「アヒルのパリパリ、あんなのもあるのか」
今年 8 月に来て以来の中華街。ちょっと早めの忘年会を兼ねて『孤独のグルメ Season8』登場店である南粤美食への再訪が目的です。中華街って私は昼間に来ることが多いから、看板に灯のともった夜の中華街ってちょっと新鮮。昼間以上に活気が感じられます。
外は寒いので中華街のそぞろ歩きもそこそこにお目当ての店へ。
いつもならば昼夜問わず大行列をなしている南粤美食、この日は誰も並んでいませんでした。
とはいえ人気が衰えたわけではなく、予約で満席のため通りすがり客は全部断っていたようです。ぼちぼち忘年会シーズンってこともあるんだろうけど、相変わらずすごい人気。
厨房がある一階は狭いから広々とした二階席に通されることが多いのですが、今回は一階のテーブル席に通されました。
この写真↑の左端に写っている小さなテーブル席です。劇中では大魔神こと佐々木主浩(元横浜ベイスターズ)がアヒルを食べていた席。ゴロー席と並ぶレア席じゃないですか、これは嬉しい。
まあ何はなくとも生ビールで乾杯!
今年もいろいろあったけどお疲れさまでした。私は諸事情によりこれが今年最初で最後の忘年会になる可能性が高いので、一杯目から気合い入れていきます。
今回は初めてコース料理を予約してみました。その名も「孤独のグルメコース」、ゴローが劇中で食べた料理を主軸としつつ、お店からのオススメを加えた豪華コースです。
まずは前菜の盛り合わせ。広東料理の定番前菜そろい踏みという感じでいきなり豪華。どれ一つとってもおいしい、やっぱりこの店の料理はレベルが高い。
定番の丸鶏の塩蒸し焼き。
シンプルだけど鶏のうまみをストレートに味わえる一品。じっくり蒸し焼きにしてあるから骨まで食べられるほど柔らかい。
あっちゅー間に生ビールが空になってしまったところで紹興酒の登場です。
お店からオススメされた、紹興大越貴酒 陳醸 15 年。箱入りの甕酒、いい値段するけどそれだけの深みのあるいいお酒。こんな紹興酒は今まで飲んだことがないかも。
そしていきなりのフカヒレ姿煮!
姿煮のフカヒレ自体が今まで数えるほどしか食べたことがないから、こういう形でどどーんと出てくると慄きます。しかも一人一皿ですからね。なんという贅沢なコースだ。
これだけで本日の中華勝負、ほぼ勝利確定。
続いて鮑の辣油風。フカヒレからのアワビ。孤独のグルメコースのはずなのにその枠を超えた贅沢広東コースに迷い込んだかのようだ…!
そういえば中華でアワビってあまり食べたことが亡いけど、アワビのうまみに辣油のピリ辛が絡むとめちゃくちゃうまい。これはクセになりそう。
香港海老雲呑。ゴローが食べていた雲呑麺ではなく、麺抜きの雲呑スープです。
プリップリの海老入り雲呑に、シンプルながらうまみの強いスープがよく合う。あの弾力ある細麺と合わせてもいいけど、この海老雲呑はスープだけでも完成されていると思える。そもそも雲呑自体が食べ応え十分だからなあ。
「アヒルのパリパリ揚げ 梅ソースつけ」。
これが食べたかった。ランチタイムにはやっておらず、ディナータイムも開店直後か予約でないと食べられない幻のメニューです。ゴローが劇中でおいしそうに食べていたから絶対食べたかった一品で、こ今回はこれを食べるためにコース予約したと言っても過言ではありません。
鶏肉とはちょっと違ったワイルドな歯ごたえと味わい。それがパリパリに揚げられることで香ばしさを纏っている。梅ソースは名前から想像されるほどは酸っぱくなくて、どちらかというとフルーツソース的な甘みが主体。これをアヒルにつけると、ソースなしで食べるのとはまた違ったうまさが引き出されてくる。ずっと焦がれていたアヒルくん、君はこんな味だったのかあ。
うまさの波状攻撃の前にはビンテージものの紹興酒も簡単に戦力枯渇。
ここは迎え撃つ戦力補充に、普通の紹興酒(古越龍山)を追加投入。ちょっと冷えてる若い紹興酒もまた良いものです。
「お酒に梅干し入れてみませんか?」というお店からの提案に乗って梅干しをいただいてみました。
日本で言う梅干しとは全然違って、こちらは塩漬けにせず干し柿のように、それもカチコチになるまで干された梅干し。お酒に入れて箸でほぐすと甘みが溶け出して、紹興酒をさらに深い味にしてくれます。これは確かに若めの紹興酒の味変に使うのにちょうど良い、新しい楽しみ方を教えてもらいました。
貝柱入り餅米団子。
ほほー、これは面白い。餅米で作ったちっちゃなおにぎり的なものの上に、戻した干し貝柱が載せてあるのね。
…と思って割ってみたら、
中にはシウマイ状に挽肉がギッシリ!!
おほー、これはうまい。干し貝柱と餅米ってだけでうまいのに、この挽肉から出る肉汁のうまみたるや。これ、だんごサイズじゃなくておにぎりサイズで作ってもらってもいいですか(ぉ
さらにダメ押しかのように提供される特大車海老のエビチリ。これのエビマヨ版は以前食べたことがあったけど、この海老の大きさは何度見ても驚きます。
チリと言っても辛さはそこそこで、それ以上に海老のうまさと食感が強い!!!そしてオマケ程度にパリパリが添えられているのも嬉しい。
これまでのエビチリの概念を根底から覆すような巨大エビチリ、うまし。
そして〆は定番、腸詰め干し肉貝柱釜飯。
貝柱はさっきの餅米団子とダブっているけど、これはむしろダブりを歓迎したいところ。
この店の味を象徴する腸詰め・干し肉・貝柱の三役そろい踏み、それが釜飯となって炊かれているんだからうまくないわけがない。何度食べてもまた食べたくなる、麻薬的な釜飯。
デザートはココナッツ団子。
胡麻団子とはひと味違う風味。ココナッツってなんか後引くうまさがありますよね。
いやはや、驚いた。今までアラカルトで食べていたけど、コースだとこんな世界が広がっていたとは。メニューには載っていない料理も出てきたりして、なんだか禁断の扉を開いてしまった気分です。
ちなみに孤独のグルメコースは五郎が食べたメニュー以外は日によって内容が変わるようですが、少なくともお値段以上の価値は感じられる内容にはなっていそうです。決して安いコースではないけど、出てきた料理の内容を鑑みればむしろ特価だったのでは…。
メニューにはまだ食べたことのない料理がたくさんあるし、これはまた別の扉も開きたくなってきちゃったなあ。
自分の中の美食スイッチが入ったら、また食べに来させてもらいますよ。
ごちそうさまでした。
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