先日発売された VAIO SX12 または SX14 はとても欲しいんですが、近年の私のプライベートでのモバイル PC の使い方だと買っても元が取れるほど使えるかは微妙。でも六年前に買った初代 VAIO Pro 11 は性能的に物足りなくなってきているのも事実です。
Duo 13 も持ってるけどオーソドックスな Pro 11 のほうがなんだかんだ出番が多いんですよね。
というわけで Pro 11 に手を入れることで延命してみることにしました。とはいえ CPU も RAM もオンボードだからいじりようがないし、手を入れるとしたらストレージくらいしかありません。まあストレージを高速化すれば仮想メモリへのアクセスが速くなってメモリ不足気味な現状の緩和に繋がるだろうし、そもそも容量も足りなくなってきていたので大容量の SSD に換装することにしました。
Western Digital / WD Blue 3D NAND SATA SSD WDS500G2B0B (M.2 2280/500GB)
奇遇にも同時期に M.2 2280 の SSD を購入した方がいるようですが、私が買ったのはインターフェース的には旧式にあたる SATA 規格の製品です。TLC の 500GB SSD が七千円前後で買えるとは随分いい時代になったものです。
VAIO Pro 11 で使える SSD には
- M.2 2280 の SATA SSD(MVNe には非対応)
- 片面実装基板のモジュール(両面実装基板は物理的に装着不可)
という制約があります。間違えて異なる規格の SSD を買ってしまうと装着できないか、装着できても動作しないため注意が必要です。
このモジュールは片面実装のため、裏側にはメモリチップが一切搭載されていません。同シリーズでも 1TB 品はたぶん両面実装のため使用できないと思われます。
換装先の SSD への Windows インストールはリカバリディスクを使って初期状態からセットアップするか、ディスククローンツールを使って既存 SSD の環境をそのまま移行するかの二通りあります。初代 Pro 11 の場合はリカバリすると Windows 8 まで戻ってしまうので、今回はクローンツールを使って手間を省くことにしました。
クローンツールは EaseUS Todo Backup Free がポピュラーなようですが、一度試してみたところ換装後の起動に失敗。オプションを変えながら試行錯誤するのも面倒だったため、MiniTool ShadowMaker Free を使いました。ちょうどインプレスの下記記事で VAIO(現行世代だけど)の SSD 移行に使用実績を見つけたので。
最新VAIOの内蔵NVMe SSDを1TBに換装、ノートPCの容量不足を一気に解決! – AKIBA PC Hotline!
EaseUS ではクローンの手順やオプション項目がいくつかありましたが、Minitool ShadowMaker では特にオプションもなくシンプルにクローンするだけ。VAIO Pro 11 の場合はこれで何の苦労もなくディスククローンに成功し、起動までできました。クローンに要した時間は 128GB で 30 分ほど。
なおクローンする際には換装先の SSD を外付け SSD ケースに入れてコピーしたわけですが、どのケースを使ったかは後日紹介します。
Pro 11 の分解ですが、この製品は外から見えるところに一切のネジがない設計になっているため分解にはコツが要ります。
ネジは底面のゴム脚の下に隠されているため、まずはこのゴム脚を外します。ゴム脚は基本的に両面テープで粘着しているだけなので剥がすだけですが、短辺をつまんで引っ張るように剥がすとゴム脚が伸びてしまい再利用が難しくなるため、長辺側をスクレイパーや指の爪などを使ってゆっくりめくるように剥がすのが良いです。
ヒンジ側の左右のゴム脚の下に銀色のネジが各 1、パームレスト側左右の長いゴム脚(これが特に伸びやすい)の下に黒いネジが各 3、合計 8 本のネジが隠されています。これを外します。
ゴム脚を粘着させている両面テープは一度剥がすと粘着力が落ちてしまうため、新しい両面テープ(できるだけ強力なもの)への貼り替え推奨。
あと忘れがちなのが、底面中央にあるカバーの下、外付けバッテリ用の端子脇にある銀色のネジ。これを抜かないとボトムキャビを取り外すことができません。これも合わせると本体を留めているネジは合計 9 本になります。
パームレストとボトムキャビはネジに加えて外周全体にわたってツメで固定されているため、これを外していきます。指の爪でも良いですが、プラスチック製のスクレイパー的なものを筐体の隙間に入れていくと、「パチッ」と音がしてツメが外れます。順番としてはパームレスト手前側(SD カードスロットの上あたり)からスクレイパーを入れていき、次に左側面(電源入力や排気口があるほう)→ヒンジ下→右側面(USB やヘッドホン端子側)という手順で外していくのがお勧め。右側面はヘッドホン端子あたりが引っかかって外れにくいので、最後に外すのが良いでしょう。
