「近所にあると嬉しい店って、ここだ」
ドラマ『孤独のグルメ』2024 大晦日スペシャルの日野の聖地に年末ぶりに行ってきました。お店の近くで働いている某氏に行きたいと言われれば喜んでお付き合いする以外の選択肢はありません。
が、せっかくだからお店に行く前に劇中に登場した鈴木映画を巡礼してみました。劇中にもあったとおり、映像・音響機器のレンタルや映写技師の派遣を行っている実在の企業です。とはいえ一般顧客向けのサービスをしているわけではないし、休日でもあったため建物は閉まっており、単に外観を眺めに行っただけですが。飯田に行った際にトキワ劇場も巡礼したら、ついここも現地に行ってみたくなって。
ちなみに場所は京王線の堀之内と南大沢のちょうど中間地点にあります。駅から 1.5km くらいあるので私はシェアサイクルを利用しました。
このあたりが五郎がミニを駐めていた場所。フィルムを届けて帰ろうとしたところ、急病の社員の代わりにフィルムと映写機を長野県の飯田まで運んでくれないか…という無茶振りがまたしても五郎に降りかかった場面です。
劇中でここの鈴木社長役を演じていたのはご自身が映画監督であり俳優でもある塚本晋也氏でしたね。近年だと『シン・ゴジラ』や『シン・仮面ライダー』での存在感ある演技が印象に残っています。映画を愛する役どころに最適な人をもってくるあたり、今や番組の企画プロデュースも兼ねるようになった松重さんのこだわりを感じます。
ということで写真撮って満足したので、お店に向かいます。
改めて位置関係を確認してみると、劇中では横浜関内からこのお店で食事してから鈴木映画に向かっていましたが、実際には鈴木映画は関内からこのお店に来る途中にあるんですよね。大晦日スペシャルのロードムービー編では毎度こういうツッコミどころが存在します(笑。
ま、そんなことよりとにかく腹が減った。店に入ろう。
今回もアンティパストミスト三品盛りから。
ムール貝のマリネ、テリーヌ(材料なんだったか忘れた)、パテ・ド・カンパーニュ。前菜としては定番、私の好物ばかりで嬉しい。
もちろん白ワインのハーフデキャンタを合わせるわけです。
もうこの白ワインと前菜だけですっかりいい気分。やっぱりこの店、うまい。
さて、前回は放送前の巡礼ながら五郎’s セレクションを全問正解することに成功したので、今回はちょっと違うものも試していきたい。どう攻めるのが正解だ?
まずは看板メニューである「シェフご自慢ペペロンチーノ」。イタリアンでは普通ならパスタは後半に持ってくるものだと思うけど、ここのパスタは絶品だからいきなりでも大歓迎。
例によってシンプルなオイルスパゲッティーに大量の炒めニンニクがドバドバとかけられていきます。これがボロネーゼ(ミートソース)じゃなく炒めニンニクというのがすごい。
これがまたうまいんだ。
ペペロンチーノってパスタの中でも特に好きなものの一つだけど、ここのペペロンはどの店のとも似ていない。カリカリに香ばしいニンニクが全然辛くなくって、とにかくオリーブオイルと鷹の爪とニンニクがお互いを高め合うためだけに存在する感覚。おかわり頼みたくなるほどにうまい。
続いて前回も食べた紋甲イカのイカ墨ソーススパゲッティー。
イカの黒作り(イカ墨を使ったイカの塩辛)が郷土料理だった富山人としては、イカ墨ってどうしても潮の香りを連想します。でもこのパスタのイカ墨、濃いのにいわゆる「海鮮っぽさ」を感じない。とにかく濃厚でうまみのある黒いパスタソースとしてそこにある。イカ墨を両脇から支えるトマトとニンニクが、またいい仕事をしている。
ここで魚料理。鮮魚とアサリのグリル、アクアパッツァ仕立て。
ボリュームのある魚とアサリもうまいけど、何より魚介の出汁が出まくったこのスープがうまい。そしてそのスープを吸った魚がさらにうまくなっている。なにげにスープに浮かんでるオリーブまでおいしい。
アクアパッツァって久しぶりに食べたけど、やっぱりうまいよなあ。水が跳ねるほどに煮込んだのが名前の由来らしいけど、むしろ俺の食欲が沸騰して跳ね回っている。
パスタと魚介の前にデキャンタが空いてしまったので、ここで赤ワインにスイッチ。ここからはチーズと肉の出番ゆえ。
『孤独のグルメ』でワインを楽しめる店が出てくることって珍しいから、こういうお店に来るととても楽しい。
前回モッツァレラとアンチョビのピッツァと最後まで迷った「磯辺風 お餅と海苔の和風ピッツァ」。五郎のことだからこういう店で正月を待たずに餅を食べることくらいしそうだな、と思ったんですよね。
パリパリのクリスピータイプ、いい。ピッツァはやっぱりこういう薄い生地じゃないと。
その生地の上には、餅とチーズがどちらもとにかく伸びーーーる。そして磯辺風だから海苔の香りもいい。
イタリアンと和の合作。スナック感覚で食えるごちそうピザ、いいねえ。
そして前回もいただいたイベリコ豚のカツレツ。
イベリコ豚を使ったカツってだけでおいしいのに、その上にチーズとトマト、生ハムまで乗ってイタリアンとして完璧な組み合わせ。メニューには「サッパリしたソースで仕上げました」と書いてあるけどカツレツ自体が濃厚な上にチーズとトマトまで相まって、まさにうまみの暴力。これ、毎週でも食べたいんですけど。
ドルチェは初めて食べる「カッサータ」というのを頼んでみました。これにエスプレッソで〆。
マスカルポーネとナッツ、ドライフルーツが入った冷たいスイーツ。マスカルポーネもドライフルーツも好物だからこれはおいしい!もし他のイタリアンレストランでも見かけたら絶対に食べようと思いました。
店員さんには特にドラマを観て来たとはお伝えしていなかったのですが、雰囲気で察したのか雛形あきこ似のママさんが松重さんのサインを見せてくださいました。お店の雰囲気的にサインを飾るような感じではなさそうですが、ドラマのファンのお客さんには出してきてくださるのでしょう。我々がこの日最後の客だったこともあり、ママさんだけでなくマスターまで出てきていろいろとお話を聞かせてくださいました。ママ役の雛形あきこさんも放送前にプライベートで(家族連れで)食べに来たとのことですし、番組のスタッフも収録後に複数回食べに来てくれた、と嬉しそうに教えていただきました。
先日飯田の焼肉 吉美に行ったときも感じたのですが、昨年の大晦日 SP に登場したお店はいずれも女将さんの人柄が温かくて、お店全体がそれに包まれているようないい店ばかりなんだよなあ。
自宅から日野まではけっこう遠いけど、ぜひまた来たい。スペアリブもおいしそうだし、他のパスタもぜひ試したいところです。
ごちそうさまでした。

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