「俺の知らない韓国だ」
ドラマ『孤独のグルメ』の聖地巡礼はまさにSeason11のお店を巡っているところですが、並行して未訪だったお店を訪ねて韓国へ行ってきました。
今回の巡礼地は2019大晦日スペシャルの舞台となった釜山。韓国はSeason7の聖地巡礼で全州とソウルに行って以来8年ぶり。しかも釜山へは今回初めての訪問になります。本当はもっと早く来たかったところでしたが、ドラマの放送後ほどなくして世界的なパンデミックが始まってしまい後回しになったままだったのでした。
まずはドラマの釜山パート冒頭で五郎が降り立った海雲台(ヘウンデ)。美しいビーチとその向こうに見える高層ビルの景観が素晴らしい。見事なまでにリゾート地です。
五郎がタクシーから降りて地図を見ていた場所。ドラマから6年半が経ち、奥に見えるビルは当時とはテナントが入れ替わっているのが時の流れを感じる。
ちなみに五郎は福岡からフェリーで釜山港に移動した後にタクシーで海雲台まで来たものと思われますが、そのフェリー(クイーンビートル号)はその後JR九州高速船の不祥事等を経て韓国企業に売却され、現在は「パンスターグレース号」と名前を変えて釜山湾クルーズに就航している模様。今回は時間がなくてそこまでは見に行けませんでしたが、その気になればかつて井之頭五郎が乗った船に今でも乗ることができるというわけです。
タクシーを降りた五郎が歩いた道。先ほどの立派なリゾート地から唐突に昔ながらの漁村の光景に切り替わるのが面白い。きっと海雲台は元々は漁村だったのが近年になってリゾート地として再開発されたのでしょう。Googleマップのストリートビューの過去写真を見ると本当にここ十年ほどで開発されたことが分かります。つまり五郎がここに来たのは海雲台がリゾート地として確立した直後くらいだった、ということか。
ビーチからしばらく歩いたところにあるのが、五郎が茶器を求めて訪れたチャンさんの店。残念ながら開いている時間ではなかったので外観だけ。
ここから五郎はチャンさんのクルマに乗せられて、チャンさんの心当たりがある店というところに連れて行かれます。公共交通機関だと地下鉄2号線の大淵(テヨン)駅の近くにあります。
メインのお店の前に、五郎がおやつとして食べたインオパン(鯉焼き)の屋台を探してみたのですが…あるはずの場所には何も見当たらず。
この後にナッコプセの店主に尋ねてみたところ、「あそこは冬にしか店を出さないよ。春や夏にはやってない(意訳)」と英語で教えてくれました。日本だと鯛焼きは年中食べるけど夏場はそこまで食べたいとは思わないし、そういう理由でインオパンも冬しか売らないということでしょう。屋台だから出合えるかどうかは運だろうなあ、と思っていたから仕方ない。とりあえず現場を確認できただけで良しとします。
でも金海空港から直接ここに来てまだお昼も食べてない上に、インオパンが食べられないとなると…
ダメだ、
むちゃくちゃ、
腹が減ってきた!
劇中ではここから店探しが始まるわけです。
が、実際にはチャンさんのクルマから降りた場所はお店の真ん前。ここから周辺を少し探し回った挙句、結局スタート地点のお店に入ったことが現地に行ってみるとよく分かります。映像だと編集の妙であちこち歩き回ったように見えるけど、よく見ると「孤独カット」の背景にお店が写り込んでいるし(笑。
三角地に立つ少し変わった形のお店。放送から6年半経ってもお店自体は当時と変わらずそこにありました。
看板には五郎が店選びの決め手にした日本語の「たこ料理」の表記も健在。
劇中と唯一違うのは、
入口に大々的に井之頭五郎が掲げられている点。
台湾でもそうだったけど、海外のお店に入るのはちょっと緊張するからこうなっていると歓迎されているように感じて少し安心できます。
では、入ってみようじゃないか。アニョハセヨ。
入口脇にタコの生け簀。魚の生け簀は見慣れてるけどタコがウヨウヨいるのはちょっと怖い(汗)。まあこの後食べるんだけどさ。
14:30頃という中途半端な時間に来たからお店は貸し切り状態。そこに突入した我々をマスター(ドラマでは俳優さんが演じていたようです)がニコニコ顔で出迎えてくれて、当然のようにゴロー席に案内してくれました。
メニュー。ハングルなんて読めないんだけどとりあえず「ナッコプセ」とだけ言えば伝わるだろうと思っていたら、マスターが先んじて「ナッコプセ?」と訊いてきてくれました。まあスーツケースを転がした日本人が入ってきたらそのために来たことなんて丸わかりですね。マスターがすげえニコニコしてるからこっちまでなんか嬉しくなる(笑
とりあえず韓国ビールから。韓国では「カス」と「テラ」がビールの二大銘柄のようでどの店に行ってもどちらかのビールが置いてありました。
アジア圏のビールはどこもそうだけど、日本のビールに比べて味薄め、炭酸弱め、かつキンキンには冷えてないから日本人的にはちょっと物足りない。まあ喉越しを楽しむというよりは水代わりに飲む感覚なんだろう。
続いてパンチャン(おかず)の群れと、もやしスープ。
きたきた!韓国料理はこうでなくちゃ。ナッコプセが出来上がるまで、これとビールで繋ぎます。
野菜中心でヘルシー、味もさっぱりから酸味、マヨ、辛味まで幅広い。
でもその中で驚いたのがキムチがガッツリ辛い!今まで食べたキムチの中でもトップクラスの辛さ。でも妙にクセになる。
引き出しの中にはカトラリー。
韓国の箸、個人的には鉄箸なこと自体は別に構わないけど、平箸なのがちょっとだけ使い慣れない。
ここで店員さんが鍋を携えて登場。鍋というかフライパン。
具材が満載された鍋にコチュジャン的な調味料を入れてかき混ぜていきます。五郎が食べてたあんなに真っ赤な鍋、作り始めはこんなに白いのがちょっと意外。それだけこの赤い醤が強烈ということだろう。
かき混ぜては蓋をして煮立て…というのを完成までに3~4回繰り返します。鍋がだんだん赤くなってきた!