ボトムキャビが外れました。この時点で SSD が見えているので、全バラしなくても SSD の交換が可能です。
底面から見て左上にある細長いカードが M.2 SSD です。初期状態では SAMSUNG 製の「MZNTD128HAGM」という SSD が装着されていました。
これを今回購入した SSD に差し替えます。
この SSD はモジュールの構造上ネジ一本で固定されているため、差し込みが甘いとコネクタの接触不良で OS が起動しなくなるというトラブルもままあるようです。SSD はできるだけコネクタに垂直に挿入し、固定ネジは(固く締めすぎて基板が反ってしまわない程度に)しっかり締めるのが良いでしょう。
SSD を換装したらあとは開腹したときと逆の手順でボトムキャビを戻していけば完了ですが、このときに SD カードスロットカバーを押さえているバネが外れやすいので要注意。外れた場合は上の写真のようにバネをカバー裏の突起に引っかけてからボトムキャビを再装着してください。こうしないとスロットカバーが開きっぱなし or 閉じっぱなしになります。
元の SSD をクローンしたので、換装したら電源を入れるだけで元々の環境が復元されています。ディスク管理ツールでみたところリカバリやシステム領域が細かく切られていて実使用領域が 400GB 程度しかありませんが、以前の SSD と比べて 300GB 以上増えているので十分です。
一応新旧の SSD を CrystalDiskMark 6.0.2 で比較してみました。
ドライブ | SAMSUNG MZNTD128HAGM | Western Digital WDS500G2B0B |
---|---|---|
Sequential Read (Q32T1) | 519.427 | 555.027 |
Sequential Write (Q32T1) | 113.391 | 523.302 |
Random Read 4KiB (Q8T8) | 342.248 | 328.964 |
Random Write 4KiB (Q8T8) | 75.764 | 231.591 |
Random Read 4KiB (Q32,T1) | 213.941 | 167.657 |
Random Write 4KiB (Q32T1) | 71.285 | 147.808 |
Random Read 4KiB (Q1T1) | 22.116 | 23.701 |
Random Write 4KiB (Q1T1) | 52.411 | 66.962 |
Sequential Read の値はそれほど変わっていませんが、これはそもそも SATA の転送速度上限(600MB/s)で頭打ちになっているものと思われます。一方で書き込み速度は軒並み旧 SSD の数倍単位で高速化していて、これは OS を使っていてもレスポンスが向上しているのが体感で分かるほど。やはりページファイルの書き込みが速くなった分、メモリ不足で遅くなってる感覚の軽減に繋がっているのかもしれません。私は「Windows 10 を使うならメモリは 8GB 以上必須」派なので根本的にはメモリ増設したいけどこの機種では物理的に不可能なため、SSD 換装が現実的な対策と言えるでしょう。
あくまでたまに使う&旅行に持って行くサブ機としてならこれでまだしばらく使えるかな、という感覚になりました。七千円でできる延命策としては上々でしょう。これで Pro 11 にはあと 1~2 年は頑張ってもらおうと思います。
コメント
b’s mono-log
管理人様
お世話になっております。
イーザスソフトウェアでございます。
突然のコメント、失礼いたします。
御ブログで弊社の製品をご紹介頂きまして感謝しています。
この記事を拝読した後、ちょっとお願いしたいことがございますので、連絡させていただきました。
より詳しい内容を読みたい読者様のために、お手数ですが、製品名EaseUS Todo Backup Freeへ下記の公式ページをアンカーテキストにて貼り付けて頂けませんでしょうか?
https://jp.easeus.com/backup-software/free.html
お忙しい中ご無理申し上げまして大変恐縮でございますが、ご検討頂けば幸いに存じます。
どうぞよろしくお願い致します。
コメントありがとうございます。
本当に製品名程度しかご紹介していないのになんかすみません…。
アンカー設定させていただきました!少しでも認知向上のお役に立てれば幸いです。