かといってデザートのような甘さではなく、前菜的に食べたりスパイスで口が麻痺しそうになったら間に挟んだり、箸休め的に助かる存在。これちょっと気に入りました。
ライスは先日食べたギーライスとは違って、粒が大きめな「マッタライス」。サンバル(豆と野菜のカレー)はバナナの葉ではなくこのマッタライスの上にサーブされます。
バスマティライスとも日本米ともまた違った食感で、大粒なこともあって食べ応えあり。
そして主役がチキンビリヤニ。チキンがゴロゴロと入っていてボリューミー。
正直言うとビリヤニそのものがもっとおいしい店は他にもあるけど、ここはこのビリヤニ(おかわり自由)にいろんなカレーや南インド料理を好きなように組み合わせて楽しめるのが醍醐味だと思います。
小皿提供されるのはマトンカレー、ラッサム(トマトベースの酸っぱ辛いスープ)、口直しの無糖ヨーグルト、デザートのアダプラダマン(これまたガッツリ甘い)。
前回のランチビュッフェにはマトンカレーがなかったからちょっと嬉しい。
食べていると定期的に店員さんが回ってきて「おかわりどうですか?」と訊かれます。メニュー表には「サンバル、ラッサム、ライスおかわり自由」と書かれていたからそのつもりでいたら、ビリヤニだろうとカレーだろうといくらでもおかわりできるとか!思わずビリヤニとマッタライスをいただいちゃいました。
おかわりを持ってくる頻度といいおかわりを勧める圧の強さといい、「絶対に腹一杯にして帰す」という強い決意を感じる(笑。これは他のナン・ライスおかわり自由系のインド料理店でも感じることがあるから、それがインドのおもてなし文化なんだろうなあ。
とにかくおいしかったです。久しぶりにはち切れそうになるほど食べた。
あまり日本人に合わせてない系の味付けだから好き嫌いは分かれそうだけど、私は気に入りました。
ガチインドが食べたくなったらまた来よう。
ごちそうさまでした。




















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