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石川県鳳珠郡穴水町のちゃんこ鍋とかき天ぷら

「北陸って、やっぱりうまいなあ…」

のと楽

日野のイタリアン飯田の焼肉ときて『孤独のグルメ 2024 大晦日スペシャル』の最後の聖地巡礼に能登まで行ってきました。何人かの方からは「金沢に帰省のついでに行けるでしょ?」と言われたけど穴水って金沢からでも二時間半かかるんですよ。でもたまたまこのタイミングで実家に行く用事があったので、電車に乗ってはるばる旅してきました。

まずは和倉温泉で途中下車して、五郎と映写技師の岩田(泉谷しげる)が立ち寄ったホテル「のと楽」へ。

のと楽

のと楽

ここが岩田が孫娘に出迎えられたエントランスです。
こちらのホテルは日帰り入浴にも対応しているようで、せっかくだから温泉に浸かって行きたいところだったのですが時間の都合で泣く泣くパス。入口と周辺で写真を撮ってくるだけになりました。

なお和倉温泉は全ての温泉宿が復活したわけではなく、まだ休業中の施設が複数あります。橋を渡ればすぐに能登島、という石川県有数の観光地の一つだけに一日も早い復興を願っています。

能登

そして改めてのと鉄道に乗って穴水方面へ。金沢周辺で地震の被害を感じる機会は今ではほとんどありませんが、七尾あたりから北に向かうにつれて次第に屋根にかけられたブルーシートが増えていきます。倒壊したままの建物も散見されるし、まだまだ復興は道半ば。

穴水町 さわやか交流館プルート

穴水駅の真ん前にあるのが、五郎と岩田が映画の上映会を行った「さわやか交流館プルート」。この建物自体にもまだ一部ブルーシートがかかっていたり雨漏りがあったり、軽微とは言えない被害を受けていることを知りました。
ちなみに建物の正面に「復興之碑」というのがあってもう建てられたのかと思ったら、これは 2007 年の能登半島地震の後に建てられたものでした。北陸って地震は少ない地域なのですが、能登半島だけは昔から大きな地震が定期的に起きているんですよね。1993 年の能登半島沖地震では富山も大きく揺れたのでよく憶えています。

穴水町 さわやか交流館プルート

交流館二階の多目的ホール。この日は使われていませんでしたが、劇中で映画上映会の会場になったのがここ。劇中での観客の幸せそうな顔が目に浮かびます。
ちなみに劇中では何を上映したかは明かされませんでしたが、実際には『劇映画 孤独のグルメ』を上映したそうですね。きっとそうなんだろうと思ったし、劇中で上映が始まった途端に五郎が寝てしまったのもドッペルゲンガー状態を避けるためだろうと思っていました(笑

またドラマのエンディングで町の人たちに年越し蕎麦を振る舞っていたのは町内にあった蕎麦店「大仏庵」の大将のようです。もしお店が健在だったらこちらも巡礼したかったのですが、震災の被害により既に閉業しているようで残念でした。

あなみずスマイルマルシェ

こちらは五郎が上映会のビラを配っていた「あなみずスマイルマルシェ」。復興事業の一環として、震災の被害を受けたお店が仮店舗営業するプレハブの施設でした。この日は閉館していて入れませんでしたが、ここに来ただけでも上映会のチラシを受け取ってニコニコしている町の方々の姿を思い出して少しほっこりします。

これにて関内の映画館ジャック&ベティ、八王子の鈴木映画、飯田のトキワ劇場を含め昨年の大晦日 SP で五郎が立ち寄ったお店以外の聖地も網羅完了。劇映画に合わせて映画を届ける旅だったから、それを一通り巡ることができて満足です。

そして、

竹亭

崩れ落ちた建物を見て五郎が言葉を失っていた場所がこちら。「竹亭」という料理旅館で、劇中では木造部分が崩れたままになっていましたが、現在は隣接する鉄筋部分も含め解体作業が進んでいました。閉業ではなく再建のための解体とのこと。
報道などでは「能登の復興が進んでいない」という話も時折見かけますが、少なくともドラマの撮影から二ヶ月あまり経過して作業は少しずつ進んでいるようです。工事関係者の皆様の尽力に感謝するとともに、再びここ能登に活気が戻ってくることを願ってやみません。

今回の巡礼の目的地はこの竹亭跡地からすぐのところにあります。

ちゃんこ鍋、一品料理 力(りき)

力

孤独のグルメでちゃんこ鍋というのは Season2 の両国回以来のことになります。なぜ穴水でちゃんこ鍋かというと、この店を営む大将が元力士だから。力士といえば現役力士の遠藤もこの穴水出身ですよね。

では、入ってみましょう。

力

店内はカウンターと板の間に加えて映像には映っていなかった方向に広めの座敷席がありました。この日は東京から十数名の団体客の予約が入っていたようで、店内は盛況。私は一人で予約して行ったところ、カウンターのちょうど五郎席に通されました。

力

牡蠣の養殖で有名な能登だけあって、この季節は牡蠣推し。もちろん五郎が食べていたかきバター焼とかき天ぷらは頼むつもりだけど、松重さんがラジオで「かきむしも負けないくらいにおいしかった」と仰っていて気になるんだよなあ…でもちゃんこ鍋にくわえて牡蠣三品はさすがに食べきれる自信がない(笑)。でも石川のカキ、期待できる。

力

最初に瓶ビールを頼んだところ、お酒を注文した場合のお通し的なものとしてナマコ酢が提供されました。ナマコなんて久しぶりに食べたけど、コリコリした食感がビールのお供にちょうど良い。

