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シン・ウルトラマン デザインワークス

週末に映画館に行ったら初回鑑賞時に買いそびれいていた『シン・ウルトラマン デザインワークス』が再入荷していたので、すかさず確保しました。

劇場内ショップではほとんどのグッズが売り切れ状態。デザインワークスは後日一般発売予定ということで劇場向けの再入荷はないのかと思っていたら、パンフレット同様に増刷がかかったようですね。

そのタイトルの通り本書は『シン・ウルトラマン』に登場するウルトラマン、禍威獣、外星人や各種プロップから果ては各種ロゴやセット・美術ボードに至るまで作品に関連するデザインの過程と成果物を網羅したムックになっています。映画を観てウルトラマンやベーターカプセルの美しさに見とれ、独創的な外星人のデザインに興味を持ったので是非読んでみたいと思っていたのでした。

ウルトラマン自体のデザインコンセプトは「最初のウルトラマンをデザインした成田亨氏が本来目指していたコンセプトに回帰すること」と「初代スーツアクターだった古谷敏氏の体型を再現すること」だったからデザイン作業もあまりブレずにバランスや質感の微調整が主だったことがよく分かります。一方で禍威獣や外星人に関しては「着ぐるみではなく CG で造るから空想科学的に正しそうなデザイン」を目指しつつ、映像的な見栄えと成田亨氏によるオリジナルデザインとの整合性も意識した意欲的なデザインが多い。それだけ試行錯誤した結果生み出されたデザインであり、本書に収録されている資料もウルトラマンより禍威獣・外星人の方が圧倒的に多いくらい。各種デザインは多くが山下いくと氏・前田真宏氏・轟木一騎氏・竹谷隆之氏がアイデアとラフデザインを出し、それに庵野秀明氏が取捨選択と修正指示を出すという流れで創られていったようです。外星人のデザインについて、庵野氏の解説がいずれも「山下いくと君のデザインラインもすごく良かったのですが」最終的に別案が採用されているのが不憫でならない(笑)。山下いくと氏のデザイン、引き出しが多い上に説得力もあって好きなんですよね…。

ガジェットオタク的視点では、禍特対メンバーである滝のガジェットやフィギュア満載のデスクの様子がじっくり見れて楽しい。とても他人の机とは思えません(笑

(↑写真は本書の内容とは直接関係がない、新宿マルイアネックスで現在展開されているポップアップショップ内の展示。期待して行ったのに展示点数が少なくて寂しかった)

本書は冒頭から 70 ページ余にわたって劇中に登場するデザイン関連の資料が掲載されていてそれだけでも圧巻なのですが、最後の 8 ページに掲載されている庵野氏の手記(インタビュー)や企画メモの情報量や未発表内容がそれ以上に衝撃的でした。むしろこの 8 ページを読むために買う価値があると言っても過言ではありません。『シン・ゴジラ』に続編の構想があったこと、『シン・ウルトラマン』も当初は三部作構想として企画されていたこと、そして『シン・エヴァンゲリオン』での NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の内容に関する苦言(笑)、など。また共同制作者である樋口真嗣監督への苦言もあったりして(笑)、劇場公開と同時に発行する印刷物にここまで書いていいの!?とこちらが心配になるレベルでさえあります。こういうのを読むと、樋口氏が監督を務めてはいるもののこれは紛れもなく庵野作品なんだと実感しますね。

私は既に劇場で二回観たのですが、三回目を観るか思案中。こういう制作背景やデザインへのこだわりを知って観るとまた楽しいんですよね。また、オリジナルの『ウルトラマン』の当該怪獣や異星人が登場する回や『シン・ゴジラ』を観てから劇場に行くのも面白い。特に前者はオリジナルのストーリーとの一致点/差分を確認したり、戦闘シーンのカット割りのオリジナルへのリスペクトを発見できるとすごく楽しいです。

本当に当初の構想通り続編が作られるかどうかは興行成績次第だと思うので、引き続き盛り上がっていってくれることに期待。

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