一ヶ月近くにわたってちょっとずつ載せてきた先月の広島旅行記もこれが最後になります。
せっかくの広島、厳島神社以外にもどこに行くか考えたときに行ってみたかったのが呉でした。戦前は国内随一の造船技術を誇り重要な軍事拠点でもあった呉港とその周辺施設を見てみたかった。海に目を向けると現代でも多数のクレーンが立ち上がっていてかつての海軍工廠の名残を感じさせます。
※写真は全てα7C+24-70GM IIにて撮影。
呉に来たらまず立ち寄るべきは何といっても大和ミュージアム…なのですが、残念ながら4月まで改装工事のため休館中。
本当は広島観光としてはこの大和ミュージアムとマツダの工場見学に行きたかったのでした。が、大和ミュージアムは休館、マツダは予約しようとした時点で空き無し。いつか改めてこの二つのためだけに広島を再訪したいくらいです。
ミュージアムは閉館していたけど屋外にあるこれだけは見ることができました。戦艦大和…ではなく陸奥の41cm砲。同じものの一門が横須賀港のヴェルニー公園にも展示されているのですが、とにかく巨大。この主砲のサイズ感から戦艦の大きさを推し量ると気が遠くなります。
大和ミュージアムの代わりというわけではありませんが、隣接する自衛隊の史料館「てつのくじら館」を見学してきました。
史料館の敷地内に海上自衛隊で実際に運用していた潜水艦「あきしお」が一隻そのまま展示されています。これがまた圧倒的な存在感。
てつのくじら館の展示内容はかつての呉海軍工廠と戦艦大和、それと現代の海上自衛隊の活動に関する展示に大きく二分されます。
戦前時代の展示に関して印象的だったのが、呉海軍工廠の実績についてとてもポジティブに表現されていること。現代の日本では太平洋戦争や旧日本軍に関してポジティブに語ることはどこかタブー的な空気もありますが、戦争の良し悪しは別として当時の日本人の純粋な技術や努力、それと国を守ろうという信念に関しては敬意を持っていたいと思っています。
現代の展示では海上自衛隊の重要な活動のひとつである機雷除去について実物大の機雷のレプリカ等も含め多数の展示がありました。人間の視点で見るとかなり大きな機雷だけど船から見れば発見しづらいもの。かつての大戦だけでなく現代でも挑戦やベトナム、湾岸戦争などにおいて機雷は設置され続けたわけで、海路の安全確保(我々は船で移動することなんて滅多にないけど、物流という面では非常に重要)に貢献してくれる海上自衛隊の活動には感謝してもし切れません。
機雷除去作業を担う掃海艇「あわしま」の模型。
地面に埋設される地雷の非道さはよく報道などでも耳にしますが、海上・海中の機雷に関しては普段の生活で話を聞くことは滅多にありません。そんな機雷の除去作業を人知れず続けている人たちがいるんですよね。
ちょっと面白かったのが護衛艦関連の展示。これは海上自衛隊を代表する護衛艦「かが」のものですが、デザインといい刺繍といいすごく凝ってる。
刺繍の下の方に「WHITE BASE」という別名が与えられているところにガノタとしてはビビーンと来てしまいます。
こちらは潜水艦「はくげい」のものですが、艦のアイデンティティーを表すイラストが秀逸。しかもそれが刺繍で表現されているという。
乗組員のそれぞれの艦に対する愛の深さが感じられます。こういうのを見ると自衛官の方々の人間性が垣間見えて良いですね。
これは潜水艦内での食事の例。イメージしていたよりも豪華だし日常の食事としてもかなりおいしそうに見えます。
気さくに話しかけてきてくださった説明員の方(おそらく退役した元自衛官)によると「潜水艦ではずっと太陽も見えない環境で生活することになるから、気持ちが沈まないように食事のおいしさにはこだわっています。そして曜日どころか昼夜の感覚もない生活になるから金曜日はカレーと決まっています」とのこと。金曜日はカレー曜日、ってそういうことだったのか。
潜水艦に搭載される魚雷の実物大模型。潜水艦モノの映画は好きでよく観ますが、実物のサイズ感や構造を知ると映画を観るときの解像度が上がりそう。
そしてひとしきり見学したところで直結する潜水艦「あきしお」の見学に移るわけです。どこの街にもあるようなショッピングモール(イオンみたいな感じか)のすぐ横に潜水艦がある景色はさすがに異様。
艦内は撮影禁止だったから写真はありません。中の様子は以前ニューヨークで見学したイントレピッド博物館の潜水艦グロウラーによく似ていましたが、内部の表示板や計器に日本語が書かれていることで日本の艦であることを実感しました。
あきしおの見学後は館内のカフェで小休憩。さっき見たカレーがおいしそうだったから少し食べてみたい気分もあったのですが、昼食を食べてきた直後だったから「瀬戸内レモンコーラフロート」だけいただきます。
てつのくじら館のすぐ近くには三菱重工の工場がありましたが、このあたりも戦後に民間企業に移管された旧海軍工廠施設の一部だったりするんでしょうかね。
呉でもう一カ所行きたかったのがここ。てつのくじら館から徒歩15分ほどの丘の上にある入船山記念館です。旧呉鎮守府司令長官官舎で、現在は明治の建築当時の姿に復原されて国の重要文化財に指定されている建物。
もう佇まいからして歴史を感じるじゃないですか。歴史上重要な意味を持つ建物であるにも関わらず、逆に「映画に出てきそう」という感想をもってしまいました。
応接室。壁や床、ソファに施された瀟洒な紋様や調度品の数々が「身分の高い人の居場所」であることを示しています。
明治時代から昭和前期にかけて、この部屋には士官服に身を包んだ軍人や政治家たちが出入りしていた様子が目に浮かぶよう。
これまた映画に出てきそうなダイニングルームには当時ここで提供されていた料理のサンプルが展示されています。
きっとこの館に招かれた来賓達との会食にも使われていた場所なのでしょう。
ローストビーフとかチキンのシチューとか、本当にうまそうなんだが…。
戦時中ってこういう料理は「敵性のもの」として忌避されていたイメージがあったのですが、少なくとも当時の華族や上級士官の間ではそういうことはなかったんでしょうかね。まあ外国の中でもドイツとイタリアとは同盟関係にあったわけだから、洋食が全面禁止というわけではなかったのか。
この建物自体は基本的に洋館の造りになっていますが、表向きに使われる部屋が洋室である一方で裏側の居室(と思われる)部分は和室でした。やっぱり日本人としては寝るときは畳の上に布団を敷いて…というのが落ち着くということだったのでしょうか。
呉観光、楽しかったです。
普段の生活の延長線上では江戸時代や鎌倉時代のものに触れる機会は少なくないけど、逆に近代日本に触れる機会ってあまりないんですよね。そういうものを目にして当時の日本に思いを馳せることのできる貴重な体験でした。
大和ミュージアムが再開したら、いつかまた行きたい。






















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