「この店、気心を許せる気がする」
ドラマ『孤独のグルメ Season9』の聖地巡礼もいよいよ大トリを迎えました。残っていたのは第 10 話の舞台となった宇都宮のお店のみ。郡山に高崎を経て、今回は満を持して宇都宮へとやって来ました。
栃木って那須や茂木には行ったことがあったけど、宇都宮って意外にも初訪問。地方都市感ある、地味に落ち着ける街じゃないですか。
そして噂の「餃子通り」も初めて歩いてみました。聖地巡礼が関係なければ、こんまま餃子の名店を何軒かハシゴするところだ。
さておき、今回のお目当ては餃子通りをスルーしてこちらのお店。
庄助…門前仲町の焼鳥屋と同じ店名。そう、ここは『孤独のグルメ』の記念すべきドラマ Season1 第 1 話に登場した店と同じ名前を持つ店です。普通に歩いていてもまず通らない路地にひっそりと営む店、ドラマスタッフはよくもまあ探したものだなあ。下戸の井之頭五郎ならこの界隈で腹が減ったなら餃子通りから駅方面に歩きそうなものだけど。
さあ、行ってみようじゃないの。
ドラマで見たとおりの店内。今回は運良くゴロー席に当たりました。
この日は予約で満席だったようで、予約なしのお客さんが何組か断られていました。やっぱりドラマ効果なんだろうな。
壁に掛かってる干支の絵馬、申がちゃんと「見ざる言わざる聞かざる」なのが栃木っぽい。そしてその下には無造作にハンドクーラー(※うちわ)が突っ込まれています。
店を切り盛りするおかあさん方の世間話をカウンター越しに聞いているだけでなんだか楽しい。
初めて来たはずなのに、まるで帰省のついでに親戚の家にでも寄ったときのような懐かしさ。
ドリンクメニュー、けっこう種類豊富。
こういう店ならビールは瓶なんだろうしそれもそれで楽しいと思っていたら、ちゃんと生ビールも置いてあるんですね。
じゃあ、口開けは生で行こうじゃないか。
生ビール(タンブラー)で乾杯。
今年も一年、お疲れさまでした。
生ビールさえあれば、どこだってパラダイスだ。
お通しはもやしのお酢和え。気取らない小料理屋感が却って落ち着く。
一口飲んで落ち着いたところで、つまみを選んでいきます。
黒板に並んだいかにもな渋いつまみの行列。どれにしようか。
「煮」とか「塩辛」とか「ポン酢」といった文字列に心躍るようになったら、歳を取った証拠なのかもしれない。
「ご注文はこれに書いてくださいね」と言って渡された短冊に、注文をサラサラと列挙していきます。
う~ん、あれもこれも食べたい。迷うなあ…。
…と思いつつ短冊を裏返してみたら、なんじゃこりゃ(笑
まるでこれから注文する品々のどれが一番うまいか、順位を当てないといけない気がしてきた。
まずはもつ煮から。
うん…優しい薄味。店の雰囲気そのままだ。
ドロドロするくらいの濃いもつ煮とか、味噌味の強いもつ煮も大好物だけど、この年の瀬にこの店で食べるならこれ以外あり得ないと思える優しい味。おかあさん方の優しさがそのまま味になったかのようだ。
それに時折辛味噌でアクセントをつけて食べるのも楽しい。
食べるほどにこの味付けの虜になる。こんなのが一番なんですよ。
続いて、天井から吊されているこれ。
どんな味なのか気になっていたんですよ。これ、いただきます。
というわけで、切ってもらったゆずみそ。
噛んだ瞬間、柚子の香りがすんごい!頭蓋の中にブワッと広がる感じ。
その香りと甘味噌の味のハーモニー。渋好みの味だけど、これは一度食べたらクセになる。めちゃくちゃ気に入りました。
そうなるとハイボール。
この店のこの渋さ、なんだかこの年末の一息ついた感じとか郷愁に駆られる感覚にすごく合ってる気がする。
Season9 巡礼の最後の店をここにして良かった。
ここから焼鳥タイム。
まずは皮・ねぎま(塩)。
焼鳥食べるの、久しぶり。店で食べるのなんて二年ぶりくらいじゃないだろうか。
塩加減のちょうど良い焼鳥に、辛味噌をつけながら食べるのがうまい。
続いてハツ・レバー(タレ)。
レバーは「ふらっと QUSUMI」のコーナーで久住さんが食べてたやつですね。
とろけるような食感のクリーミーなレバー、これ専門店にも負けてない。
コリコリしたハツと交互に食べると、いくらでも食べていられそう。
そしてつくね(タレ)。
想像していた以上にボリューム感のあるこのつくね!これはうまい。
そういえばゴローちゃんは万願寺唐辛子と組み合わせて門前仲町のつくねピーマンの亜種を誕生させていたけど、冬場は残念ながら万願寺唐辛子はないようです。
でもこのつくね、単品でも十分うまい。それにこの店のタレ、俺好み。
