「頭を完全に切り替えて、肉食脳で考えよう」
長期休みになると、海外旅行とは言わないまでもちょっと遠出をしたくなります。というわけで、今回は東京駅から特急わかしおに乗ってやって参りました千葉県いすみ市大原。
ここには『孤独のグルメ Season5』に登場した「源氏食堂」というお店がありました。あの後、2019 年にご主人が他界されたことで惜しまれつつ閉店したことは知っていたのですが、なんと今年 9 月に改装のうえ営業再開したというじゃないですか。さすがに十年以上続くドラマシリーズともなると放送後に移転や閉店したお店も少なくなく、私も今年は移転先を追いかけて「その後のグルメ」をレポートしてきましたが、まさか一度閉店したはずのお店が復活することがあるとは予想もしていませんでした。
そんなわけで、七年ぶりにこの大原の地に降り立ちました。
復活した源氏食堂は新築でこそないものの建物は外壁から大幅に改装され、随分と雰囲気が変わりました。ピンク色の建物は駅のホームからでも容易に見つけられるほど。
豚のシルエットを模した立派な看板もついているし、本当にこれがあの源氏食堂?というくらい別物の存在感。
以前は同じ建物で精肉店も営業していた(というか肉屋が食堂を運営していた)のですが、現在は精肉の販売は行っておらず、外向きのカウンターではとんかつやコロッケなどの揚げ物を販売しているだけの様子。それも昼間は作り置きをせずに注文ごとに調理して出してくれるようですね。
入口は暖簾も新調されてとっつきやすい雰囲気に変わりました。以前は地元民でないとちょっと入りづらい感じがありましたからね。まあ、あの感覚が『孤独のグルメ』登場店らしさでもあったと思うのですが。
ちなみに暖簾に「源氏支店」と記されているとおり、本店は電車(各駅停車)で二駅隣の長者町にあります。この大原支店の閉店中も本店の方でほぼ同じメニューを食べることはできたようですね。
内装もリニューアルされました。創業およそ百年の渋い雰囲気は鳴りを潜め、現代的な食堂の姿に。
この雰囲気、もしかしたらゴローがインテリアを手がけたのかもしれないなあ…なんて想像しながらテーブルや椅子、ポスターなどを眺めるとちょっと楽しくなってきます。
壁には以前同様の定食メニューが並んでいますが、これはあくまで以前のお店のものを飾っているだけで、現在のメニューとは異なります。
何度も書き直されたのが分かる、歴史を感じるメニュー。
こちらが現在のメニュー。以前とは変わってしまっていますが、基本的にいすみ豚のとんかつやしょうが焼きを軸とした肉系の定食屋というスタンスは変わっていません。
ちなみに常連と思しきお客さんが店員さんと「ヒレかつ一個ってできる?」というようなやりとりをしていたので、メニューに書かれていなくても多少の融通は利きそう(常連さんだけかもしれませんが)。
店員さんの「あちらにもメニューあります」という声がけに従うと、「満腹セット」「チャーシュー丼」「豚バラ丼」「ラーメン」「からあげ」…食欲を刺激する魅惑ワードの数々。
以前と同じメニューはないようだし、ここは上ロース定食でも頼むか…と思っていたところにこれは悩ましい。
周りを見渡すと、他のお客さんが食べているとんかつも、しょうが焼きも、豚バラ丼もラーメンも、どれもうまそうだ。このままだとメニューの袋小路に迷い込んでしまう…。
ということで、迷った挙げ句の決め球は「ブタ肉塩焼定食」+「ラーメン」。
メニューには以前のブタ肉塩焼ライスはなかったし(代わりに豚グリル定食はあった)、再オープン直後に来た人の口コミでブタ肉塩焼はないという情報も見かけたのですが、私は壁に貼ってあったメニューを見逃さなかった。当初は出すつもりがなかったけどリクエストが多かったから最近復活したということでしょうか。そういうことなら、七年ぶりの再会を祝したい気持ち。
ラーメンは劇中でも他のお客さんが食べていたのが印象的だったし、久住さんもおいしそうに食べていたから今度こそ食べるべきだと思いました。
さぁさぁさぁ。
そうそうそう、これが食べたかった。厚切り豚のシンプルな塩焼き!
千葉の豚といえば Season10 で食べた旭市の豚ロースソテーの激うまだったし、ひょっとして千葉の豚肉って全般的にすごいんじゃないだろうか。
いすみ育ちの柔らかポーク、塩で際立つその甘み。
まさかこれをまたこの場で食べることができるとは。
この分厚い豚肉、見た瞬間はヘビーと思ったけど食べると想像を良い意味で裏切ってくる軽い食感。
胃にもたれる感覚なんて全然ない、これならもう一枚でも食べられそうな気がしてくる。
そして肉だけじゃなくてこの塩ダレがうまい。
以前とは違って野菜用のドレッシングが提供されるけど、そんなの必要ないくらい。キャベツに塩焼きの汁がしみて、ごちそうになっている。
小鉢に切り干し大根とお新香。
白飯はブタ塩焼だけで完食できそうな勢いだけど、間にこれらを挟むことでまた新たな気持ちで豚に挑むことができる。
続いてはこちら。
普通なら定食を食べた後にシメラーなんてあり得ないけど、あの軽い豚肉の後なら〆のラーメンってのも納得できる。
久住さんが「都内、絶滅危惧種系のラーメン」と言っていたラーメン。
確かに、イマドキ逆に珍しい昔ながらの中華そば。
でもこういう店で出してる昔ながらの中華そばって、絶対うまいんだよなあ。肉屋のチャーシューが載っかってるのも嬉しい。
あ~~~~~、やっぱりうまい。麺といい、醤油スープといい、超好みかもしれない。
ザッツ中華そば。日本人が最後に帰ってくる味。
ンマヤ、ンマヤ、このラーメンなら肉食べた後でも別腹に入る。
大原で、お~腹いっぱい。
店構えが変わったことで以前とは全然違う店になってたらどうしようと思ったけど、おいしさは健在でした。良かった~。
一度なくなってしまったはずの店に、こうやって再会できたことに感謝。
外房まではそうそう来れないけど、また何かの機会を狙って来たいところ。今度は上ロースかな。でもしょうが焼きもうまそうだったし、満腹セットも魅惑してくる。
そういえば今年もあと数日で毎年恒例大晦日スペシャルの放送がありますが、個人的には 2023 年の最後にこの店を再訪することができて良かったです。
ごちそうさまでした。
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