CP+ の開催を来週に控え、カメラメーカー各社から新製品または新製品の発売延期が続々と発表されていますが、キヤノンからは EOS R の次世代機の開発が告知されました。
キヤノン、フルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」を開発発表 – デジカメ Watch
このタイミングで製品発表ではなく開発発表とは。東京オリンピック向けにはプロへは 1DX3 を出してきましたが、ハイアマチュアにはこれ以上 α に流れないための牽制でしょうか。例年 CP+ では Kiss などのエントリー機の発表が中心でミドルクラス以上の機種が出てくることは多くなかっただけに、今年はいつもとは少し違う潮目を感じます。
現時点で発表されているのは外観映像と以下のスペックのみ。
- 電子シャッターで 20 コマ/秒、メカシャッターで 12 コマ/秒の連写
- ボディ内手ブレ補正搭載(レンズ内手ブレ補正と協調動作)
- メモリカードのデュアルスロット対応(サイズ的にはさすがに SD?)
- 8K 対応の動画記録
電子シャッターで 20 コマ/秒 というのは今日のハイエンド機であれば珍しいスペックではなくなりつつありますが、フルサイズでありながらメカシャッター 12 コマ/秒 というのは 1DX3 には及ばないものの α9 II を凌駕するスペック。このあたり、かなり意識しているものと思われます。8K 動画が実用になるかはフレームレートがどの程度か次第ですが、おそらくスチルメインのミラーレスカメラとしては初でしょうか。という感じで、イメージセンサを含む電子系とソフトウェアに強みを持つ α に対して、キヤノンはお家芸のメカと一日の長をもつ動画で差異化を図っているようです。
キヤノンで「5」という数字がつくとハイアマ~プロ向けのオールラウンダーというのがこれまでの位置づけでしたが、この 5R は(現時点で判明しているスペックからは)動体や動画撮影寄りで、レフ機でいうところの 5D と 7D クラス両方のユーザー層を狙っているように見えます。同時に開発発表されたレンズが 100-500mm F4.5-7.1L というあたりも、そのあたりを意識したものでしょう。F 値がちょっと暗めですが、明るさと AF 性能はセンサ側のスペック頼み(逆に言えば、このスペックのレンズでも十分に使い物になるボディ)と見えます。
静止画として公開されている画像はほぼ正面からのアングルのみですが、スペシャルサイトに掲載されている動画(↑は切り出したものです)では背面の様子も確認できます。操作系の数や配置は 5D シリーズのそれに近く、マルチファンクションバーという飛び道具に挑戦した初代 EOS R とも、サブ電子ダイヤルを廃して Kiss ライクな操作性を目指した RP とも異なるコンベンショナルな作り。次期 EOS R には 1DX3 に搭載したスマートコントローラー(光学式ポインタ)を採用してくるに違いないと予想していたので拍子抜けではありますが、逆に言えば「EOS 5D ユーザーの皆さん、安心して R5 に買い換えてください」というメッセージとも受け取れます。外観から派手さを感じるカメラではないけれど、EOS ユーザーがすんなり移行できるカメラという印象。EOS R は二世代目が出てからが本番と予想していましたが、それに相応しいカメラに仕上がっていそうです。
今日のところはあくまで開発発表ということですが、このタイミングで外観と一部スペックが公表できるということは正式発表は 5 月末の photokina あたりでしょうか。CP+ では参考出品されるということなので、外観だけでもじっくり見てこようと思います。
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