先日代々木方面に行く機会があったついでに久しぶりにこちらのお店に立ち寄ってきました。
二年前に表参道店を訪れた「おひつ膳 田んぼ」の代々木本店。私は二十年前に仕事でこの付近にある企業に一年ほど常駐していた時期があり、その当時ときどきランチに利用していました。
あの頃は精神的にどん底の時期で、ストレスのあまりモノがまともに食べられなくなったし食べてもおいしさを感じられなくなっていました。長期的にそうなったのなんて後にも先にもあの時だけ。そんな中で、月に二度ほど食べに来たこの店のごはんだけはおいしいと思えた。今にしてみれば、まさにこの店で食べている瞬間だけは「誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われて」いたのだと思います。
そんな場所に実に二十年ぶりに来てみました。お店の外観は当時から変わらずそのまま。でも当時は並ぶこともあまりなかったと思うけど、今やお昼時には大行列店になったようです(写真はこれでもだいぶ空いた時間帯に撮影)。私は休日11:30に到着して30分ほど並んだところで入店できました。
メニューは表参道店と同じですね。おいしいことが確約されているおひつご飯と、どれを選んでもご飯との相性抜群なおかずの組み合わせ。目移りしてしまいます。
二十年前の私は手を出しやすい「昼おひつ膳」の二種類を交互に食べていました。今回は当時を懐かしみたくて、さば味噌煮の昼おひつ膳を注文。
素朴な雰囲気の店内。ビル自体は鉄筋のようだけど内装だけ古民家風になっています。
昔は囲炉裏風の大テーブル(相席前提)と小上がりという構造だった記憶がありますが、現在は席数を増やすためか小上がりを廃止してテーブル席に置き換えられているようです。
そうこうするうちに私の昼おひつ膳が到着。見た目の配色こそ地味ながら、間違いなく私にとっては大の御馳走。
このときはさば味噌煮にしたけど焼しゃけも脂が乗っててめっちゃおいしいんだよなあ。
一人用のおひつで提供されるご飯。ここから自分で茶碗によそう工程が入ることでさらにおいしく感じられるのは何故なんだろう。
米そのものもこだわって選ばれているんだろうけど、ちょうど良い炊き加減のしかも炊きたてで提供されるからさらにおいしいわけです。本当、日本人にとって米がおいしいって大事。
豆腐となめこを具にして三つ葉を散らした味噌汁。たっぷりでやや濃いめの味付けで、これ自体がご飯のおかずにできる味噌汁。
ああ…しみじみとうまい。
そしてさば味噌煮。鯖自体によく味がついているけど、濃口の味噌だれがかかっているのがさらに良い。
鯖の周囲にはいろんな薬味がちょっとずつ添えられていて、それぞれ単体でご飯と食べても良いし、鯖と一緒に食べても当然おいしい。
このさば味噌煮と一緒においしいご飯を掻き込める幸せ。
サイドメニューとして玉子焼きも頼んでみました。
よく見たらさば味噌煮の付け合わせ的にミニ玉子焼きもついていたけど、もうちょっと食べたかったからちょうど良い。やや甘めだけど甘すぎず、ふっくらした玉子焼きがご飯によく合う。
どのおかずもおいしくて、おひつ一杯分じゃ追いつかない。ということでご飯おかわり。
この店に来たお客でご飯おかわりしていない人いないんじゃないかってほどにみんながおかわりしてます。それくらい、ここではご飯が主役。
おかわりご飯のお供として明太子追加。
ストレートに辛いわけではなく旨味を強く感じる絶妙な明太子で、これもまたご飯をどんどん呼び寄せる。
最後は玄米茶をかけてお茶漬けに。ちょっとだけ残しておいた鯖と明太子を具にすると贅沢茶漬けの完成です。
二十年ぶりの味は変わらずおいしかった。あの厳しかった一年を何とか乗り越えられた要因の一つは間違いなくこの店だったと思います。
心に癒やしが必要になったら、またここに食べに来よう。
本当にごちそうさまでした。













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