「肉を焼いて食らう、それは古より続く神聖なる生命の儀式」
今回は『孤独のグルメ 2020 大晦日スペシャル』の聖地巡礼、昨日の玉寿々に続いて本日は神奈川県川崎市・北山田の焼肉店「清月苑」のレポートをお届けします。
『孤独のグルメ』と川崎市の焼肉って縁深くて、原作のコリアンタウン、Season1 の八丁畷、Season5 の稲田堤、Season8 の武蔵小杉(これはジンギスカンだけど)に続いて今回が 5 店め。まあ一口に川崎市といってもそうとう面積が広くて海沿いから多摩市の手前くらいまであってお店の立地もかなりバラけてはいますが、それにしても縁があります。
この清月苑は劇中では北山田(横浜市営地下鉄)が最寄りおちうことになっていましたが駅からはかなり距離があります。東京方面からだと武蔵小杉か鷺沼から東急バス/川崎市営バスでのアクセスが便利。子の神(ねのかみ)バス停で降りるとほぼ目の前にお店があります。
このお店、事前に予約しようと何度か電話をかけてみたけど一度も繋がらず。食べログのクチコミにも電話は繋がらないと書いてあったので、電話は取らないポリシーなのかもしれません(笑。
仕方がないので開店時刻(17 時)に合わせて訪店したところ、一番乗りで入店できました。
店内は感染対策のためか席数を減らし、最大 4 組程度に限定して営業している模様。
一番乗りだったためか見事ゴロー席に通されました。
メニュー、ほぼ全ての肉にタレと塩の両方が用意されている。しかもタレより塩のほうが明確に高価、これはよほど手間暇かけてるに違いない。
五郎が食べてた品は網羅しておきたいけど、それ以外にもソソる文字列が所狭し。ちょっとちょっと、これは初手から迷っちゃうじゃないの。
黒板の方にもメニューが。こっちには「うまみチャンピオン牛」なる見逃せない謳い文句まで添えられてる。
ううむ…こいつはもう気になるやつ一通り頼むしかないか?ドーンと花火打ち上げるのには、焼肉どかーんと入れるっきゃないでしょ!
ともかくまずは生ビールで一息。ついつい大ジョッキなんて頼んでしまった。
そういえばこの一年、自宅の外でお酒を飲む機会もめっきり減って、生ビール飲むのもそうとう久しぶり。一年分の渇望で、乾いた砂に水が染みこむがごときスピードで飲めてしまう。
最初に届いた肉は塩ヒレ。
見るからに分厚い!焼肉屋でこんなに分厚いヒレ肉もそうそう見たことない。それだけに、挑み甲斐がありそうだ。
普通の焼肉屋で食べるいわゆる「塩」とは味わいが全然違う、深~い塩味。なんというかうまみが浸み出てくるかのようだ。
肉の肉肉しさもいい。分厚いヒレの噛み応え、肉が口の中でみなぎってる。
肉とビールの間にキムチの盛り合わせを挟み込む。
この三者のローテーションで永遠に肉を食べ続けていられそうな気がしてくるやつ。
ヒレがうまかったから、その勢いのままにカルビとロースも塩対応。
普段ならタレで食べがちな定番部位、この店の塩ダレにかかったらどんな味になるのか。
おっほお…カルビやロースを塩ダレに漬けるとこんな感じになるのか。
肉のうまみに奥行きが増して、タレとはまた違った世界観が広がっている。牛だけに、何度でも反芻したくなるうまさだ。
よし、タレの時間帯に入った。
ここはハラミで攻めよう。
序盤に食べた塩ダレのインパクトが強くてこの店は塩こそ至高なのかと思ったら、タレも負けずにうまいじゃないですか。
熟成されたイメージのある、うまみと甘みを感じるタレ。これがハラミの肉肉しさによく合ってる。
そこにチョイ足しするのが紫蘇の南蛮漬け。
ちょっとした薬味だけど、こういうのにもちゃんと手間がかかっているのが見た目からわかる。
肉に紫蘇を巻いて食べると…ああ、おいしい。
香り、塩っけ、酸味、絶妙。ああ…悩ましいほどのうまさ。
なんとも味の引き出しの多い店だ。しかもどの味にも深みがある。これはクセになりそうだ。
ここで飲み物はレモンサワーに移行。
最近流行ってるのか業界が流行らせようとしてるのか分かりませんが、私もちょっとハマってます。酸味強めでキンキンに冷えたやつが好み。
そして上レバ(タレ)。
ハラミのときとはまた違った濃厚なうまさ。レモンサワーの爽やかな酸味との相性抜群だ。
肉が焼ける。魂が燃える。塩が叫び、タレが踊る。
さあどんどん焼くぞ、俺のボイラーにガンガン肉をくべるぞ。
そこに追加するのは黒板メニュー上で異彩を放っていた、チャンピオン牛のスネ(手前)とネック(奥)。
これは頼まずにはいられませんでした。
それにしてもこのボリューム感からして、まさにチャンピオン級。こいつは良いパンチを放ってくるに違いない。
一切れだけでロースターを覆い尽くさんばかりのサイズ感。チャンピオン牛の名は伊達じゃない。
あまり火が通り過ぎないうちに食べた方がうまいはず。ここで、今まで手を出してこなかった小ライスを追加して迎撃。
では、いただきます。
おおお…!これはヤバい。チャンピオンの名に恥じぬうまみの波状攻撃。
スネとネック、どちらもうまみが溢れてくるけど、それぞれに違う食感がある。これは肉を焼いて食べる箸の動きが止められない。
思った通り、追加注文大的中。チャンピオン牛にに腹キュンだ。
胃が真っ赤に燃え、肉をエネルギーに変えていく…うおォン!俺は原野を行く蒸気機関車だ。
ちょっと興奮しすぎたので、ここでハイボール。
〆の前にいったん気持ちを落ち着かせよう。
ラストはコムタンで。
うまみと塩味のバランスが絶妙なスープの中に、これまたヤバいホロホロ肉。
ランチだったらこのコムタンとカクテキ、ライスだけでも十分満足できそう。
いやあ、「うまい」以外の表現が思いつかないほどうまい。
いやあ、久しぶりにじっくり肉を焼いた、焼肉を堪能した。
最初から最後まで全部おいしかった。
私が退店する頃には間引きした席が全て埋まっていました。他のお客さんはドラマを見てきたというよりも近所で普段から利用している感じの人が中心に見えました。
マスターに聞いたところでは、こういうご時世だからか放送後もそれほど混雑することなく営業しているとのこと。孤独のグルメに登場した店は、放送後はそれまでと客層が変わってしまう店も少なくない中で、これだけ普段通りのお店の様子を感じられるのは貴重な体験だったと言えます。
食ったぁ~、というセリフはうまい焼肉屋を出たときのためにある。今回はまさにそんな店だったなあ。
ごちそうさまでした。
■ドラマ『孤独のグルメ 2020 大晦日スペシャル』聖地巡礼エントリーまとめ
1. 豊島区池袋の汁なし担々麺(再)
2. 東京都虎ノ門の海老フライ
3. 神奈川県北山田のロースター焼肉
4. 埼玉県秩父のチャーハン餃子
5. 神奈川県横須賀市衣笠の天ぷらそば
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