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描く人、安彦良和 @松濤美術館

渋谷区立松濤美術館で開催中の「描く人、安彦良和」展を見てきました。

描く人、安彦良和

描く人、安彦良和

全国を巡回しているこの展示会がようやく東京会場まで回ってきました。ちなみに次は来春に新潟開催らしいですね。
私は安彦先生の原画展には何度か行ったことがあります。直近だと角川武蔵野ミュージアムで開催された「機動戦士ガンダム THE ORIGIN展」も良かった。
今回の展示会は画業50年を超える漫画家/アニメーター安彦良和氏の回顧展という位置付け。まあ回顧といいつつ安彦先生は現在もヤングジャンプにて『銀色の路-半田銀山異聞-』を連載中です。

私は今日開催された安彦先生とアニメーション監督のりんたろう氏との対談イベントに申し込んでいたのですが抽選に外れてしまったので(泣)同日の学芸員さんによる解説イベントに参加してきました。なお展示は一部を除き撮影不可だったので写真はあまりありません。

描く人、安彦良和

展示内容は全体の1/4くらいはガンダム関連(ファースト、Ζ、F91、THE ORIGIN)だったでしょうか。ガンダム関連の展示で未発表のものはほぼありませんでしたが、ポスターや各種雑誌/映像パッケージ向けイラストの原画を見られる機会は貴重。印刷物では表現に限界のある微妙な筆致や水彩・墨汁の滲みまで見えるとイラストの迫力がさらに増して感じられます。また近年ではTHE ORIGIN関連の原画等を目にする機会は複数ありましたが、ファーストガンダムやΖガンダムの原画や設定画を展示するイベントはしばらくなかったはずで、2025年になってそれらが見られるのは感激モノ。特にジャブローでのガンダムとシャア専用ズゴックの格闘シーンやア・バオア・クーでのアムロとシャアの肉弾戦のシーンについて一連の原画と実際のアニメーションを見比べる展示には人だかりができていました。完成品としてのアニメーション映像も素晴らしいけど、原画の線の生々しさや迷いのなさには目を奪われます。

回顧展ということで安彦先生の商業作品だけでなく少年期の作品や学生運動の結果逮捕された新聞記事(!)まで展示されていたわけですが、中学高校時代に描かれたと思われる勉強用のノートが衝撃的でした。単なるノートのイラストや落書きといったレベルではなく、手塚治虫風のキャラクターがまるで学習漫画のように各科目を解説していてそのまま売り物にできそうなレベル。また同じく学習用ノートに描かれた歴史漫画『遙かなるタホ川の流れ』も高校生の水準を逸脱していて、これを見せたら当時の虫プロに一発合格だったというのも納得です。

また安彦先生は漫画家として歴史漫画を中心に20作を超える作品を世に出していて、それらの展示も多数。私はガンダム関連以外の安彦作品に(漫画もアニメも)ほとんど触れてきていないのですが、知らない作品であっても人間の動きの美しさを感じられる一コマ一コマに見入ってしまうものがあります。そしてある種の集大成として漫画版の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が生まれたこともよく分かるわけです。
一方でアニメーターから漫画家に専念する過程で安彦先生はいくつものアニメーションの企画を起こしていて、実現されたものもあればそれ以上に世に出なかったものもあり、本展示会では日の目を見なかった企画の設定画や準備稿なども展示されていました。それらは安彦先生のご自宅に保存されていたもので、先生自身は「ゴミのようなもの」と仰っていたのを学芸員の方々が丁寧に選別して展示するに至ったとか。

描く人、安彦良和

学芸員さんの解説イベントから展示閲覧までゆうに二時間は在廊したでしょうか。それくらい物量があったし個々の展示物に力のある展示会でした。でも地方会場に比べて松濤美術館は展示スペースが狭く、展示物も絞り込まざるを得なかったとのこと。東京会場は二期制になっていて後期では一部を入れ替えて展示するそうです。

私は画力に当てられてTHE ORIGINをまた最初から読み返したくなりました。久しぶりに愛蔵版を引っ張り出してくるかー。

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