なかなか食べさせてもらえないのがもどかしいけど、この間に食欲がムクムクと育っていく実感がある。ああ、早く食べたい。
さらに待つことしばし、ようやくナッコプセが完成。
当初の白かった中身がいかにも辛そうな真っ赤に染まって、しかも山盛りあった具材から水分が抜けて平らに。それだけ味も辛さもよく浸みてるってことだろう。
では改めまして、いただきます。
辛く、ない。むしろ甘い。っていうかむちゃくちゃうまい!うまみしかない。
…と思ってたら、後からジワジワと辛さがこみ上げてくる。でもこれはイヤじゃない辛さ、旨辛だ。海鮮らしい風味も相まって相当いいぞ。
日本で食べるタコって、たこ焼きを筆頭に酢の物とか唐揚げとか、なんかメインっていうよりも軽食とか添え物っぽい立ち位置が多い気がするけど、ここのタコは立派に主役。むしろエビや野菜たちを従えてる風格すらある。
おっ、ホルモン。海鮮にホルモンぶつけてきたか。
でもそのミスマッチが逆にいい。海鮮風味の途中にいかにも豚の脂のうまみが挟まる。見事にこの鍋に馴染んでる、この味は日本じゃ食えんぞ。
この鍋は戦い甲斐がある。
熱くて辛くて、それをハフハフいいながら食べるのが楽しい。しかもテレビを観ながら想像してた味よりも格段にうまい。「想像を超えるうまさ」という言葉はまさにこういうときのためにあるのだろう。
ここでいったん場所移動。こちらのセルフ目玉焼きブースで五郎と同じように目玉焼きを作っていきます。
3月に行った台湾火鍋の聖地でもタレのセルフプロデュースコーナーがあって楽しかったけど、焼きまで自分でさせる店は焼肉屋以外では珍しい。
よし、絶妙の焼き加減。
この目玉焼き、単におかずの一種として扱っても良いってことだろうけど、孤独のグルメ的にはやっぱり、これはこうでしょう。
ナッコプセ目玉丼!
海苔をかける順番を間違えた(汗)。海苔の上に目玉焼きを乗せたほうが美しかったか…。
でも味の方は文句なしにうまい。そのもので食べても辛旨いナッコプセが、目玉焼きでマイルドになりつつ白飯と一緒になることで破壊力倍増。これはガツガツいけるやつ、食欲に火がついた。
ただし、これが〆ってわけじゃないんだよなあ。
というわけで〆のうどん!この鍋でうどんはヤバいな。
白かったうどんが見る見るうちに真っ赤に変わっていく。ちょいと焼きうどんチックなのもまた。
五郎も劇中で驚いてたけど、「うどん」って韓国でも本当にそのまんま通じるのが面白い。
他の言葉でも、それ韓国でも日本と同じ発音なんだっていうのがけっこうあって勉強になる。言語とか食とか、そういう文化が国境を超えて交じり合うところ。
おお…この食べ方、最高!最強!!めちゃくちゃウマシッソヨ。
ナッコプセ、辛いは辛いんだけど海鮮やホルモンの風味を伴ったうまみがギュッと凝縮されて、それを吸ったうどんが大ごちそうになってる。
顎が、箸が止められない。成田での離陸からここまで腹を空かせてきた自分へのご褒美だ。
大・満・足。
ナッコプセ、こんなにうまいものだったとは。しばらくした後にまた思い出して食べたくなるに違いない。
海の向こうからはるばる食べに来た日本人を歓迎してくれてる雰囲気も含めて、すごく楽しい時間だった。
釜山の真っ赤っか鍋との戦い、俺は生涯忘れないだろう。
世界の鍋道、無限に深い。
ごちそうさまでした。
■ドラマ『孤独のグルメ 2019大晦日スペシャル』聖地巡礼エントリーまとめ
1. 千葉県成田市の肉朝鮮焼定食
2. 福岡県福岡市のサバの活き造りとウニたっぷりクリームパスタ
3. 韓国釜山市のナッコプセ
4. 福岡県福岡市のとんこつラーメンとおでん


























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