「濃厚タレ味にガツンとやられ、和風味に優しくされて、豚のツンデレ喰いだ」
ドラマ『孤独のグルメ Season9』の聖地巡礼も佳境に入り、残るは東北~北関東遠征シリーズのみとなりました。東京からだといずれも新幹線ですぐだけど、微妙にハードルが高い距離。どうしようかと考えていたところ、モトクロス観戦に菅生まで行くなら途中の郡山に寄れるじゃん!ということに気づいて寄り道してきました。
私は仙台なら何度も行ったことがあるけど、福島県は今まで通過するばかりで降り立つのは今回が初めて。鳥取も四国も韓国も聖地巡礼が初訪問でしたが、孤独のグルメきっかけで初めて訪れた場所がまたひとつ増えました。
福島県随一の都市にある郡山駅からローカル線でわずか一駅、舞木(もうぎ)は一転して長閑な田舎町。その舞木駅からそう遠くない場所にあるのが「舞木ドライブイン」です。
モウギ…ドライブイン…渋すぎる。
最近聞かなくなったよなあ、ドライブインって言葉。
見るからに昭和感あふれる建物。
看板を隠す勢いで立てられたダクトはいかにも後付け。この佇まいからして面白い。
放送後 2 ヶ月ほど経っているとはいえ、少し遅れて福島県内で放送されてからまだ 1 ヶ月も経っていないということで、混むかもしれないと思って早めの到着。でも先客はおらず一番乗りでした。
11 時開店のところ 10:45 頃までは他のお客さんもいなかったのが、開店 10 分前くらいからわらわらとお客さんが増え始め、結局行列に。
でも一番乗りならば間違いなく好きな席を選べます。目指すは窓際のゴロー席。
では、いってみようじゃないか。
おお…いかにも昭和風情の残る食堂。こんな店、自分の田舎にも昔あったようななかったような。
俺は今、得体の知れないノスタルジアに包まれている。
厨房からは調理が進むごとにモクモクとした煙が客席の方にも流れてきて、しばらくすると空気が白っぽくなってきた(笑。
なるほど、あのダクトは少しでもこれを外に流すためのものだったのか。
それにしても、厨房にかかってる暖簾、何故おわら風の盆(富山)なんだろう…。
ほぉ…御献立。
焼肉に炒めにフライ、丼にラーメンまで。無駄のない盤石の品揃え、どう切り込む?
ちなみに紙で隠されているのは牛タンの模様。牛タン高騰の余波がこんなところにまで。
メニューを眺めていると女将さんがおしぼりとお冷やを持ってきてくれたついでに
「ここ、(五郎さんが)座ったとこよ」
と耳打ちしていきました。完全にバレてる(汗
飲み物メニューには「レモン Cー」「タノーロス A」といった謎の品名が。
この「タノーロス A」というのは誤植で本当は「タイロス A」という栄養ドリンクらしいのですが、女将さん曰くもうメーカーが生産終了してしまったらしく、今は似たような別の栄養ドリンクを出しているそうです。定食屋に来て栄養ドリンクを頼むというのも変な感じだけど(笑
というわけで、焼肉定食。
おおぉ…いいじゃないか!当たりだろう。アルミ皿が泣かせる。
ちなみに放送を見た時点で並ライスを完食できる自信がなかったので半ライスで注文しました。
実は最初に注文する際に半ライスにするのを忘れていて後から変更してもらったんですが、女将さんは「本当にそれでいいの?」という感じでした。この店でライスを減らす客ってそんなに珍しいのか…?
半ライスといっても普通の茶碗にちょっと多めの一杯分。私の普段のごはん量より少し多いくらいです。
運んできたときに改めて女将さんが
「こんだけで足りんのかぇ?」
と念押し(笑。本当に半ライスの注文が珍しいのか、あるいは私がそんなに食べそうに見えたのか…。
味噌汁。なのにラーメンどんぶりにギリギリいっぱい注がれていて、こんな量の味噌汁一度に飲んだことない(汗
これ、一杯で一日の必要野菜摂取できてるんじゃないの?
いくら飲んで食べてもなかなか減らない、普通の人ならこの味噌汁とライスだけで十分なんじゃないだろうか。
ただの味噌汁と見せかけて、豚入り味噌汁。これは嬉しい。
どんぶりで具だくさんといえば、旭川の食堂の味噌汁がそうだったな~。
あそこのは確か、ちくわと卵が入ってた。
そして焼肉。
豚バラをそのまま焼肉にしてタレをかけたシンプルなもの。これでこそ『孤独のグルメ』。
こういうのでいいんだよこういうので。
うん、…いい!
濃いめのタレに舌が踊り、飯が走る。このパンチ力、身体が歓喜している。
豚バラのうまみとタレの味。見た目を、期待を裏切らないど真ん中ストレート。
それを気取らずにワシワシ食べる、これぞ健全な昼飯の光景。
続いて和風オイル焼肉定食の単品。
これがあるからライスを半分にしておいたと言って良い。ただ、劇中だと五郎はこの和風オイル焼肉を少なめで注文していたのに、私は少なめにするのを忘れた(汗
同じ豚肉でも焼肉定食とはちょっと違う、あっさりした見た目。豚しゃぶ的な感じか。
おっ、こっちもいいぞ。うまい!
ポン酢のさっぱり味が食欲を加速させる。
頭ではなく、身体がこれを欲している。ダブル豚にして大正解。
いや、味噌汁にもしっかり豚が入ってるから、豚がダブったどころかトリプってしまった。
しかし…焼肉も和風オイル焼肉もどちらもうますぎて、ライスがあっさり枯渇(汗
これはやっぱり並ライスにしておくべきだったか…いや、それだと絶対入りきらない。でも半ライスにしたことを少し後悔してしまうほどにうまい。
ちなみにこれは私が注文したものではありませんが、特製焼肉定食。
普通の焼肉定食は豚バラだったけど、特製はロースのポークソテーということらしい。味付けも普通の焼肉定食とは違う感じ。
今度また来ることがあったなら、次は特製を食べてみたいなあ。
こちらはイカフライ。どうやらイカの胴の部分をまるまる一杯分フライにしている模様。
でもゲソがない分、他の肉料理ほど暴力的なボリュームではないかな?
たっぷりのタルタルソースがついてくるあたり、タルタリスト的には見逃せない。
ちなみにライス並盛はこのボリューム。並盛のくせに吉野家の特盛より絶対多いんですけど!
これはもしメイン二品にライス並盛にしていたら、翌朝まで何も食べたくなくなったに違いない。
いやはや、おいしかった。
デカ盛り系の店だから味は二の次なのかと思っていたけど、正直侮ってました。
家庭料理とはちょっと違う、ちゃんと外食の味。それでいて毎日食べられそうな馴染みのある味。これでこそ地元の定食屋なのだろう。
他のお客さんが食べていたとんかつとかカレーとか、他の料理もボリュームがあってうまそうだったなあ…。
最後もゴローと同様に、テイクアウトで「ぞうりぱん」。
あんドーナツ的だけど、皮の表面にちょっとしたサク感があって…これは確かに「ぞうりマカロン」と形容したくなるのも分かる気がする。
甘すぎずちょっとした軽食にちょうど良い感覚。やさしい味が、この店の雰囲気をそのまま閉じ込めたかのようだ。
うーん、元気が湧いたぞ。
ありがとう、ドライブイン。
ごちそうさまでした。
そしてはるばる郡山まで同行してくださったお二方、ありがとうございました。
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