力

あらかじめちゃんこ鍋を予約しておいたらメニュー表よりもまずコンロが、続いて鍋が出てきました。ちゃんこ鍋は既に食べられる状態まで煮込んであり、コンロはあくまでも保温用とのこと。

蓋を取った瞬間から出汁のいい香りがあたりに広がります。

力

おお、肉面積ひろしくん。
それでいて豆腐、厚揚げ、長ネギ、春菊、白滝といった具材がバランスよく入っている。これぞちゃんこ、いろんな具材ごっちゃ食い。特にこのネギなんて肉に負けないくらいうまそうだなあ。

ではさっそく、いただきます。

力

お~、おほほほほほ。笑っちゃうくらい肉、でかい。この肉肉しい牛肉、食べるだけで力が湧いてくるようだ。さすがは力士の身体を作ってきた鍋。

しかも汁が、うますぎる。いろんなもののうまみがごっちゃになった汁、それだけでごちそうだ。

力

この緑色のカマボコみたいなのはヨモギの生麩。

麩って一般的には汁物の添え物くらいの認識しかないけど、石川では立派なお土産として成立するくらいに麩の文化が発達しているんですよね。でも私もヨモギの、それも生麩っていうのは初めて。ヨモギの生麩、いいじゃないか。

力

おっ、牛の下に鶏もいた。
力士の日常食としては高タンパクな鶏肉は欠かせないところだけど、出汁を支えるっていう意味でもこの鶏が重要な役割を果たしているに違いない。

鍋って、食べるほどに全部の具材から出汁が出てきて、加速度的においしくなる。
あ~、なんとも幸せな気持ちになる。

力

日本酒は立山があったから一合いただいてみました。富山人の魂ともいえる、たぶん私が人生で最も飲んできたお酒。舌に喉に、胃に馴染む辛口が北陸に帰ってきた実感を抱かせます。もちろん出汁の味にも合うんだなあこれが。

力

そして、牡蠣。まずは天ぷらからいただきます。食べ方のバリエーションが広い牡蠣でも、天ぷらは初めてかも。
カキフライもいいが、能登には天ぷらがよく似合う。

力

うわ!うまい。
めちゃくちゃ甘い。そしてうまみが濃い。
しかもカラッと軽い食べ心地で、揚げ物なのにいくらでも食べられそう。

カキの滋味が、日本海のごとくどこまでも広がっていく。

力

もちろんカキバターもいただきます。天つゆからのバター、たまらん。

牡蠣のいい香りとうまみにバターのうまみがギュギュッと濃縮されている。うーん、濃厚。
さらに、牡蠣の出汁とバターを吸ったホタホタの長ネギが牡蠣に負けず劣らずのごちそうになっている。

力

ここで〆の雑炊がご登壇。
あの汁で作る雑炊が、うまくないわけない。

幸せの黄色い雑炊、もう見た目だけで優勝確定。

力

もちろん残しておいた牡蠣バターを載せて、カキ雑炊ときたもんだ。
娘さんに目ざとく発見されて「やっぱり松重さんの教えは守るんですね(笑)」と突っ込まれてしまった。

いろんな出汁が渾然一体となった雑炊、めくるめくうまさ。
カキバターと一緒に食べると、ちょっと洋風になって贅沢味。
でもそもそもカキ自体がメチャウマなんだなあ。

力

雑炊を食べていたところ、大将が「せっかく東京から来てくれたから」といってカキフライをサービスしてくださいました。どうやら他のお客さんが頼んだカキフライのついでに揚げてくれたらしい。

揚げたてアッツアツのカキフライ、うまし。天ぷらともバター炒めともまた違った良さがある。
胃袋、カキ小屋状態。人生でこれだけの牡蠣を一度に食べたのは初めてじゃないだろうか。

力

なお、この日は大将と女将さんだけでなく娘さんご夫婦もお店を手伝われていました。カウンター席だったこともあって家族経営ならではの遠慮のないやりとりが垣間見えて楽しかった。馴染みがある言葉遣い(石川と私の故郷富山は方言が近い)にもとても寛げました。
ドラマの中では大将も女将さんもすごく穏やかでしたが、実際はどちらかというと女将さんが主導権を握っているような?感じ。娘さんが「テレビとぜんぜん違うでしょう?あれはよそ行き」と笑ってらしたのが面白かったです。

力

昨年の元日の大地震から、ある程度現地が落ち着いたら帰省のついでに能登を応援しに行きたいとずっと思っていました。そしたらこんな形で聖地巡礼を兼ねて来ることができるとは思わなかった。
ここ能登・穴水で食べた「力」のちゃんこ鍋、生涯忘れないだろう。被災地の方々が決して悲壮にならず前向きに日々を送っている姿を見て、逆にこちらが励まされた気分です。

本当に、力をいただきました。
ごちそうさまでした。

■ドラマ『孤独のグルメ 2024 大晦日スペシャル』聖地巡礼エントリーまとめ
1. 東京都日野市多摩平のクリームソースフェットチーネとイカ墨ソーススパゲッティー
2. 長野県飯田市の生ラム焼肉とホルモン
3. 石川県穴水町のちゃんこ鍋とかき天ぷら

『孤独のグルメ』聖地巡礼 全店レポート
ドラマ&漫画『孤独のグルメ』の聖地を実際に巡礼してきた本人によるまとめです。(※2017 年大晦日スペシャルの広島編、2019 年大晦日スペシャルの釜山編、2023 年大晦日スペシャルの台湾編、劇映画のパリ・巨済島、および原作の病院・パリの...
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