「今の腹ペコ具合には、やっぱり中華の油が欲しいかな」
ずっと再訪したいと思っていた中華料理店「豊栄」に久しぶりに行ってきました。『孤独のグルメ Season6』第 11 話に登場後ほどなくしてミシュランガイドに掲載され、ただでさえ人気店だったのに予約が取りづらくなって足が遠のいていたのでした。
以前の店舗があった茗荷谷から約一年前に本駒込の駅近に移転。新しい店舗に行ってみたいと思っていたんですよね。以前よりもグッと駅近になって行きやすくなりました。
移転と言えば今年は Season5 のモロッコレストラン tamtamu、Season6 の長崎飯店、同じくスペイン食堂石井、Season7 のマッシーナ メッシーナ、とこの 2~3 年の間に移転した『孤独のグルメ』の聖地を追っかけてきました。もう十年以上続いているシリーズだから移転や閉店も珍しくありませんが、やはりこの三年間は特に飲食店にとっていろいろあったということですね。
今回はランチタイムに初訪問。ランチは火曜日と土日祝日限定でやっているようで、土日祝日は予約制のランチコース中心、火曜日はランチセット、となっているようです。今回は火曜のランチセットを狙ってみました。
12 時開店のところ 11:40 頃には既に十人程度の行列ができていました。平日にも関わらず、この店のランチを狙っている人が多いということか。
移転しただけあって店舗は以前より広々としています。テーブル席のほかに広めのカウンター席があり、一人ないし二人でも気軽に食べに来やすそう。女性客比率が高めなのがそこらの町中華とは一線を画しています。
三種類あったランチセット、どれもおいしそうで迷いつつ…牛バラと大根の煮込みをチョイス。
以前の店舗と同様に、キレイな器に丁寧な盛り付けで料理が出てくるのが嬉しい。実にいい眺めだ。
本格的な小鉢三品がついてくるのが素晴らしい。詳細不明ながら、海老の紹興酒漬け的なもの、茹で鶏的なもの、玉子とキュウリのピリ辛炒めっぽいもの、の三品。
どれも丁寧に作られた上品な味ながら、それぞれにうまみが強い。そうそう、この店はうまみ主体の中華なんでした。初めてこの店に来たとき、それまで食べたことのない方向性の中華料理に衝撃を受けたっけ。
メインの牛バラと大根の煮込み。見た目は超オーソドックスな牛バラ煮込みながら…う~ンまい!
うまみの洪水、おいしさの権化。豚バラもうまいけど、そのうまみを受け止めた大根がまたうまい。これは深刻なコメ不足が確定してしまうやつだ。
こんな味、どうやったら出せるんだ?
今まで食べたどんな牛バラ煮込みともグレードの違ううまさがある。
そして中華茶碗蒸し。以前、夜に来たときに食べて感動したやつ。
具が入っていないくせに、いろんなうまみとダシが渾然一体となって口の中に広がっていく絶品。
味覚を虜にする茶碗蒸し、これだけのためにこの店に来る価値があると言っても過言ではないかもしれない。
いやー、うまさにすっかり気持ちが持ち上がってしまった。これはこのままでは帰れんぞ。
メニュー表の裏面にサイドメニューの記載を発見。
蒸し鶏とか担々麺って「サイドメニュー」っていう位置づけなのか?という疑問はあれど、今の気分的にはむしろ願ったり叶ったり。受けて立とうじゃないですか。
というわけで追加注文は汁なし担々麺。以前来たときに冷やし担々麺は食べたけど、冷やしてない汁なしは未体験でした。
美しく盛られた麺の上に挽肉、刻みネギ、パクチー、カシューナッツ、白胡麻が山と重ねられた芸術的な盛り付け。
これを崩すのはちょっともったいないと感じつつも、グルグルにかき混ぜていただきます。
この店らしく辛さよりもうまみがしっかり立ったおいしい汁なし担々麺…と思ったら、後からけっこうしっかり辛さが追いかけてくる。
でもこの辛味、うまみを引き立ててくれる感じでちょうどいいぞ。食べ応えのある麺も相まって、ランチセットを一通り食べた後にも関わらず、食べれば食べるほど腹が減っていくかのようだ。
初めてこの店に来たときに確信したとおり、ここのうまみ中華は他の店とは全然違う、唯一無二の感動がある。
小鉢の一品から茶碗蒸しに至るまで、何もかもがもれなくおいしい中華ランチ。白昼の宴だった。
すっかり予約困難店になってしまったけど、いずれまた来させていただきます。
ごちそうさまでした。
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