ソニー、1型センサーを採用した5G通信対応スマホ「Xperia PRO-I」 – デジカメ Watch
数日前からティザー広告が出ていた Xperia の新製品が発表されました。映像のプロに向けた「Xperia PRO」シリーズの一種として、1inch センサーのカメラを搭載した「Xperia PRO-I」とのことです。
基本的には Xperia 1 III をベースに 1inch の 24mm(相当)カメラを内蔵した 5G スマートフォンという感じ。1inch カメラ搭載スマホとしてはシャープやライカが先行していますが、彼らは 1inch 24mm の単焦点カメラ一本だったのに対して Xperia PRO-I は 24mm 以外にも 16mm/50mm(これらは小型センサー)を組み合わせたトリプルカメラであることが特長。カメラを重視したスマホとしてはこちらのほうがより現実的と言えます。
三眼カメラの一つに 1inch 24mm カメラを搭載したという点では、ある意味「Xperia 1 III に RX0 を合体させたスマホ」という見方もできるかもしれません。最近何度か書いているとおり現代の事実上の標準レンズは 24mm となっていて、その画質を最優先する 1inch センサーというのは正しい。しかし単焦点カメラでは物理的にカバーできない超広角とトリミングでは画質が厳しくなる望遠側を小型カメラで補うのも理に適っています。個人的には、テレ側を 50mm にしたのが良い。最近の Xperia のカメラは 24mm の次がいきなり 70mm で、カメラ慣れしたユーザーにとって扱いやすい 35mm や 50mm といった画角がデジタルズームになるのは不本意でした。そうすると 70mm 以上の望遠が足りなくなりますが、こんなスマホを使うユーザーならば望遠が要りそうな日は望遠に強いカメラをもう一台持っていくはず。来るべき Xperia 1 IV(仮称)のカメラも 16/24/50mm を軸にしてくれませんかね。
スペック周りの話は大手メディアで散々されていると思うので、私はちょっと主観的な話を。
携帯電話にカメラが当たり前に搭載され、写真や動画が人々のコミュニケーションを媒介する時代になって、専用機としてのカメラが生き残って行くにはカメラ自身が単体での通信能力を持つか、携帯電話のカメラでは撮れない映像が撮れるように特化していくしかありませんでした。途中パナの LUMIX CM1 のような例外はあったものの、カメラ業界は特化する方向を選択しましたが、スマホカメラの進化が速かった結果カメラ専用機に残った市場はプロユースに堪えるハイスペックか、超望遠/超広角などのスマホに搭載するのが物理的に難しかったところだけ。望遠や広角といった部分は現在進行形でスマホの侵食を受けているところです。個人的には十年くらい前からそういうジリ貧が見えている未来よりもカメラに通信機能を持たせるべきだと考えていたので、シャープやライカも含めてようやくそういうアプローチのスマホが出てきたかという印象があります(シャープ/ライカはどちらかというとスマホ側からのアプローチに近いけど)。
ただ、スマホカメラの進化は純粋なカメラとしての進化ではなく「コンピュテーショナルフォトグラフィ」と呼ばれる機械生成/補正/補完を前提としたものに変わってきており、従来型のカメラ的アプローチで作られたスマホがどこまで市民権を得られるかは未知数。最終的には分かりやすいコンピュテーショナルフォトが勝つんだろうなと思いつつ(私は「やりすぎ」は良くないけど多くのユーザーにとってこのやり方は正しいと思う)、健全な競争と進化のためにはオルタナティブは必要だとも思います。しかしこの手の高性能カメラと最新スマホって製品ライフサイクルが違うので、(近年スマホの買い換えサイクルが伸びているといっても)せいぜい 3~4 年で時代遅れになるスマホにこのスペックのカメラを入れて 20 万円というのはちょっと厳しいというのが正直な感想。仮に性能的には 4~5 年もっても、OS やセキュリティアップデートをそれだけ継続してくれる保証はないわけで…。
それでも一時期は潰れかけていた Xperia がこうやって独自性のある商品をちゃんと作ってこれるようになったというのは長年のユーザーとしては喜ばしい。決して数の出る機種ではないでしょうが、こういうのを通じて一定の存在感を放ってくれるなら、それはそれでアリだと思います。
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