お次は日本酒あたり…とも思ったけど、この後出てくる料理のことを考えつつ、この店に似つかわしい酒を選んだらホッピーに辿り着きました。
こういう店で飲むホッピーのチープな味ってなんでこんなにうまいんだろう。気づかないうちに焼酎を飲み過ぎるまでがデフォ。
ここでハムカツの登場。揚げ物を迎え撃つなら日本酒じゃなくてホッピーでしょう。
見た目ではけっこうボリュームがありそうなハムカツだけど、カラシをつけて食べてみると実際はかなり薄い。
薄くて肉の食べ応えがない感じが、駄菓子っぽくて好き。
これはあれだ、最初からソース味がついてないタイプのビッグカツだ。
懐かしい…子ども時代の故郷の情景を思い出して、ちょっと涙が出そうになる。
納豆信田(しのだ)。
油揚げを裏返して納豆とチーズを詰めて揚げたもの。
これ、テレビで見ていて絶対うまいに違いないと思ってたんだよなあ。
納豆とチーズ、反転油揚げと出汁、これが納豆信田。
うまくなる成分しか入っていない、これがうまくないわけがない。
納豆とチーズが相まって濃厚な味。でも反転油揚げと出汁はあくまであっさり軽い。さらに香り付けの葱。これ、最強のおつまみじゃないですか。
これは自宅でも作ってみたくなるなあ。揚げるのがちょっとハードルだけど、案外オーブン焼きでもいけそうな予感。
そこにポテトサラダ。たまたま最近 Netflix で『深夜食堂』を観ていて、こういう手作り感あるポテサラを食べたいと思っていたところでした。
期待を 1mm も裏切らない素朴なポテサラ。やっぱいいな~。
目にするもの、口に入るもの、何もかもがおいしい。
「庄助ギョウザ」。これは食べなきゃ、宇都宮だもの。
ニラとニンニクがしっかり入った、旨味がギュッと詰め込まれた餃子。これが庄助流か。シャキシャキした歯応えもいい。
さすが餃子の街、専門店じゃない店で何気なく出されている餃子でもこの水準とは。
イカの塩辛。上に柚子皮の刻んだのがちょいと載ってるのが嬉しい!
この柚子があるだけで、シンプルな塩辛のグレードが一気に三つくらい上がった感じ。これいいじゃないですか。
ちなみに劇中でゴローが店に置いていったお土産は、大事にケースに入れてカウンターに飾ってありました。
来年の干支を象った置物、2022 年も良い年でありますように。
寅のお尻には「井之頭五郎」のサインまで。
ドラマに出たことをお店の側も喜んでくれているようで、こっちまで嬉しい。
夕暮れ時に店に入ったはずなのに、出るときにはすっかり夜の帳が降りていました。
出てきたもの全部おいしかった。
毎日この母たちの料理を食べられる地元民、ウツノミヤンに軽く嫉妬。
気取らずにいられるこの店で、年の瀬を過ごせて良かった。
お陰様で 2021 年も無事に終えられそうな気がします。
ごちそうさまでした。
というわけで、今回をもって『孤独のグルメ Season9』全店の聖地巡礼を完了しました。
今シーズンは劇中での追加注文が定常化したこともあって、巡礼する側としても大変でした。全部の店で満腹 120% まで食べたと言って良い(汗
でもどれもおいしかったし、楽しかった。
とりあえず三日後に放送される大晦日スペシャルの前に全店巡れて良かったです。
大晦日 SP のお店はまた遠方になりそうなので、年が明けたら改めて巡礼計画を練っていこうと思います。まずは大晦日の放送を楽しみにしています。
■ドラマ『孤独のグルメ Season9』聖地巡礼エントリーまとめ
第 1 話 神奈川県川崎市宮前平のひれかつ御膳と魚介クリームコロッケ / 再訪 / スペシャル友風焼き(再)
第 2 話 神奈川県中郡二宮の金目鯛の煮付けと五郎オリジナルパフェ
第 3 話 東京都港区東麻布のムサカとドルマーデス
第 4 話 東京都府中市新町の鰻の蒲焼チャーハンとカキとニラの辛し炒め / 再訪
第 5 話 静岡県伊東市宇佐美の牛焼きしゃぶと豚焼きしゃぶ / わさび丼(再)
第 6 話 東京都豊島区南長崎の肉とナスの醤油炒め定食と鳥唐揚げ / しょうが焼目玉丼(再)
第 7 話 東京都葛飾区新小岩の貴州家庭式回鍋肉と納豆火鍋 / 激辛四川料理(再)
第 8 話 群馬県高崎市のおむすびと鮎の塩焼き / 焼きまんじゅう(再)
第 9 話 福島県郡山市舞木町 ドライブインの焼肉定食
第 10 話 栃木県宇都宮市のもつ煮込みとハムカツ
第 11 話 東京都豊島区巣鴨のチャンサンマハと羊肉ジャージャー麺
第 12 話 神奈川県伊勢佐木長者町のチーズハンバーグと牛ヒレの生姜焼き / 再訪
→その他の聖地巡礼エントリーはこちら
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