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孤獨的美食家

ある方より海外土産としていただきました。

久住 昌之、谷口 治郎 / 孤獨的美食家

漫画『孤独のグルメ』の中国版です。『孤独のグルメ』は世界的にも地味な人気を誇っていて、かなり多くの国で現地語版に翻訳されて発売されていると聞いたことがありますが、まさかその実物を目にする機会があろうとは。
中国語でのタイトルは『孤獨的美食家』。何かのインタビューで、久住先生自身は「ゴローは別に美食家なわけじゃないから、このタイトルはちょっとニュアンスが違う」ということを仰っていましたが、直訳するとまあこうなりますね。

装丁は表紙からして国内版をかなり忠実に再現しています。

が、

なんと中国版の表紙は題字とゴローちゃんのみ光沢コーティング仕様!(笑
これ、オリジナルより明らかにコストかかってます。

帯にはなかなか壮大な謳い文句が。私は中国語は読めませんが漢字だけでだいたいわかります。
とりあえずゴローちゃんの「薄薄ーい本」ということはわかりました(違

さて、原語版は私自身熟読したと言って良いこの漫画。ゴローちゃんの「名台詞」が中国語だとどんな感じ(漢字、でもある)になるのか、見てみましょう。


不要著急、只是肚子餓了而已。(焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ)

おお、やっぱり漢字だけでだいたい想像できる。オリジナルの台詞を知っているからというのもあるけど。
それにしても「腹が減っている」を「肚子餓了」と書くと、もうなんか餓死しそうな勢いになってきます(笑

外帯!原来還可以這様。(持ち帰り!そういうのもあるのか)

「持ち帰り」って「外帯」って書くのか。日本語だと着物の帯っぽい雰囲気になるけど、確かに「外に帯びる(=持って行く)」だもんなあ。勉強になります。

最後那両盤…是致命一撃啊。(ラストの 2 枚…あれが効いたな)

「致命一撃」www
カッコつけてタバコ吸ってる場合じゃなくなってきました(笑

哇鳴、我好像人類火力発電廠!(うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ)

これは完全にそのまんま(笑)。ゴローの比喩表現は言語の壁を越えるのか…!

このコマではむしろ注目すべきは「嚼嚼」「呑・咬」「呑・咬」じゃないでしょうか。原語だと「もぐもぐ」「はふ・はふ」「むしゃ・むしゃ」となっているのが動詞に置き換えられています。中国語は日本語に比べて擬音語や擬態語が少ない(というか日本語がやたら多い)と言われますが、体系が違う言語に翻訳するとこうなるという例なんでしょうね。勉強になるなあ。

這種刻意的哈蜜瓜香料味!(このワザとらしいメロン味!)

日本語だと「ワザとらしいメロン味」とちょっと婉曲に表現しているのが、「蜜瓜香料味(メロンの香料の味)」と言われてしまうとミもフタもない印象になります(笑

進食時的気分 應該是種 不被任何人打擾、自由的…該怎麼説、要有被救贖的 感覚才行。単獨的、安静的、豊饒的…(モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで…)

来ましたよ、こどグル随一の名言。「単獨的、安静的、豊饒的」…やはり日本語よりもスケールが大きい感。国土の広い大陸のなせる業でしょうか、このゴローちゃんの顔が孟子か老子のように見えてきました(笑。

他にも、大阪の屋台の客が全員関西弁じゃなくて中国語でしゃべっていたり(この方言のニュアンスを中国語でどう表現しているのかはさすがに理解できなかった)、「俺は駅弁を食べ始めるのはせめて新横浜を過ぎてからだな」という台詞が中国語で表現されているのが妙にシュールだったり、これは日本語版に勝るとも劣らない独特の空気感。日本語版を読んであっても、いろいろと新たな発見があります。

そのうちドラマの聖地巡礼で台湾にも行こうと考えていますが、これで予習していけば完璧だね!(違

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