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爪痕 #2

穴水

先日に続き能登で撮ってきた写真を載せていきます。今回は旅の最終目的地だった穴水から。

※写真は全て α7 IV+FE24-105/F4G にて撮影。

和倉温泉に比べると穴水は地震の被害が大きく、駅に隣接するのと鉄道の本社社屋が大きな被害を受けて立入禁止になっていました。町の玄関口たる駅の真横からしてこれ、というのがちょっと衝撃的。

穴水

入口付近のガラスは割れ、剥がれ落ちた壁材はまだ放置されています。ガラスだけは危険なためか一カ所にまとめられていましたが、特に廃棄される様子もなくそのまま、というのはまだそれどころではないということでしょう。
本社の一階は土産物などの販売所になっていたようですが、中は荒れたままになっていました。

穴水

事務所と駅舎をつなぐ渡り廊下の屋根も大きく傾いたまま。自分たちの社屋がこんな状態なのに、のと鉄道は地震から三ヶ月で全線の運営を再開させたそうです。
能登半島は大半が山地で(関東の人なら伊豆半島をイメージすると分かりやすいかも)陸運のルートが限られるため、鉄道はまさに生命線のひとつ。関係者の皆様の尽力には頭が下がるばかりです。

穴水

このあたりは七尾の比ではないほどに液状化が酷く、想像を絶するレベルで地盤が荒れています。
海が近いから無理もないことではありますが、自分が立っている大地が実はとても不安定なものだった…と考えると恐ろしくなります。

穴水

建物の敷地がまるまる沈下し、大きく歪んだブラインドやシャッター、割れたタイルが地震のエネルギーの大きさを伝えてきます。
こういう物件はやっぱり基礎からやり直して再建…しかないのでしょうね。

穴水

辛い気持ちを抱えて歩いていると、ふと目が合った猫がこっちにやってきてしきりに懐いてきました。
こちらの感情を察しているのか、それともこの子も心細いのか。でも、おかげで少しほっこりしました。

穴水

傾いたままの電柱とメーター。報道でもこの手の写真はたくさん目にしましたが、実際に肉眼で見るとさらに衝撃が大きい。
でも倒れたり電線が切れたりせずに一応立っているのがすごい。どこまで地震を想定して建てられたものかは分かりませんが。

穴水

こちらは商店らしき建物が、二階部分は健在のまま一階の柱がポッキリ折れて傾いています。これ、なまじ外観の破損が軽微だから家主さんは辛いだろうなあ。
「大売り出し」の真っ赤な幟が出されたままになっているのが却って悲しい。

穴水

無残にも崩れた家。でも手前側の空き地も元は民家だったと思われるので、この建物も地震でここまで崩れたのではなく解体の途中なのかもしれません。いずれにしても、人々の生活だったものが瓦礫に変わっていく様子は見ていて辛い。
ちなみにこういう不自然な空き地は穴水のあちこちにあって、それだけの数の生活がこの地から失われてしまったことを想像させます。

穴水

工事車両は日本全国のいろんな場所から集結してきていました。
中でもこの宮城ナンバーを見かけたときには、こないだまで自分たちのところの復興をがんばっていたのに今度はここまで手を差し伸べに来たことを思うと、こみ上げてくるものがありました。

どこにいても何らかの自然災害のリスクに晒されている日本という土地に暮らす以上、いつか自分が被害に遭うかもしれないという覚悟と諦観をもちつつ何かあったときには互いに助け合わなくてはならない。そう思います。

穴水

「希望をつくろう」っていい言葉だなあ。希望は一般的に「持つ」ものということになっていますが、自然発生的に生まれるものではないしこういう状況だと尚更誰かに頼るのではなく自分たちで行動して「つくる」ほかない。それが周囲の他者に伝播して復興する力に繋がっていくんだ、と気づかされました。

穴水

孤独のグルメ 2024 大晦日スペシャル』で映画の上映会場となったさわやか交流館プルートでは、エントランスの真正面に大きな書道作品が展示されていました。京都の大学に通う穴水出身の学生の作品で、冬休みの帰省中に被災して春まで大学に戻らず地元の復興作業を手伝ったとか。故郷にかける情念を感じる力強い書で、被害状況を見て辛い気持ちになっていた頬を逆にはたかれたような気分になりました。当事者がこんなに強くあるのに、こちらが落ち込んでいてどうする。

穴水

館内には他にも日本全国から寄せられた数々の応援メッセージが掲示されていました。
「いてもたってもいられず」という気持ち、本当によく解る。私も自分にできることは何かないかと思い、こうして現地に来て写真を撮ることで、この状況を誰かに伝えようとしています。

穴水

能登に来てみて感じたのは、現地の方々が決して悲壮にならず、かといって無理に元気を出そうとしているわけでもなく、ごく自然と前を向いて生活していたこと。ちゃんこ力の活気に象徴されるようにあちこちで前向きさに気づくことができました。もちろん日々辛いことや困難はあるでしょうが、こういう姿を見るともっと応援したくなるし、自分自身もちょっとしたことでへこたれてる場合じゃないな、と思わされます。

穴水

まだまだ復興の途上…というより始まったばかりの能登。辛い光景も多かったけど今の時点を見ておくことができて良かったです。
今後の道のりも決して簡単なものではないでしょうが、北陸の一員、いや日本の一員として応援しています。

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