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南雲暁彦写真展「Lens of Tokyo -東京恋図-」

銀座・ライカプロフェッショナルストア東京で開催されている南雲暁彦さんの写真展「Lens of Tokyo -東京恋図-」を見に行ってきました。

写真展 Lens of Tokyo-東京恋図- | Akihiko.Nagumo| 南雲暁彦 Official Website

南雲さんの写真展は一年半前の表参道「Index」以来。なんの気兼ねもなく会食できた当時がもはや遠い昔のようです。南雲さんもまたこの COVID-19 でいくつかの仕事の撮影プランが練り直しとなり、その中で「改めて東京の新しい原風景を作る」という使命感のもと撮影した作品群がこの「Lens of Tokyo -東京恋図-」。カメラのレンズと「恋図」をかけたこのシリーズは自身の気持ちを乗せた写真群であり、作品の中でもフラッグシップと位置づけているとのこと。確かに通勤で 27 年毎日通った橋とか愛車と東京を絡めたカットとか、自身のパーソナリティから湧き出てくるような写真を見るとそれも納得です。

本写真展はライカの新型ミラーレスカメラ「SL2-S」の発売に合わせて企画されたもので、会場は銀座のみゆき通りに面しているライカプロフェッショナルストア。場違いすぎて普段ならば足を踏み入れるのも憚られる場所ですが、思い切って入ってみました。

会場に入ってまず目につくのが、壁面に飾られた 4 枚の写真。2 枚は対角で人の背丈ほどもある超大判プリントです。SL2-S は 2,400 万画素のフルサイズミラーレス機ですが、2,400 万画素かつ夜景をここまで大伸ばしにしても十二分に解像し、画面の隅々まで破綻もノイズもほぼ見られないことに驚きます。しかもこれ RAW でノイズ低減処理したんじゃなくてカメラ内 JPEG と聞いて二度驚きました。もちろん写真自体も力強いのですが、ライカの絵作りと組み合わせることで圧倒される写真になっています。

主な被写体は東京タワーやレインボーブリッジといった、いわば多くの人の手垢がついたド定番ランドマーク。どこからどう撮っているかある程度想像がつくし自分でも似たような写真を撮ろうと思えば撮れそうな気はするものの、これだけ力のある写真はちょっと撮れないだろうなあ。
構図の引き出しの多さ、最高のタイミングや光を捉える瞬発力、それらが訪れるまで何度でもリトライできる忍耐力、何をどう撮ればどういう画になるかを組み立てる想像力、カメラをどういじればどう返ってくるかを把握する経験、写真に自分の気持ちを乗せる情熱、そういったものの総合力が同じ被写体を撮っても全く異なる写真に仕上がることに繋がるのでしょう。

これが今回の撮影に使われたライカ SL2-S。2,400 万画素のフルサイズミラーレスカメラという現在のフルサイズミラーレスのど真ん中に投入された機種です。ライカといっても高いだけでスペックは α7 III や EOS R6 のほうが上だし、レンジファインダーの M 型ライカならまだしも EVF・ライブビュー機をわざわざ買うのは単にブランド志向では…と今までは思っていました。でも今回の写真展で展示されていた画を見てその先入観が覆されることになりました。
飛びそうでギリギリ飛ばずに粘るハイライト、潰れそうなところでもしっかりとした質感を残したシャドウ、カメラ内 JPEG でこれを実現する画像処理エンジン「LEICA MAESTRO」シリーズこそがデジタルライカの真骨頂。南雲さん曰く RAW をいくらこねくり回しても MAESTRO が出す画を再現することは(特に夜景で)不可能だったといい、今回の写真展も全て JPEG ベースとのことです。私が α や EOS で撮った RAW の現像で時間をかけているのもほぼハイライトとシャドウの表現なので、この言葉にはさすがにグラッと来ました。

こちらは南雲さん私物のライカ M10-P。50mm と 75mm のレンズを合わせて 200 万コース(!)。
AF は効かないし撮ってみるまで上がりが分からないレンジファインダー(ライブビューもできるけど)という、シャッターボタンを押せばあとはカメラがやってくれるのとは全く違う世界観だけど、写真好きが行き着く終着点(ため息)。

プロフェッショナルストア東京では「Leica Approved Camera」と呼ばれる認定中古品も販売されています。認定技術者が整備点検した中古品で、新品を買うより幾分リーズナブルにライカを手に入れられるのがポイント。↑の写真はもともと高額な限定モデルだから中古でも 100 万円クラスですが、通常モデルであればちょっと無理すれば買えなくもないかもしれない程度の価格なのが恐ろしい(汗)。まあライカはレンズこそが沼なので、いくら中古ボディが安いからといっておいそれと手を出して良い世界ではありません…。

南雲さんご本人と、今回の写真展で象徴的な東京タワーの写真。ご自身の愛車であるクーペ・フィアットに映し込むことで、今まで見たこともない東京タワーの写真になっています。イタリア車の流麗なラインに反射させるとこうも美しい東京タワーになるのか!という驚き。私も今度何か別のものを使って自分なりの表現を試してみたくなりました。

南雲さん、久しぶりにゆっくりお話できて楽しかったです。

なお会期は本来ならば今日まででしたが、好評につき三週間延長されて 4/24(土)まで開催しているとのこと。また平行して大阪のライカ大丸心斎橋店でも開催中です。

数多くの写真が SNS を流れていく昨今、スマホや PC のディスプレイで写真を見るのが当たり前になっていますが、力強い写真を大判プリントで鑑賞するのはまた違った感動があります。幸い敷居が高いライカストアなので密になりにくいのもポイント(笑)。写真好きな方、ライカに興味がある方、L マウントアライアンスが気になっている方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

コメント

  1. 丁稚 より:

    おいそれ!とライカの世界にも行っちゃってください!

    ライカは確かに写真好きの終着点だと思います。憧れるなぁ。モノクローム欲しいんですよね~、レンズは28mmくらいがいいかな。やっぱり50mmも欲しいなぁ。夢です、夢

    • B より:

      いやいやツァイスだけでも十分に深い沼ですから(笑

      でもあの画を見ると引き込まれるものがありますね。中古でもライカ Q2(レンズ一体型)でもいいからいつかは一台…と思ってしまいます。
      ちなみにライカは旧型も含めライカレンズに合わせてセンサーのマイクロレンズやカバーバラスを最適化しているらしいので、ライカレンズを他のボディにつけてもライカと同じようには撮れないとのこと。そう言われると余計に欲しくなっちゃいますよね…。

  2. […] 「ライカプロフェッショナルストア東京」並びに「ライカ大丸心斎橋店」で会期延長開催中の南雲暁彦写真展「Lens of Tokyo -東京恋図-」に私事が多くてなかなか顔を出すタイミングが確保できていません。(なお、行った方その1、その2) […]

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